いま多くの車種の絶版パーツが復刻されている

 最近、自動車メーカーが自社の過去の車両の部品を復刻生産するケースが増えてきている。メーカー主導でユーザーの車両まるごとレストアを実施するという前代未聞のサービスを開始したマツダ(初代ロードスター)を筆頭に、第2世代のスカイラインGT-Rや、軽オープンスポーツであるビートなど、多くの車種の絶版パーツが復刻されているのはご存じの方も多いだろう。

 その車種を愛用しているユーザーとしてはメリットだらけの取り組みではあるが、新車ならまだしもすでに流通台数が限定されており、現存台数も減る一方の旧型車のパーツを復刻するのはどういった思惑があるのだろうか?

新車の売り上げを伸ばすという狙いも

 今回、復刻パーツがリリースされている車種に共通する点としては、平成初期のモデルであることと、根強いファンが多い車種であるということだ。つまり、すでに旧車の域に達しつつある車種であり、現在でも大切に乗っているユーザーは比較的年齢層が高いことが想像できる。

 そういったユーザーは、愛車の維持をするためには少々の出費もいとわない愛情と金銭的余裕を持った人が多く、必要とされているパーツを復刻すればある程度の販売数が見込めるという点があるだろう。そのため、不良在庫になる可能性が低いと判断したパーツが優先的に復刻されていると言えそうだ。

 また、部品は基本的にディーラーを経由して発注されるため(一部専門店でも注文できるが)、今までディーラーに足が遠のいていたユーザーが再び足を運んでくれるようになる。そうなるとふとしたきっかけで新車の注文や、点検整備の入庫が入る可能性も上がってくるというわけだ。最近は新車が売れないと言われて久しいため、まずはディーラーに足を運んでもらうというのも作戦(?)のひとつなのかもしれない。

 もし、このビジネスモデルがうまく回るようになれば、ほかのメーカーやほかの車種でも同様の動きが出てくる可能性は非常に高い。メーカーとしてもどういった車種がどのくらい現存しており、どんなパーツを欲しているのかというデータを必要としているという話もあるので、部品で困ったらネットだけでなくディーラーなどにも積極的に相談して欲しい。そのデータをメーカーが吸い上げて、次に復刻する車種やパーツを選定する可能性は大いにあるのである。