「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」 https://tfm-plus.gsj.mobi/news/btmCTxPpMQ.html。今回の漢字は「粥」。年末年始は華やかな食卓が続いて、そろそろ胃腸も疲れ気味。ほかほかのお粥がこの時期のごちそうです。



「粥」という漢字は、左から「弓」「米」「弓」と書きます。

左右の「弓」という字は、たちのぼる湯気の形。

「米」という漢字は稲穂についた実の部分、米粒を描いた象形文字です。

米から湯気が出ている様子を表しているのが「粥」という漢字。

ちなみに「粥」の旧字体(鬻)を見ると、現在の「粥」の字の下に、かまどの形が書いてあります。

これは、米を土器や鍋に入れてかまどに乗せ、ことことと煮こんでいる様子を表しているのです。

いにしえの人々にとって、米は権力者に納めるためのもの。

彼らは、ほんの少しだけ手元に残った米を、山菜や粟、稗といった雑穀とともに煮込んで粥にして食べていました。

でも、それがかえって、彼らの健康に役立っていたかもしれません。

粥の効能に注目していたのが、曹洞宗の開祖、道元禅師。

食事の際の心構えを記した『赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)』には、粥の効能が十項目、挙げられています。

肌の色つやをよくする、気力を増す、頭が冴えて言葉がなめらかになる。

胸やけせず、風邪も引かず、飢えを満たして渇きを潤す。

そして、なんといっても寿命が延びる、と解いています。

道元が開いた永平寺の朝。

修行の身である僧侶たちの一日は、今もなお、一杯の粥から始まるのです。

ではここで、もう一度「粥」という字を感じてみてください。

一月七日、人日の節句にいただく七草粥。

今年一年の無病息災を願うとともに、ごちそうを食べ過ぎた胃腸をいたわる年中行事です。

勝負に競り勝つ「セリ」、撫でて穢れをのぞく「ナズナ」。

「ゴギョウ」は仏様のからだを、「ホトケノザ」は座る台座を意味します。

繁栄し広がる、はびこる、という意味の「ハコベラ」に、「スズナ」は神さまを呼ぶ鈴の意味。

「スズシロ」は大根のことで、白く汚れのない様子を意味します。

縁起のよい言われをもつ野草たちには、今この時期に必要な栄養素もたっぷり含まれています。

さらに、十五日の小正月にいただくのは「小豆粥」。

アズキの赤には、邪気を払う力があるとされ、古くは今年一年の天候や五穀の出来を占う神事に使われていたといいます。

季節のめぐりにあわせて、ふと恋しくなる粥のやさしさ、あたたかさ。

火加減に気を配りながら鍋の前に立ってくれた人の愛情も、しみじみとしたおいしさの秘密です。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『年中行事を五感で味わう』(山下柚実/著 岩波ジュニア新書)

1月12日(土)の放送では「丈」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。



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<番組概要>

番組名:感じて、漢字の世界

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/

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