リオ五輪でも華やか演技を披露した「フェアリージャパン POLA」【写真:Getty Images】

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熱戦の世界新体操、北京五輪代表「フェアリージャパン」坪井保菜美さんに聞く

 現在、熱戦が繰り広げられている新体操の世界選手権(ブルガリア)。15、16日には団体の総合決勝、種目別決勝が行われ、日本代表「フェアリージャパン POLA」が世界に挑む。東京五輪を2年後に控えた今大会の世界一決戦は、注目ポイントがどこにあるのか。「THE ANSWER」では北京五輪団体代表の坪井保菜美さんに話を聞いた。

 華やかにフロアを舞い、5つの手具を使いながら、アクロバティックな演技を見せる新体操。しかし、実際にはどんな競技なのか、馴染みが薄い部分もある。インタビュー後編ではそれぞれの手具の難しさ、意外と知らないメイクのヒミツなど新体操の裏側、そして、今大会のフェアリージャパンに対する期待も語ってもらった。

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 13メートル×13メートルのフロアで行われる新体操。団体は5人のメンバーが技の難度はもちろん、曲に合わせて踊る表現力、同調性によって採点がなされる。なかでも、特徴的なのは5つの手具を使って演技をすることだ。それぞれ、どんな難しさがあるのだろうか。坪井さんは次のように明かす。

新体操といえばリボン。中3までのジュニアは5メートル以上、シニアは6メートル以上と決められています。常に動かしていないといけないので、演技中に止まってしまうと減点になります。ボールは柔らかい演技をする選手が多いのが特徴。体の上を転がすなど、滑らかな動きも多いです。大事なのは指でボールを掴んではいけないこと。指を閉じてボールを乗せます。手具はできるだけ体から遠いところで扱うことが前提なので、より難しくなります。

 今はただ投げるだけではなく、体を回転させながら投げ、その間に自分も回って、最後も回りながら捕る。その迫力は面白いです。『どこから投げているんだろう』と驚きをもって見ることができます。フープは、回転、柔軟、ジャンプといった新体操の全ての難度を入れる必要があります。クラブは唯一2つある手具。左右の手で非対称の投げ方を入れなければならず、ロープは常にピンと張っていないといけません」

 それぞれに難しさがある5種目。初心者が観る上でオススメについては「ボール」と「リボン」を挙げる。「ボールの素材は新体操と違えど、誰でも触ったことがあるもの。ミスをしたら大きく転がっていってしまうものを、難しい体勢からどう投げてキャッチするかは見所です。リボンは長い分、スケールも大きく出ますし、華やかです。『わあ、綺麗』と感激できます」と話した。

メイクは誰がする? 今大会のフェアリージャパンの注目ポイントは?

 そして、もう一つ、初心者にとって気になるのがメイクだ。華やかな特徴的なメイクはいったい、どのようにしているのか。

「(化粧品会社の)ポーラさんが付いて下さり、レオタード、曲に合わせ、メイクレッスンをしていただきます。彫りが深く見えるようなメイク、遠くから表情がはっきり見えるようなメイクなどを習い、自分たちでやっています。特に日本人は平面的な顔なので、彫りを出すシャドーの入れ方、ラインの入れ方にはこだわりました。メイク自体も印象を左右する一つになりますし、選手としては何よりやる気が出るもの。メイクとヘアスタイルで試合へのスイッチが入ります」

 こうした新体操ならではの難しさとも戦いながら、世界に挑むフェアリージャパン。今大会は東京五輪を2年後に控え、世界との距離を知る重要な大会となる。現在、ロシア、イタリア、ブルガリアを追いかける立場にいるが、3強の強さはどこにあるのか。

「ロシアはとにかく大きい。身長もあり、ジャンプ一つも日本とは違うし、迫力があります。大きい人たちが(手具を)交換すると、日本より高く投げられるので立体感も違います。何より、一人ひとりの持っているレベルが高く、ロシアの1つの技の得点を出すには、日本は2つ、3つの技を入れる必要がありました。イタリアは構成が素晴らしいし、毎回どんな演技をするか楽しみに観ることができます。ブルガリアは手具操作が巧み。1人が大技をしている脇でもおもしろい技をやっていて、見応えがあります」

 それぞれにストロングポイントを持っているが、成長著しいフェアリージャパンも十分に世界と戦えるレベルにあるという。「スタイルいい選手がそろってきましたし、身長も高い。私たちの次の世代からロシアを拠点にしてロシアのコーチに教わり、レベルも上がっています」と話した上で、期待を込める。

「外国人と比較し、日本人は細かい部分で合わせるのが長けています。あとはスピーディー。そこは強みです。今の団体はミスをしたら順位が変わるくらい、上位はどの国もハイレベル。フェアリージャパンも大きな試合でメダルを獲れているので、ミスさえなければ十分にチャンスはあると思います。ミスをしないことがカギになります。ただ、それを選手たちが思いすぎてしまうと、結果に影響する部分もあると思うので、練習でやってきたものを出すことだけを考えて本番に臨んでほしいと思います」

 総合はもちろん、種目別でもメダル獲得は十分に期待できるという。「技と技のつなぎの部分は今、課題としています。技が多い分、1つのミスで崩れないように、どう切り替えて次の技につなげていくかが大事になります」と語り、さらに今のフェアリージャパンにある強みも教えてくれた。

新体操ファンが一人でも増えるようにと願う坪井さん「ぜひ一度楽しんで」

「実際に選手から聞くと、メンバー同士の仲がすごく良く、キャプテンの杉本(早裕吏)選手が一人ひとりを見て、チームの輪を大事にしながらしっかりとアドバイスをしています。私たちの場合は同じ年齢が多かったですが、今は経験豊富な選手から入ってきたばかりの選手まで、年齢の差もバランスが取れている感じがします。穏やかな面もあり、やる時はしっかりとやる。仲間関係がいいところが、演技にも出ていると思います。特に杉本選手は、どういう手具でもミスをミスに見せないような対処がうまく、大技もやります。注目してほしいです」

 メダル獲得を目指す東京五輪まで、あと2年。選手が実力を磨くことはもちろん、ファンの注目が集まり、競技自体が盛り上がることもフェアリージャパンの後押しになる。坪井さんは今大会を機に、一人でも多くの人に新体操を好きになってほしいと願っている。

「衣装も華やかになってかわいいし、技も面白い。私たちの時代から種目は変わってないのに、どうやってこんな技を編み出したんだろうというくらいに技が次々と出てくるので、注目して観ていただけると面白いと思います。初心者が見てもハラハラしてしまうと思います。曲の構成、振り付けも素敵で、芸術的スポーツならではの良さがあると思うので、ぜひ一度楽しんでほしいです」

(終わり)(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)