「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「降る・降りる」、「降水確率」「天孫降臨」の「降」。雨の季節にひもといてみたい漢字です。



「降」という字の向かって右側、つくりの部分は、「各(カク・おのおの)」という字の上半分と、カタカナのワ行二段目、ウヰスキーの「ヰ(ウィ)」という字を書きます。

このふたつはいずれも、つま先を下に向けた足の形をあらわしたもの。

「降る」の左側、「阝(こざとへん)」ははしごの形。

これは、神が天上界から地上へ降りてくるための神聖なはしご。

そこから「降る・降りる」という意味をもつ漢字になったのです。

田植えをすませた稲の生長に、雨は不可欠。

農地に適切な量の水をひく灌漑設備が整っていなかった昔は、日照りが続くと、人々の間で「水争い」が起こります。

石や板を使って小川の水の流れを変えて「我田引水」、文字通り、自分の田んぼに水をひく人が出てくるのです。

闇夜にまぎれてことを行う水盗人(みずぬすっと)と間違えられぬよう、この時期の夜は、白い衣服を着ることを申し合わせた集落もあったとか。

でも、雨が続けば続いたで、気持ちは休まりません。

雑草が伸びれば草取りに励み、稲の背丈にあわせて水の量を調節したり。

降りみ降らずみ、神さまの采配に一喜一憂。

目には見えないはしごのその下で、人々は懸命に生きていたのです。

ではここで、もう一度「降」という字を感じてみてください。

神さまからの恵みの雨とはわかっていても、出掛けや出先で降る雨は、憂鬱な気分をつれてきます。

そんなときに思い出したいのが「青梅雨(あおつゆ)」ということば。

初夏の青葉に降り注ぐ雨のことをさすのですが、その言葉どおり、新緑を青くつやつやと濡らす雨の美しいこと。

紫陽花、牡丹、百日紅(さるすべり)。

しっとりと咲き誇る花々を眺めるのも、今、この時期だけの幸福です。

梅雨の晴れ間に気がゆるみ、突然の雨に降られたあなたには、小林一茶のこんな一句を。

「着ながらに せんたくしたり 夏の雨」

雨の降る日も風の日も、心のもちようで人は笑顔になれるのです。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)

『読んでわかる俳句 日本の歳時記 夏』(宇多喜代子、西村和子、中原道夫、片山由美子、長谷川櫂/著 小学館)

『話したい、使いたい 心ときめくことばの12か月』(山根基世/監修 KADOKAWA/エンターブレイン)

6月17日の放送では「告」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。

<番組概要>

番組名:「感じて、漢字の世界」

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/



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聴取期限 2017年6月18日 AM 4:59 まで

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