学生の窓口編集部

写真拡大

漫画にはたくさんのジャンルがあります。恋愛もの、スポーツもの、SFもの……。しかしどんな時代も一番心を動かすストーリーといえば、やはり友情を描いたものと言えるでしょう。今回はそんな熱い友情をテーマにした漫画作品について、厳選してご紹介します。

■第10位 「リアル」

「スラムダンク」で有名になった井上雄彦先生が描く車いすバスケットボールの漫画です。試合を中心に物語が描かれていた「スラムダンク」とは異なる雰囲気で、車いすバスケを通して人間に起こるリアルな壁をテーマとしている作品です。

物語は3人の人物を中心に展開されていきます。一人目の主人公、戸川清春は父親にピアニストとして将来を期待されていましたが、短距離走に出会ってその才能を開花させていきます。彼は全国大会の決勝に進むほどの選手に成長しますが、骨肉腫という病気により右足を切断することになります。2人目の主人公、野宮朋美は高校でバスケットボールに打ち込んでいましたが、チームメイトとの対立がきっかけで次第と素行が荒れるように。そしてナンパした女の子を乗せたバイクで事故を起こし、女の子を下半身不随にしてしまいます。高橋久信は野宮の同級生で、同じバスケットボール部のチームメイトでした。プライドが高く、人を見下す性格ゆえに野宮と衝突を繰り返していました。なんでもそつなくこなして一目置かれるような人物でしたが、交通事故に遭い下半身不随となります。

3人は車いすバスケと出会い、困難と闘いながら現実と向き合っていくのです。この漫画では、それぞれ悩みを抱え葛藤する登場人物たちの心情が細やかに描かれています。

作者:井上雄彦
出版社:集英社
掲載誌:週刊ヤングジャンプ
連載:1999年から連載中
巻数:14巻(2014年12月時点)

■第9位 「バガボンド」

こちらも井上雄彦先生の作品です。「スラムダンク」や「リアル」を描いていることから、井上先生=スポーツ漫画というイメージの方も多かったのではないでしょうか。「バガボンド」は宮本武蔵と佐々木小次郎を題材にした歴史物になっています。

第一章は1600年、新免武蔵(しんめんたけぞう)は出世をするために幼馴染の本位田又八に誘われて故郷の村を出発します。武蔵は幼いころから母親の愛情を受けたことがなく、また父親に命を狙われ村人には鬼の子として恐れ疎まれるような人生を送ってきました。しかし沢庵という人物に自分の存在をはじめて認めてもらったとき、彼は再度剣の道で生きていく決意をして名前を宮本武蔵に変えます。そして誰よりも強くなるために放浪の旅に出たのでした。

第二章は佐々木小次郎の生い立ちが話の中心となります。産まれながら耳が聞こえず、言葉も持たない小次郎ですが、変わりに視覚と触覚に優れ、些細な要素から相手の太刀筋を見極めるなど剣の腕に優れている彼。剣で人との関係を築き、最強への道を進んでいきます。第三章は武蔵・又八・小次郎の3人が接触していく様子を描いています。

物語の内容が濃いことももちろんですが、注目して頂きたいのは井上先生の画力の高さです。単に絵がうまいというだけでなく、登場人物のふとした表情で心の機微を表現しています。武蔵と小次郎だけでなく、まわりの人物との関わりも深く描かれた非常に読み応えのある作品です。

作者:井上雄彦
出版社:講談社
掲載誌:週刊モーニング
連載:1998年
巻数:37巻(2014年7月時点)

■第8位 「MAJOR」

1994年から2010年まで連載していたMAJOR。主人公、茂野吾郎の半生が描かれています。物語は五郎が5歳のときから始まります。彼の父である本田茂治はプロ野球選手でしたが、メジャーリーグの大物ピッチャー・ギブソンの投球が頭部に直撃して亡くなってしまいます。その後、五郎は茂治の婚約者である桃子に引き取られて成長していきます。

メジャーでは五郎が成長する過程がリトルリーグ編、中学編、高校編……と描かれます。そして、その過程で五郎はたくさんの人たちと関わっていくことになります。特に注目したいのが五郎の親友であり、ライバルである佐藤寿也との友情です。五郎と寿也は幼稚園時代に出会い、ふたりで野球をして遊ぶ仲でした。五郎の引っ越しにより一時は疎遠になったふたり。しかし五郎に野球の楽しさを教えてもらった寿也はその後も野球を続け、ふたりは野球によって再会を果たすのです。熱血漢な五郎とは対照的に冷静沈着なことが多い寿也。ふたりが同じチームで戦うことは少ないのですが、お互いの成長や活躍を知ってはそれを自らの励みにする様子には熱い友情を感じます。また、父・茂治の死の原因となったギブソンと五郎の絆にも感動すること間違いなしです。

作者:満田拓也
出版社:小学館
掲載誌:週刊少年サンデー
連載: 1994年から 2010年
巻数:全78巻
■第7位 「バクマン。」

「DEATH NOTE」でも大ヒットを記録した大場つぐみ先生、小畑健先生のコンビによる「バクマン。」もおすすめの友情漫画です。中学生の真城最高は絵を得意としながらも流されるままの日々を送っていました。そんなある日、クラスメイトで作家志望の高木秋人から一緒に漫画家にならないかと誘われます。最初は気分が乗らなかった最高ですが、片思いをしているクラスメイトの亜豆美保と漫画がアニメ化したら結婚する約束したことから漫画家を目指すようになります。二人三脚で描き上げた漫画をジャンプ編集部に持ち込んだところ、漫画家としての才能を認められた最高と秋人。ふたりは様々な苦境に遭いながらも、協力してジャンプ作家として歩んでいきます。

最高と亜豆のウブな恋愛模様も見どころですが、それを陰ながら応援し、時には手助けをする秋人と亜豆の友人・高木 香耶にも注目して見てもらいたいです。また、最高と秋人以外のジャンプ連載作家も個性的な面々になっています。普段はそれぞれに漫画を描いている作家たちが交流を持ち、互いに高めあっていく様子も読んでいてわくわくするポイントとなっています。

作者:大場つぐみ、小畑健
出版社:集英社
掲載誌:週刊少年ジャンプ
連載:2008年から2012年
巻数:全20巻

■第6位 「聖☆おにいさん」

シュールな世界観で人気の漫画家・中村光先生の「聖☆おにいさん」。仏門の師であるブッダとキリスト教の師であるイエスが、下界でバカンスをする日常を描いた作品です。ありえない設定ですが、ブッダとイエスの日常生活があまりにほのぼのとしておりついつい読み進めてしまいます。ふたり以外にも仏教では天武や弁財天、キリスト教では四大天使やヨハネなど実際それぞれの宗教で語られている人物たちが登場するところもポイントです。修行を重ねて悟りを開いたブッダは苦行の経験から倹約家で冷静なキャラクターとして描かれています。イエスは対照的に陽気でノリの良いキャラクターですが、極度のストレスで聖痕が開くなど、どちらもさりげなく現代に伝わる「仏」「神」のイメージを彷彿とさせところがこの漫画のおもしろさといえます。別の宗教の師でありながら親友でもあるブッダとイエス。スケールの大きな友情を感じることができます。

作者:中村光
出版社:講談社
掲載誌:モーニング・ツー
連載:2006年から連載中
巻数:12巻(2015年11月時点)

■第5位 「夏目友人帳」

次に紹介するのは人間と妖怪のちょっと不思議な絆を描いた作品です。主人公の夏目貴志は妖怪などこの世のモノではない存在が見える男の子。そのせいで周囲の人々と打ち解けられず、「変わり者」として生きてきました。ある日、同じく妖怪が見えるせいで周囲から孤立していたという祖母・レイコの遺品の中から「友人帳」を見つけます。この「友人帳」は、レイコが勝負をして負かした妖怪の名を集めたものだったのです。友人帳の持ち主はそこに名前を書かれた妖怪を自由に操ることができるようになるため、夏目は名前を取り返そうとする妖怪や「友人帳」を利用しようとする妖怪から狙われるようになってしまいます。

用心棒となった妖怪・にゃんこ先生と共に、妖怪たちに名前を返す日々を送ることになった夏目。この漫画の見どころは、妖怪に名前を返したときに夏目の脳内に流れ込む「レイコと妖怪の思い出」です。周囲から孤立をしていたレイコと、寂しさや虚しさを抱えて生きていた妖怪たち。人間と妖怪という立場の違いはありますが、レイコと妖怪たちは「友人帳」を介して絆を結んでいたのです。妖怪たちはレイコに名前を預けることで彼女の「子分」という立場になってしまうのですが、そこに喜びを感じていました。夏目も名前を返す過程で妖怪たちの気持ちを知り、できることをしてあげたいと思うようになっていきます。どの妖怪たちも本当は心優しく、レイコとの思い出は温かなものです。読んでいて心がほっこりする作品となっています。

作者:緑川ゆき
出版社:白泉社
掲載誌: LaLa・LaLa DX
連載:2003年から連載中
巻数:19巻■第4位 「とらドラ!」

ライトノベルが原作となり、アニメ化もされた「とらドラ!」。タイトルは主人公・逢坂大河のあだ名である「手乗りタイガー」の「とら」と、高須竜二の名前からとった「ドラゴン」に由来しています。竜二は目つきの悪さからヤンキーと勘違いされることが多く、それを気にしている高校生の男の子。高校2年の春、片思いをしていた櫛枝実乃梨や、親友の北村祐作と同じクラスになります。そこで誰にでも不愛想な逢坂大河と出会います。大河は1年のときに祐作に告白をされて断っていましたが、実はそのあとから思いを寄せていたのです。祐作に宛てたラブレターを間違って竜二のカバンに入れてしまった大河。竜二の家が自宅の隣だと知った大河は、深夜に忍び込んでラブレターを取り返そうとしますが、竜二に見つかってしまいます。これをきっかけにふたりは「お互いの恋を応援する」という約束をするのです。

大河と竜二はそれぞれお互いの親友に恋をしていますが、時間を共有するに連れてお互いが大切な存在であることを認識していきます。そこがなんとも切ないのですが、それでもお互いの恋がうまくいくようにと協力するふたりの友情には感動すること間違いなしです。

作者:竹宮ゆゆこ、ヤス
出版社:メディアワークス
連載:2006年から2009年
巻数:10巻

■第3位 「FAIRY TAIL」

前作「RAVE」も大好評だった真島ヒロの人気作品「FAIRY TAIL」も熱い友情が描かれています。一人前の魔導士を目指す少女ルーシィは、火のドラゴンを扱う滅竜魔導士・通称ドラゴンスレイヤーのナツやしゃべる猫ハッピーに出会います。ナツとハッピーは、魔導士に仕事を紹介するギルド「フェアリーテイル」に所属する魔導士だったのです。ルーシィはフェアリーテイルに所属することになりますが、そこは問題児だらけのギルドでした。ナツとルーシィはペアを組み、魔導士として仕事をしていくうちに成長していくのです。

「フェアリーテイル」には個性的なメンバーがたくさんいますが、それぞれが協力して仕事を進めるうちに友情が芽生え、絆が深まっていく様子にはドキドキします。特に、ナツとライバル関係にあるグレイのやり取りには熱い友情を感じずにいられません。普段は顔を合わせる度に喧嘩をしているふたりですが、いざというときには協力し合って困難を乗り越えていきます。少年漫画の王道的な「バトル・友情」を味わうことの作品となっています。

作者:真島ヒロ
出版社:講談社
掲載誌:週刊少年マガジン
連載:2006年から連載中
巻数:52巻(2015年11月時点)

■第2位「君に届け」

少女漫画でも友情が描かれている作品があります。「君に届け」はアニメ化だけでなく、実写化もされた人気作品。主人公の黒沼爽子は長い黒髪に白い肌という風貌から「貞子」というあだ名で呼ばれていました。本当は純粋で人の役に立つのが好きな少女にも関わらず、容姿や人見知りな性格のせいで周りから怖がられており、クラスでも浮いていました。そんな彼女が爽やかで男女問わず人気者のクラスメイト・風早と接するうちにクラスにも馴染み、ついには風早と交際するようになっていくのです。

爽子と風早の甘酸っぱいやり取りもキュンとするポイントですが、「君に届け」では女の子の友情も描かれていることがポイントです。クラスで浮いていた爽子と友達になった矢野あやねと吉田千鶴は、人に勘違いされやすい爽子とどんどん仲良くなっていきます。風早と爽子の関係も、ふたりが後押しすることで進んでいくと言っても過言ではありません。

作者: 椎名軽穂
出版社:集英社
掲載誌:別冊マーガレット
連載:2005年から連載中
巻数:24巻(2015年7月時点)

■第1位「3月のライオン」

「ハチミツとクローバー」で有名な羽海野チカが描く将棋漫画です。「ハチクロ」の甘酸っぱい恋愛模様や青春の様子とは対照的に、将棋の世界で優秀とされながらも孤独を抱える少年・桐山零とそのまわりの人々との関わり合いを描いています。

零は小さいころからおとなしく、友達を作るのが苦手な男の子でしたが、優しい両親と妹に囲まれて暮らしていました。医者として忙しく働く父との繋がりのため、将棋を学んだ零。彼が心を通わせることができるのは、家族と、たまに父と将棋を指しにくるプロ棋士・幸田だけでした。ある日、零が遠足に行っている間に家族は交通事故に巻き込まれ、亡くなってしまいます。将棋だけが自分の生きていく術は将棋しかないと悟った零は、幸田の家でプロ棋士を目指すことになります。零は努力を重ねてプロ棋士になりますが、幸田家の本当の子供たちや、中学生でプロになったことを妬む他の棋士たちの中で孤立していきます。そんな時、ふとしたきっかけで下町に住む川本3姉妹と出会った零。明るく素直な川本家の人々や零を気に掛ける将棋連盟の仲間たちとふれあい、苦手だった学校での生活を通していく中で、零に少しずつ「誰かに必要とされたい」という気持ちが芽生えていくのです。

なかでも、幼いころに零に将棋で負けてから自称「ライバル兼親友」になった二階堂との関わりは涙なしには見られません。二階堂は身体が弱く病気がちですが、零と対等でいたいという思いから零に病気のことを隠していました。そんな二階堂が体調不良ながらも必死に戦った新人戦。二階堂は負けてしまいますが、零は二階堂の棋譜を見て涙を流します。普段は二階堂が一方的に零に付きまとう形となっていますが、二階堂の将棋に対する覚悟を知った零は新人戦を勝ち抜き、優勝するのです。主人公だけでなく、その周囲の人々をピックアップしてさまざまな目線から「棋士とはなにか」「戦うこととはなにか」を描いている「三月のライオン」。必ず共感できる登場人物がいることでしょう。

作者:羽海野チカ
出版社:白泉社
掲載誌:ヤングアニマル
連載:2007年から連載中
巻数:11巻(2015年9月25日)

いかがでしたか? 心を動かされる漫画は見つかりましたか? 過去の学生時代や、現在の友だちを思い浮かべながら、漫画の中の熱い友情の世界に浸ってみてください。読み終えた後はきっと、心が洗われたような清涼感を感じられるはずです。