親が入院、介護が必要とわかったら即すべきこと

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お金のプロが初告白。老親の面倒を見て、初めて気づいた本当に必要なこと。安全、入院、人間関係、家計や家の管理、葬儀、相続……。多くの人が陥りがちな問題もこうすれば解決する。

■ここに気をつけないと家族間が険悪に!

親が倒れたときのシミュレーションをしておこう。入院がなかった場合、入院、手術をともなう入院、重篤な場合など、病状によって駆けつける優先順位を考えておく。時間と交通費がかかる遠距離で緊急を要さない場合は、近くの親戚や近隣の人に様子を見てもらい、次の休みに訪ねるようにする。緊急性の高い呼び出しでは、夜間であれば交通手段の車を兄弟の誰が出すかなども考えておこう。

私は入院時に母がすぐに持っていけるよう、着替えや洗面道具など2泊3日の入院グッズを入れた小さな旅行鞄を母に用意してもらっている。また、自治体などが配布している本人の慢性疾患や緊急連絡先などの情報を記した「救急医療情報キット」を冷蔵庫の中などわかりやすい場所に備えておくといい。救急隊員が冷蔵庫からこのキットを取りだし、救急情報を見て素早く対応できるからだ。

主治医を決めておくことも必要だ。母のかかりつけ医は父ががんで亡くなったときの担当医なので、家族状況や母の性格などを把握したうえで対応してくれる。彼には携帯電話番号とメールを教えてもらい、ポリープ持ちの母の大腸がん検診の結果やピロリ菌除去治療などを直接聞くようにしている。年寄りから治療内容を聞き取るより、主治医から直接説明を受けるほうが確か。離れて住んでいることを説明すれば、メールアドレスなども教えてくれるはずだ。

■親が入院したら即座にすべきこと

介護は入院から始まることが多い。入院したら、入院診療計画書を医師から見せてもらい、介護が必要になると判明したら、退院=介護であることを肝に銘じ、すぐに準備を始めよう。在宅で介護サービスを利用するのか、あるいは特別養護老人ホームや介護老人保健施設、指定介護療養型医療施設を利用するのか。経済的余裕があればサービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームなどもある。病院の医療ソーシャルワーカーや看護師に相談し、介護サービスについて学び、方向性を定めておく。

と同時に老親の住む自治体の行政窓口や地域包括支援センターを訪ね、相談員や民生委員と顔合わせをしておく。センターでは、介護サービス利用者にとってどのようなサービスが最適であるか、その利用計画を立てるケアマネジャーを紹介してくれるので、面談をして最適のパートナーとなってくれる相手を探しておこう。

介護期間は平均で4年9カ月にもなる(2012年度生命保険文化センター調査)。「介護状態になったから」といって、あわてて実家に引っ越したり、呼び寄せたりしないこと。親と最低でも1カ月一緒に住んでみて、お互いに同じ屋根の下で暮らせるか試してみるといい。呼び寄せた親は、住み慣れた土地や友人と離れるうえ、同居しても子供たちは日中出かけることが多く、結局一人で暮らすのと同じになりかねない。家族のうち一人でも反対者がいると人間関係はぎくしゃくしたものになる。

肉親が世話をしなければ老親は不幸だと考える必要はない。アウトソーシングを積極的に活用し、そばに子供がいなくても十分なケアが受けられるのがベストだ。

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黒田尚子(くろだ・なおこ)
CFP、一級FP技能士、消費生活専門相談員
株式会社日本総合研究所に勤務後、1998年FPとして独立。個人向けの相談業務、セミナー・FP講座等の講師、書籍や雑誌・Webサイト上での執筆など幅広く行う。消費者問題にも注力。

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(吉田茂人=構成)