取材が行なわれたのは9月16日、血色も良く熱く語ってくれた香川氏だったが…合掌

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9月26日、心筋梗塞により52歳の若さで急死した香川伸行氏。浪商(現・大体大浪商)時代から甲子園のスターとしてドカベンの愛称で人気者となり、プロ入り後も南海〜ダイエー(現・ソフトバンク)で活躍。人気の所以(ゆえん)ともなったその体型がプロでは壁となり、惜しまれつつ89年に引退。

その後、評論家として活動する中、少年野球にも力を注いでいたが、02年に患った急性腎不全の影響で人工透析の治療を受けていたという。あまりにも早い別れに球界、ファンから惜しむ声は尽きない。

その香川氏が、明日29日(月)に発売となる『週刊プレイボーイ』41号でよもやのラストインタビューを受け、あの熱い時代について振り返っていた。 「80年代パ・リーグ伝説の瞬間」と題された大特集で、自ら鎮魂するかのようなその語り……週プレNEWSでは、哀悼の意を表し、ここに先行掲載する。

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今も昔も野球は野球やけど、やっとるもんは大谷(翔平・北海道日ハム)君が160キロ(球速)投げるのと、ボクが130キロ(体重)で野球やるぐらい別物かもしれんな(笑)。

一番の違いはこだわりや。ボクらの時代、特にパの選手はこだわりの強い変わり者ばっかりやったわ。三拍子そろった、そこそこの選手なんていらんねん。走るんが速かったり、肩がむちゃくちゃ強かったり、守れんけど打撃がすさまじかったりと突き抜けた一芸を持っとるキャラが濃い選手ばっかりや。

?人気のセ、実力のパ?という言葉があったけど、パのほうがいい野球をやっとるという自負があった。

ピッチャーは自分が絶対に自信を持つ真っすぐを「打てるもんなら打ってみい」と投げてくる。バッターも真っ向からホームラン狙いのフルスイングや。一対一の勝負がまずありき。

たとえるなら、刀で戦っていたサムライの時代や。阪急の山田久志さんなんて、うちの門田(博光・元南海)さんに真っすぐしか投げてこなかったんや。なんぼ打たれても真っすぐしか投げてこん。門田さんも全球フルスイングでホームランしか狙っとらん。

あの勝負は両軍の選手が見とれるぐらい面白かったな。そういう勝負ができたのが80年代やろな。

ボクなんてキャッチャーやっとっても、真っすぐを打たれて怒られたことないもん。怒られたのは逃げたり、変化球でかわしにいったときだけや。球の速い遅いやないで。ハートの問題や。

うちに強かった落合(博満・元ロッテ)さんも言うとった。「逃げる球は俺らクラスは簡単に拾えるが、目をつぶって俺の球を打ってみろと、ど真ん中に投げてきた球はファウルになる」って。

そんなかでも、やっぱりエースはとんでもなかったわ。山田さんな。ボク、苦手でヒット1、2本しか打った記憶がないんやけど「オマエにはよく打たれた」って。どんだけ執念深いんや(笑)。

東尾(修・元西武)さん、名前聞いただけでインコースに腰引けるけど、ボクは当てられたことはないなぁ。村田(兆治・元ロッテ)さんもすさまじい気迫やった。あと、江夏(豊・元日ハム)さん。ジャニーズとの野球大会で「打たせてください」って言ってきたディレクターに「俺は真剣に野球やってるんや。冗談で野球はできん」ってハッキリ断ってて、めっちゃめちゃカッコよかったわ。

スタンドがガラガラでも関係ないわ。ボクら、お客さんのために野球やっとらんもん。みんな、自分がヒーローになるために野球をやっとった。だから、客ともようケンカしとったわ。乱闘が多かったのも「負けたくない」って気持ちの表れや。「やられたらやり返せ。やられっぱなしでおるな」いう感じやからな。

勝敗よりも、大事な勝負があったと思うわ。もし、あの時代にFAがあってもジャイアンツやタイガースに行きたいと思わへん。ボクらお金が欲しくて野球やっとったわけやないもんな。

昔、変化球を投げた藤川球児(カブス)に清原(和博・元巨人)が「キン○マついとんのか」って怒ったけど、清原(当時、西武)もあの時代のパ・リーグ育ちやからね。

そういう選手はみんなマスコミが叩き潰(つぶ)してしまいよったやろ。ボクも散々叩かれたわ。痩せろ痩せろ言うて。130?の選手が動いとったらオモロイのにな。

おかわり(中村剛也・西武)なんて太っているうちに入らんわ。言うたんよ。「オマエ、中途半端やな。もうちょい太れ」って。最近の選手はみんなカッコええもんな。

時代なんやろうけど、ボクは顔がやぼったくても、球場全体が震えるような勝負が見たいわ。プロ野球はそういうもんやで。

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冗談を交えつつ、なんとも滋味深い語り……。取材した記者は「透析を週3回受けていると話していましたが、血色も良く、まったくお亡くなりになるなんて夢にも思いませんでした……」と言葉を失う。

あの時代、個性的な野武士たちが魂をぶつけ合った勝負の世界に、確かな記憶でドカベンよ、あなたもいた! 香川伸行はきっと、その愛らしい笑顔で野球界を見守っていてくれるはずだ。

(取材/パシフィックリーグ1980研究会)

■週刊プレイボーイ41号(9月29日発売)「現代プロ野球にはないあの時代を語ろう 80年代パ・リーグ伝説の瞬間」より