ロンドン五輪・体操男子の個人総合決勝が1日(日本時間2日)、イギリスのノースグリニッジ・アリーナで行われ、日本からは内村航平と田中和仁が出場。内村が金メダルを獲得し、田中が6位となった。(写真:5月に開催されたオリンピック・ロンドン大会日本代表決定競技会にて=筆者撮影)

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 ロンドン五輪・体操男子の個人総合決勝が1日(日本時間2日)、イギリスのノースグリニッジ・アリーナで行われ、日本からは内村航平と田中和仁が出場。内村が金メダルを獲得し、田中が6位となった。(写真:5月に開催されたオリンピック・ロンドン大会日本代表決定競技会にて=筆者撮影)

 表彰台の上で、内村は何度もすがめるように金メダルを見つめ、笑顔を浮かべた。「表彰台に上がったときは、夢かと思った。やっとここまできたな、という思いと、いろんなものがこみあげてきた」と、感慨深げに話した。体操男子の個人総合で、実に28年ぶりとなる金メダル獲得という快挙だった。

 ロンドン入りしての練習から、予選、団体決勝と、ここまで彼らしからぬミスが続いていた内村。団体決勝ではあん馬の降り技で大きく乱れ、この審判を巡って審議も起こった。その団体決勝から中一日をはさんだ個人総合決勝は、ミスがあったあん馬からのスタートとなった。

 「あん馬を乗り切ればいい流れにのって、最後までいけると思った」という内村。この日の演技では中盤で旋回がやや乱れたが、これを何とかこらえて着地までまとめた。得点を15点台にのせ、なかなかの好スタートを切った。

 続くつり輪も、着地でわずかに動いた以外はほぼ完ぺきな演技。さらに跳馬では内村の真骨頂ともいえる完璧な着地をみせ、Eスコア(出来栄え点)9.666という高得点をたたき出した。平行棒も、やや疲労が見え始めた感はあったがうまくまとめ、内村は暫定1位に躍り出た。

 5種目めの鉄棒では、内村らしい空中姿勢の美しい演技で会場を沸かせた。最後に予定していた離れ技を抜いたが、これは「1日目に落下があったので、失敗をしたくない思いから」の判断。これが安定感につながり、疲労がたまる中での後半種目ながら着地を確実に決めた。

最終種目のゆかでは、2つ目のタンブリングの着地で前に手をついてしまうミスがあったが、そこからはうまく立て直し、最後まで内村らしい美しい体操でまとめた。

 金メダルを首にかけた内村は「(金メダルは)重たいし、一番輝いています。今もちょっと夢みたいで信じられないですね」と笑顔でその喜びを語った。

 今まで、常に強気な姿勢とそれに見合う実績を残してきた内村。その内村が今回、初めて「(これまで)苦しくて、今日の試合もどうなるかと思ってた」とその心情を吐露した。予選から調子が上がらず、団体で金メダルを逃し、そしてだからこそ大きな期待がかかった、個人総合。「気持ちだけ強く持って、日本チームのためにも国民のみなさんのためにも強い気持ちで演技をしなきゃと思って」試合に臨んだという。

 この日、地元選手の演技以外で、もっとも会場を沸かせたのは内村の鉄棒の演技だった。当初はイギリス国旗で埋め尽くされていた観客席は、大会終盤には日本国旗が激しく打ち振られるようになっていた。内村の“強い気持ち”は、確かに伝わったはずだ。(編集担当:藤間涼)