39万本売れている大阪の水道水「ほんまや」

   水道水が最近、おいしくなっているらしい。食品メーカー、ミツカンの研究施設が都市部在住者に行った調査で、水道水の評価が10 点満点中、過去最高の7.5 点となった。東京都は国が定めている水質基準よりも厳しくし、「カルキ臭」や「カビ臭」の原因となる不純物を減らしている。水質汚染がとりわけ深刻だった大阪市も水質改善に積極的で、水道水の評価は急上昇している。

水道水の評価は過去最高の7.5 点

   ミツカンの研究施設「ミツカン水の文化センター」は、東京圏、大阪圏、中京圏に在住する620 人に水道水に関する意識調査を2009年6月に行った。水道水の評価を聞いたところ、10 点満点中の7.5 点で過去最高となった。1998 年に調査を始めてから水道水への評価は年々高くなっていて、特に2001 年以降は目立って伸びている。

   水道水をまずくしているのが塩素などの不純物だ。塩素は消毒用に使うことが法律で定められているので、一定量が混じるのは避けられないが、有機物質やカビ臭の原因になる物質なども入っている。これらを最小限にしようという試みが各自治体で始まっている。

   東京都はにおい、味、外観(色と濁度)の3つの項目で独自の目標を設定し、水質改善に取り組んでいる。

   水道水の嫌なにおいはおもに「カルキ臭」で、消毒用に入れている残留塩素と、塩素が水中のアンモニア態窒素などと反応して生じるトリクロラミンが原因だ。国が定めた水質基準では残留塩素は「0.1 mg/L以上1.0 mg/L以下」だが、都は「0.1 mg/L以上0.4 mg/L以下」を目標にしている。トリクロラミンはゼロを目指している。08年の達成率は残留塩素が61.7%、トリクロラミンは84.6%だった。また、「カビ臭」の原因物質、メチルイソボルネオールとジェオスミンもそれぞれゼロを目標にし、達成率はいずれも100%だった。味を左右する有機物の含有量、色や濁度についても目標をほぼ達成している。

   不純物は高度浄水処理という技術で取り除かれる。まだ利根川水系の一部の浄水場にしかないが、2013年までにすべての浄水場に導入する計画だ。

   せっかくおいしい水になっても古い水道管では水質が劣化したり、サビが溶けて赤水が発生したりしてしまう。古い管を交換しているほか、貯水槽を通さずに水道管から直接蛇口に水が届く「直結給水」の普及も進めている。

 

大阪市、水道水ボトルが39万本突破

   ミツカンの調査によると、居住地別の評価では大阪圏が08年より0.7 点上回る7.8点と高い。東京圏は7.3点、中京圏は7.4点だった。水道水に対する不満は、東京圏で「おいしくない」が37.4%でトップなのに対し、中京圏では3 位(25.0%)、大阪圏では圏外だった。

   大阪市が水道水に使用しているのは淀川の水だ。かつては水源である琵琶湖の汚染が深刻になったが、研究を重ねて、2000年には高度浄水処理を全浄水場に導入した。

   ところが、あまりにも「まずい水」のイメージがついてしまい、水道水をまったく飲まないという人も結構いた。

   大阪市水道局がかなり以前にアンケートを実施したところ、ミネラルウォーターを飲んでいるという人のほうが多く、「水道水離れ」が顕著なことがわかった。市水道局担当者は、「それから危機感を持ち、水をおいしくするだけでなくPRにも力を入れるようになった」と話している。

   イメージを大きく変えることになったのが、大阪市の水道水を加熱処理してペットボトルにつめた「ほんまや」だ。07年3月から販売をはじめたところ評判になり、09年8月には累計総数39万本を突破した。

   「ほんまや」を買って飲んだ人のブログには「癖のない味」「水道水とは思えない」と書き込まれている。また、「蛇口から出る水道水もおいしくなった」という意見もあった。

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