【高橋 克英】高級ホテルやヴィラが次々と開業…世界の超富裕層が狙う「福岡に近いリゾート地」の名前

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このたび上梓した拙著『超富裕層に「おもてなし」はいらない 世界の一流が日本に惹かれる本当の理由』(講談社+α新書)では、この先も不動産価格の上昇が見込め、インバウンドや富裕層に選ばれブランド化が進む可能性があるリゾート地として白馬、妙高、宮古島などトップ10をランキング化して紹介している。

カネ余りと資産効果を背景に、インバウンドや富裕層が増加し、国内リゾート地にとって好ましい環境が当面続くとみられる。『超富裕層に〜』の「リゾートランキング」トップ10では惜しくも次点だったため紙面を割くことが出来なかったが、今最も注目されるリゾートの一つである福岡・糸島の魅力と可能性について、本稿で詳述したい。

美しい海岸線と糸島ブランド農産物が魅力

福岡市の中心街・天神から車で百道を経て海岸線を走ること45分もあれば到着する糸島は、玄界灘を望む海岸と緑豊かな山々が織りなす美しい景色のなか、カフェや雑貨屋などが点在し、スローライフの発信拠点として、福岡だけでなく全国から移住希望者などを惹きつけている。

JA直営の産直施設の中で日本一の売上を誇るとされるJA糸島の産直市場「伊都菜彩(いとさいさい)」では、いまや全国区となった糸島ブランドの農畜産物や海産物などがそろい、糸島の多彩な恵みを象徴する施設となっている。

糸島はこれまで、豊かな自然環境と美味しい食材に恵まれた「日帰りドライブの観光地」や「移住したい町」として特に、福岡市民にとっては身近な存在だった。

しかしここ数年、単なるローカルな観光地から、国内外の富裕層や投資家たちがひそかに注目する高級リゾート地として生まれ変わろうとしている。

実際、バブル崩壊後、長らく低迷していた別荘やセカンドハウス需要が増えてきており、地元や県外デベロッパーによる富裕層向けのラグジュアリーホテルやヴィラの開業、レストランやリゾート施設の構想も進行中だ。

福岡市から車で45分の好アクセス

糸島の最大の強みは、何といっても福岡都市圏からのアクセスの良さだ。福岡市中心部から車で約45分というアクセスの良さは、北海道のニセコ(新千歳空港から車で約2時間30分)、長野の軽井沢(東京駅から新幹線で約1時間)、沖縄の名護・恩納村エリア(那覇空港から名護・恩納村まで車で約1時間半)などと比べても、その優位性が際立っている。

九州一の大都市にあって「美味い・安い・近い・暮らしやすい」がコンパクトにまとまる福岡市では、2大再開発である「天神ビッグバン」と「博多コネクテッド」が進行中であり、外資系ラグジュアリーブランドホテルでは、グランドハイアット福岡(1996)、ザ・リッツカールトン福岡(2023)に続き、エースホテル福岡(2027)、インターコンチネンタル福岡(2030)が開業を予定している。

福岡は、いま日本で一番元気な都市のひとつと言っていいだろう。地価上昇率も全国トップクラスで、それを支えているのは活発な経済だ。それと両輪の資産効果により、富裕層も福岡都市圏に増加している。こうしたホットスポットと隣接していることは、糸島の発展にとってもプラスでしかない。

アジアの富裕層の二拠点生活も可能に

また、近くて便利な福岡空港において、直行便が就航している海外都市は、アジアを中心に全19都市にも及ぶ。ソウル、台北、上海などアジアの主要都市から福岡空港まではわずか1.5時間から2時間強のフライトだ。台北の富裕層が自国を午前中に出発すれば、昼頃には糸島のラグジュアリーヴィラのテラスで、玄界灘の風を感じながらシャンパンを開けることも可能だ。

また、平日は天神や博多、あるいはアジアの拠点でビジネスし、週末や夜は糸島の別荘やラグジュアリーホテルで家族やパートナーとゆっくり過ごす、といった贅沢な二拠点生活も、糸島であれば叶う。

続々誕生するラグジュアリーホテル&ヴィラ

糸島は、日帰り観光が主流だったため、別荘を除けば、富裕層の長期滞在を受け入れるためのインフラが決定的に不足していた。しかし、上述した福岡都市圏やアジアの富裕層の増加もあり、足元では、ラグジュアリーホテルやヴィラの誕生が相次いでいる。

糸島半島の入り口に位置する二見ヶ浦エリアに2024年3月に開業した「seven x seven 糸島」は、全47室がオーシャンビューのバルコニー付きのラグジュアリーホテルであり霞ヶ関キャピタルが手掛けた。2026年4月には、「Sunset Beach Club」をコンセプトに、糸島の食材を活かした創作料理を提供するダイニングラウンジへと刷新され、宿泊者専用のサウナ&プールエリアも新設されており、富裕層向けリゾートとして生まれ変わりつつある糸島のランドマークの一つとなっている。

2026年6月には、糸島市二丈鹿家に「THE SHIKAKA」が開業した。福岡・岡垣の「ぶどうの樹ワイナリー」を手がけるグラノ24Kが運営する。全15室にジェットバスを完備。客室にいながら専属の職人が腕を振るう鉄板焼や鮨を味わえるインルームダイニング宿泊のほか、オールインクルーシブ宿泊、1棟貸切などプランは豊富だ。

その他、海を望む全4棟1日1組限定の一棟貸し天然温泉付オンザビーチヴィラ「SAND」、1日1組限定でプールやサウナを備えるスイートヴィラ「WADATSUMI」、ビーチ直結で1日1組限定・貸切サウナ付ヴィラ「CODE ROOMS ITOSHIMA」など、富裕層向けのスモールラグジュアリーヴィラも相次いで誕生している。

最後のピースとなる「外資系高級ブランドホテル」

もっとも、糸島がこの先も不動産価格の上昇を伴いながら、世界基準のラグジュアリーリゾートとしてブランド化するには、外資系高級ブランドホテルの存在が不可欠だ。インバウンドや海外富裕層ニーズを満たす外資系高級ブランドホテルや高級コンドミニアムの存在がないと、彼ら彼女らの滞在先の選択肢から外れることにもなる。泊まりたくても泊まる場所がないのだ。

「リゾートランキング」トップ10に名を連ねる長野・白馬や沖縄・宮古島などと、糸島を比べて、まさに足りないものが「外資系高級ブランドホテル」である。福岡市街地との距離や市場規模などから、簡単な話ではないかもしれないが、糸島に外資系高級ブランドホテルやホテルコンドミニアムが出来れば、更なるブランド化への象徴となり、飛躍への大きな起爆剤となろう。

公示地価は11年連続上昇中

いずれにせよ、糸島エリアでは、県内だけでなく、首都圏など県外からの移住ニーズに加え、県外資本によるホテルや別荘開発や、観光客向けの新規出店ニーズも増えつつあるなか、糸島の海沿いや見晴らしの良い高台など、別荘・リゾート開発に適した一等地は、物件供給も限られるなか、売り手市場になりつつある。

実際、2026年の公示地価では、糸島市の住宅地は前年比5.2%と11年連続の上昇、商業地は前年比9.2%と8年連続の上昇となっている。特に、商業地の上昇率において、糸島市前原中央2-10-30が前年比14.2%の14.5万円/?と福岡県内で5位につけている。

この先、外資系高級ブランドホテルの誘致などにより、海外富裕層などインバウンドの取込みなども進んでくると、更なる不動産価格の上昇も見込めそうだ。

投資が投資を呼ぶ好循環が生まれようとしている

糸島をはじめ新たなる世界リゾート候補地においても、ラグジュアリーホテルやヴィラの開業に加え、別荘やホテルコンドミニアムなど良質な不動産の投資機会が供給され、国内外の投資家や富裕層が集まることで、ブランド力が更に高まり、資産価値の上昇により、更なる開発や投資が行われる、という投資が投資を呼ぶ好循環が生まれようとしている。

環境保全などを図りながら、地元にとっても、投資や消費が増えることで、雇用や税収が増えることで恩恵がある話だ。更なる消費と投資を惹きつけている糸島にはこの先も注目したい。

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