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仮想空間を活用し、環境負荷低減

ドライビングシミュレーターはますます高度化しており、自動車や部品の開発方法を大きく変革しつつある。かつては、ドライバーやパイロットを実際にF1マシンや飛行機に乗せることなく、リアルな訓練環境を作り出すというレベルだったが、今ではさらに進化を遂げている。

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ハードウェア・イン・ザ・ループ(HiL)と呼ばれるシミュレーション手法では、電子制御ユニットなどのコンポーネントをコンピューターモデルに接続することで、長時間にわたってテストを行うことができる。ドライバー・イン・ザ・ループ(DiL)も同様の仕組みで、実際のドライバーが人間らしい反応や入力を行いながら、仮想の自動車やその部品をテストできる。これにより、実機でのテストにかかる時間と費用を削減できる。


VI-grade社のドライビングシミュレーター『DiM500』。    VI-grade

ブリヂストンは最近、VI-grade社製の新しいDiLシミュレーター『DiM500』を導入した。DiM500により、ブリヂストンのエンジニアは、開発サイクルの後半までタイヤを実際に製作したり物理的にテストしたりすることなく、仮想プロトタイプタイヤの性能を評価できるようになる。

このシミュレーターを使用することで、高精度なシミュレーションと、ドライバーの主観的なフィードバック、および過去のデータを組み合わせることができる。また、AI技術を取り入れることで、AIが特に得意とする「膨大なデータから関連情報を抽出する」作業も可能になる。

その結果、ブリヂストンはより多様な条件下で、より多くのタイヤ仕様を迅速に評価し、早期かつ正確な設計判断を下せるようになる。年間最大1万2000本ものプロトタイプタイヤが不要になり、環境への影響を大幅に低減できると見込まれている。

自動車メーカーとの連携もスムーズに

他にも利点がある。自動車メーカーはすべて、新型車の開発において提携先のタイヤメーカーと協力し、そのモデル向けの純正タイヤを設計・調整している。タイヤメーカーと自動車メーカーの両方がDiLシミュレーションを活用することで、タイヤと車両をより早い段階から並行して開発できるようになるのだ。

DiM500シミュレーターは現在、主にドライ路面でのハンドリング評価に使用されているが、将来的にはより幅広い走行条件に対応できるよう進化していく予定だ。


今後、ブリヂストンの製品にどう生かされるか注目だ。    平井大介

ブリヂストンはすでにバーチャル・タイヤ・デベロップメント(VTD)技術を導入しており、これにより新車装着タイヤの開発段階における原材料消費量を60%、交換用タイヤでは25%削減している。ブリヂストンによると、VTDの導入により実車テストの回数は80%削減されたという。

DiM500は、2021年にグッドイヤーが導入した『DiM250』などの従来モデルから一歩進化したものだ。DiM500はアクチュエーターではなくケーブルで駆動されるため、可動範囲が広く、より多くの用途に使用できる。

その主な利点の1つは、テストドライバーに定常加速状態をより長時間体験させられることだ。車線変更のような操作をより現実的に再現し、これまで以上にリアルで没入感のある体験を提供できる。