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ACにとって転機となる1台

英国のスポーツカーメーカーであるACカーズが、新型のV8エンジン搭載モデル『コブラGTクーペ』を発表した。価格はVAT別で23万1900ポンド(約5000万円)から。来年より生産開始予定だ。

【画像】英国の名門ACカーズの新時代を切り拓く最新モデル【コブラGTクーペとコブラGTロードスターを詳しく見る】 全21枚

同社のアラン・ルビンスキー会長によると、このモデルを機に、ACはグローバルブランドへと発展し、年間1000台以上の生産を目指すという。


ACコブラGTクーペ(プロトタイプ)

新型コブラ・クーペは、2024年に登場した『コブラGTロードスター』のクローズドルーフ版であり、部品の75%を共有している。エンジンは同じで、フォード製の5.0L V8を搭載し、最高出力456psの自然吸気仕様、あるいは730psのスーパーチャージャー仕様が選べる。ラインナップの最上位には810psの『クラブスポーツ・エディション』が位置し、価格は39万9000ポンド(約8550万円)、99台限定で販売される。

トランスミッションは、トレメック製6速マニュアルまたは10速オートマティックのいずれかを選択可能。自然吸気仕様にはリミテッドスリップディファレンシャルが、その他の仕様にはトルセン式ディファレンシャルが採用されている。全車、サスペンションは前後ダブルウィッシュボーン式で、駆動方式は後輪駆動となる。

1960年代からインスピレーション

シャシーはアルミニウム製で、ボディはフルカーボンファイバー製だ。どちらもACの内製品であり、ボディは英国サセックスに拠点を置くグリーンテック・オートモーティブ社が担当する。ACは生産コストと材料費を抑えるため、最近同社を買収した。

ACによると、フロントフェンダーより後方のボディワークはすべてクーペ専用設計であり、1964年のル・マン24時間レースのために製作されたワンオフの固定ルーフ仕様『コブラA98』からインスピレーションを得ているという。


ACコブラGTクーペ(プロトタイプ)

インテリアはロードスターと同様で、アナログメーター群の横に小型のデジタルタッチスクリーンが配置され、3本スポークのステアリングホイールを備えている。

ボディサイズは全長4225mm、全幅1980m、全高1290mm、ホイールベース2570mmと、これまでのACモデルよりも大型化している。これは世界各地で公道を走行できるよう、規制に準拠した結果だ。より小型にすることも可能だったが、そうすると大半の市場でサーキット専用車になってしまっただろうと、エンジニアリング責任者のジョン・ピーク=ヴォート氏はAUTOCARに語った。

また、V8エンジンを小型エンジンに置き換えることもできたが、「それはACのやり方ではありません」という。ピーク=ヴォート氏は、ボディサイズが変化しても「伝統とルーツは明らか」であるとし、「これがACコブラであることに疑いの余地はありません」と付け加えた。

これらの写真に写っている車両はまだプロトタイプだ。ピーク=ヴォート氏は、最も重量のあるスーパーチャージャー仕様でも「1600kg未満」の車重を目指していると語った。ロードスターの車重は最大1500kgだ。

生産台数大幅増への意欲

会長のルビンスキー氏はこのコブラGTクーペについて、創業125年のACにとって初の「量産(volume)」モデルだと説明した。同氏はAUTOCARの取材に対し、このモデルをきっかけとして、ACの年間生産台数を現在の約100台(ハンドビルド)から1000台以上に引き上げる計画だと語った。

「ACの歴史上、最もエキサイティングな時期となります」とルビンスキー氏は言う。


ACコブラGTクーペ(プロトタイプ)

クーペが選ばれたのは、米国や中東などの市場では、コンバーチブルよりも固定ルーフの方が人気が高いためだ。英国では『コブラ・クーペ』として販売されるが、ライセンス上の問題から米国では『コブラGTクーペ』という名称で販売される。米国は、ACの総販売台数の約半分を占める重要な市場だ。

増産を実現するため、ACは英国に新工場を開設する予定だが、施設の詳細はまだ明らかにされていない。現在、車両はACのドイツ工場にて75%完成させた後、英国へ送られ最終組み立てが行われている。新工場では、シャシーを除くすべての部品を現地生産する計画だ。

新工場ではクーペとロードスターの両方が生産され、その大部分はクーペが占める見込みだ。クーペの生産は、現在のロードスターの受注が消化され次第、来年から開始される。納車開始は2028年を予定している。

ACのブランディング戦略

これらの2車種に続き、ACはさらなるモデルを投入する予定だ。コブラと同様に、過去のラインナップから復活させることになる。

ピーク=ヴォート氏は「ロードスターとクーペのプラットフォームは、他のモデルにも適しています」と述べた。

2030年代を見据え、同社CEOのデビッド・コンザ氏は「Chapelleのようなブティックと、H&Mのような大手量販店との間にはわずかな境界線があります。まさにその中間に位置づけたい」と抱負を語った。

クラシックなモデルも追加

新モデルが中核事業となる一方、コブラMk4と今後登場する『エース』からなるクラシックシリーズは、ブランド構築の役割を担う。

「これはやりがいのある取り組みであり、質の高いものを作ることが重要ですが、それだけでは経営を維持することはできません」とピーク=ヴォート氏は述べた。


ACカーズの生産施設

両モデルとも、リバースエンジニアリングを経てオリジナル仕様に基づいて生産されているが、新たにアルミ製シャシーを採用するなど、現代的な要素も取り入れている。例えば、コブラMk4にはまもなく、パネルの継ぎ目をなくしつつ軽量化も図った一体成型カーボンファイバー製シェルがオプションとして用意される予定だ。

すべての車両はサセックスで受注生産されており(新工場の開設後もこの体制は続く)、多種多様な特注パーツを組み合わせることができる。

クラシックシリーズのラインナップをどう拡大していくのかという質問に対し、ルビンスキー氏は、さらなるモデルの計画を進めていると答えた。

「エースをベースに、1950年代のアシーカのようなモデルが再び登場するかもしれません。カーボンファイバー製ボディを成形する当社の技術があれば可能です。そこから派生して、他のモデルも生まれてくるでしょう」

性能を高めたEVも計画中

ルビンスキー氏はまた、各モデルに完全電動パワートレインが搭載される可能性にも言及した。現在、EV仕様が用意されているのはエースのみで、300psのモーターと72kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は約320kmとされている。しかし、将来のモデルはさらに進化するという。

ルビンスキー氏は、「この(EVの)技術は、約1年半前に開発したもので、今では少し古くなっています。現在ははるかに優れた技術を持っているので、アップデートするつもりです」と語った。