「部活バス」遠征は禁止すべき?千葉県議「現場に全て丸投げは無責任だ」「費用補助を出していく流れは作っていかなければならない」

5月6日、福島県の磐越自動車道で部活動の遠征中だった高校生らの21人が死傷した、マイクロバスの事故。18日の実況見分では、容疑者に当時の状況を説明させながら、現場の周辺などを確認した。
容疑者は「体調と運転に不安はなかった」と供述しているが、警察は正常な運転ができる状態だったかについても調べる方針だ。
そうした中、国土交通省と文部科学省は、部活動の遠征など学校教育における移動手段を話し合う連絡会議を設置し、今後、安全対策を取りまとめるという。さらに、千葉県教育委員会が県内の学校に部活動の移動では原則として公共交通機関を利用し、旅客輸送の許可を受けていない白ナンバーのマイクロバスなどの利用禁止を呼びかけると、自治体でも規制強化の動きが出ている。
命を守るために当然の対応とも思える一方、部活の遠征についてXでは「バスの移動がなくなると遠征が成り立たない」「地方は公共交通機関だけだと厳しい」「大会や練習試合に間に合わなくなる」といった声もあがっている。
部活遠征の安全管理はどうすべきなのか。事故やトラブルが起きるたびに、規制を強化することは当然なのか、『ABEMA Prime』で考えた。
■部活遠征のバス事故を受けた文科省の通知

千葉県議会議員の雨宮しんご氏は「過去に千葉県においても、公立高校の職員の方が自家用車に生徒を乗せて事故にあったことがあった。そういったことを受けて、2008年に部活動の遠征については原則としては公共交通機関を使いましょうということ。いわゆる白バスについては絶対に利用はしない、そして教職員の自家用車については児童生徒を同乗させないようにすると決めた。今回の事件を受けて、もう1回再通知をした」と説明。
その上で、「遠征が成り立つような設計をしていくしかない。今回の通知だけで終わらせて、現場に全てを丸投げしちゃうのは無責任だと思う。やはりどういう安全確保、安全管理をしていくのかということと同時に、費用補助などがないと現実的には厳しい」と付け加えた。
■公共交通機関の利用制限による現場の不便さとコスト問題

30年以上バドミントン部の監督を務めている私立白梅学園高校校長の武内彰氏は、「公共交通機関だけだと荷物の問題や、宿舎と大会会場の移動等にかなり不便な状況が生じる場合もある。そういった利便性や費用の問題を考えた時に、監督が実際にマイクロバスをレンタルして、生徒を乗せて大会に行くことはある。その際に私が今1番大事だと思っているのは、学校組織のトップが事前に『誰が同乗するのか』『どういった形で移動していくのか』を把握した上で、責任ある校長が送り出すことをきちんと整えていく。顧問の責任にするのではなく、学校の責任者の承認のもとに行っていることは、いろんな学校で徹底していく必要があるんじゃないか」との考えを語る。
バスの料金相場は、運転手付きの東京発日帰りで9時間・250キロまでだと、大型バスだと16.7万円以上、中型バスだと14.3万円以上、マイクロバスだと12.5万円以上かかる。これが毎回となると保護者や学校の負担は大きい。
雨宮氏は、「千葉県の場合、県立高校に対して、例えばバスケットであればボールを購入するような予算は出しているが、遠征補助費用は出ていない。多くの県立高等学校を抱えているので、特定の公立高校が遠征に特化しているからといって、そこにだけ補助を多めに出すと不公平感が出てしまうので、なかなか行政としては難しい。これが今の実情になっている」と述べた。
■ゼロリスク思考の是非

事件や不祥事、事故が起きるたびにルールが一律で禁止や見直しになる「ゼロリスク思考」があるが、武内氏は「公的な機関になれば、ゼロリスクを目指して規制をしていくことはあると思う。ただ、例えば生徒の思い、保護者の思い、教職員の思い、そういったものを総合的に考えて、リスクゼロだけを目指していくのではなく、何が1番最適解かを学校現場の中で探っていく。その余地は残ってていいのではないか」と話す。
慶應大学戦略構想センター特任助教の山本みずき氏は、「リスクに限って言えば、何か問題が起きた時、失敗した時は、それこそが発展へのひとつのプロセス、きっかけになると思う。失敗するかもしれないっていうリスクを取ることで発展していくと思うので、規制によって完全に閉じてしまうのか、あるいはそれを発展への契機として次につなげていくか、そこが分岐点になるんじゃないかと思う」との見方を示した。
雨宮氏は、「どこまでリスクを取るのか、それに対する適法な選択肢をどうやって示していくのかを、これからやっていかなければ解決は見出せないと思う。費用補助を出していく流れは作っていかなければならない」とした。
(『ABEMA Prime』より)
