この国を襲った「豪雨災害」の恐ろしさ…インフラへの「具体的な被害」
日本はこのまま崩れ去ってしまうのか? 道路、鉄道、水道、インフラ、橋……なぜ全国各地で次々に事故が起きるのか? お金も人も足りない……打つ手はあるのか?
注目の新刊『日本のインフラ危機』では、私たちの暮らしを揺るがす「大問題の正体」を豊富なデータと事例から解き明かす。
(本記事は、岩城一郎『日本のインフラ危機』の一部を抜粋・編集しています)
豪雨災害
令和元年の東日本台風では私たちのキャンパスそのものが約2メートルほど浸水し、被災することとなりました。幸い、大学の学生と教職員は全員無事でしたが、一つ間違えば悲惨な事故につながっていても不思議ではない状況でした。
これまで橋は水位が上がっても比較的安全と考えられていましたが、最近の災害ではその考えも改めなければいけなくなりました。令和2年7月の豪雨で熊本県を流れる球磨川などでは水位が橋の上にまで来て、流木などが橋に引っかかることで大きな水圧がかかり、橋を流してしまう事例が発生しました。東日本大震災の津波により生じたことが、豪雨災害によっても引き起こされることがわかったのです。
さらに増水した水が橋台や橋脚といった橋を支える部材を削り取る洗掘と呼ばれる被害が各地で頻発するようになりました。最近の豪雨災害は観測史上初と呼ばれているものが多く、過去の経験からこの橋は大丈夫という概念が通用しなくなったのです。
これらの災害調査を通して感じることは、災害に二つとして同じものはないということです。過去の教訓にばかりすがっては、これから起こりうるさらに甚大な災害に適合することはできません。人間はいつになったら自然災害に対して先回りをすることができるのか、いつまでこのような後追い、つまりは“いたちごっこ”を続けるのか、悩みはつきません。でも立ち止まることは許されません。想像力をさらに張り巡らせ、自然の脅威に対し、インフラの安全性を確保し、市民の命と財産を守ることが土木技術者の使命だからです。
さらに、「日本はこのまま崩れ去ってしまうのか…意外と気づかない「インフラ危機」本当の実態」」では、いま大問題として迫っているインフラ老朽化問題をひきつづき見ていく。
