「契約を見直せ!」ファンも気をもむ「村上宗隆」の去就…オールスターゲームでホワイトソックスとはお別れなのか
8カード連続の初戦アーチ
シカゴ・ホワイトソックスの村上宗隆(26)が15号アーチを放ったのは、現地時間5月8日のマリナーズ戦だった。ホームランランキング1位のアーロン・ジャッジ(34=ニューヨーク・ヤンキース)と並ぶ一撃とともに、“コアなメジャーリーグ記録”も樹立された。
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「直近8カード連続で、村上は初戦に本塁打を打っています。8カード連続の初戦アーチはメジャーリーグ史上初の快挙だと、MLB公式サイトで紹介されました」(現地記者)
村上がいきなり本塁打王争いを繰り広げるとは誰も予想できなかった。「大活躍」である。しかし、彼の価値を本当に高めたのは4日のエンゼルス戦で打った14号アーチだという。

「ホセ・ソリアーノ(27)から打った本塁打でした。ソリアーノは96マイル(約155キロ)以上の速球とシンカーを操る剛腕投手で、今季も防御率トップを争う活躍を見せています。村上のようなニューフェイスが活躍すれば、称賛のニュースと同じ量の辛口批評も出ます。これはメジャーリーガーの宿命のようなもので仕方ないのですが、村上への辛口批評のなかに『96マイル以上の速球に振り遅れ、スピン量の多い剛球に差し込まれることも多い』という的確なものもありました。しかし、ソリアーノからホームランを打ったことで、村上は速球にも対応しつつあることを証明したのです」(前出・同)
その4回表に出た2ランアーチは、センターバックスクリーンに着弾。推定飛距離は約429フィート(約130メートル)と報じられた。「見逃せばボール球」という外角球。直球に釣られて手が出てしまったのではなく、「打てる」と確信してのスイングだった。こうして一部の辛口メディアも黙らせたようだが、同時にホワイトソックスでも、村上自身の今季中盤以降の去就を巡る動きがさらに慌ただしくなってきた。
「2022年に日本で三冠王に輝いた実績と同時に、三振の多さも懸念されていましたが、村上は開幕から好スタートを切りました。彼の活躍は、昨季まで3年連続でシーズン100敗以上を記録したチームの希望となり、『長期の大型契約を結び直すべきだ』の声も高まっているのです」(前出・同)
村上の契約は2年3400万ドル(約54億円)。ポスティングシステムによる米球界挑戦が正式に表明された直後は、1億5000万ドル(約227億円)以上の大型契約を予想する米メディアも多かった。大型契約に発展しなかった背景には、バットコンタクト率の低さという技術的側面もあったが、米フリーエージェント市場の動きも影響していた。
「契約を見直すべきだ」という声も
村上は「三塁手」としては、守備力がイマイチなことも報じられていたが、まだ26歳という“若さ”でカバーされていた。しかし、「三塁手」の事態が一変した。ボストン・レッドソックスがゴールドグラブ賞にも選ばれた強打の三塁手、アレックス・ブレグマン(32)の慰留に失敗したのである。
「ホワイトソックスの昨年オフの補強ポイントは、大砲タイプのスラッガーです。強打者を探している球団、もしくは三塁手を探している球団の関心が村上からブレグマンに移り、村上との交渉は硬直状態となってしまいました」(米国人ライター)
ポスティングシステムには交渉日数が決まっており、期日は米東部時間の2025年12月22日午後5時(日本時間は23日午前7時)。「ブレグマンの獲得に失敗した球団が村上との交渉に切り替える」との見方もあったが、期日が迫っていたため、村上の代理人であるエクセル・スポーツ・マネジメント社のケーシー・クロース氏が作戦を変更した。
村上が好成績を残しやすい弱小球団で、年俸額も大きく落として短期契約を狙う……つまりクロース氏は、村上がシーズン開始後に好成績を収めたら、再び米FA市場に出るつもりでおり、彼の現在の活躍に沸くシカゴのファンも、そのことを分かっているのである。
シカゴの地元メディア「Southside Showdown」は「契約を見直すべきだ」と何度も主張し、「ムラカミが初対戦の投手にも対応している点ももっと評価すべきだ」とも訴えていた。また、球団公式のSNSの書き込みには「俺たちはムラカミをロサンゼルス・ドジャースへ送り出す準備をしているだけか」という笑えないジョークもあった。
「Southside Showdown」の「40本塁打を放つパワーは簡単には手に入らない。長期契約を結び直すべき。躊躇っていたら、その分年俸も釣り上がる」という主張に対し、米スポーツ専門局「The Athletic」は「ホワイトソックスが彼を放出する可能性もある」と客観的な見方をしていた。放出については、トレード情報をメインニュースとする「MLB Trade Rumors」も独自の村上評も加えて報じていた。
「ホワイトソックスはメガコントラクトを結んだことがない。地区優勝を争っているチームからすれば、村上の守備難はやはりネックになり、さほど魅力的な選手には見えないだろう。このまま村上が活躍して昇給が確実になれば、ホワイトソックスが先に決断するだろう」
今夏のトレード移籍もあり得る、という意味だ。
「メガコントラスト」とは1億ドル(約155億円)以上の大型契約のこと。「今夏のトレード」とは、下位チームが上位チームに対して主力選手を放出する見返りに将来が有望な若手数人をもらうフラッグディール・トレードのことだ。こうした状況に対し、ホワイトソックスのクリス・ゲッツGMが取材に応じている。現地時間4月24日のナショナルズ戦前だったが、昨年12月の入団会見で「我々は世界屈指の強打者を手に入れた」と言った自身のコメントが笑われたことを蒸し返して、
「あの発言の正しさを証明するように、ムネが実際に長打を打ってくれていた。有り難い」
と笑って見せた。しかし、その村上との契約の見直しを求める地元ファンが多いことを聞かれると、
「彼とは来季の話をしていない。シーズンは始まったばかりで」
とはぐらかした。ホワイトソックスも決めかねているのではないだろうか。
オールスターゲームが転機に?
「ホワイトソックスは、昨季22本塁打を打ったレニン・ソーサ(26)をすでにブルージェイズに放出しています。見返りはマイナーの若手と現金か、ドラフト指名権。どちらにするかは後日また話し合うというものでした」(前出・米国人ライター)
このソーサの放出が興味深い。ソーサは村上獲得前までは将来の主砲候補だった。バットコンタクト率は高いが、ボール球にも手を出して失敗する弱点もあり、俊敏性が求められる二塁手でありながら、体型はズングリ系。「村上が活躍しているから、ソーサでビジネスができた」との見方もある一方、「ソーサの年俸は78万ドル(約1億2000万円)だが、これ以上は出せない」という切実な声も聞かれた。
現地時間5月5日、MLB公式サイトのホワイトソックス記事には「フィラデルフィアのホテル料金をチェックしておけ」と村上にエールを送っていた。フィラデルフィアは今年のオールスターゲームの開催地だ。その晴れ舞台がホワイトソックスのユニフォーム姿の見納めとなるのだろうか。
デイリー新潮編集部
