こちらは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した渦巻銀河「Messier 77(M77)」。くじら座の方向、約4500万光年先にあります。


【▲ ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した渦巻銀河「M77」(Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, A. Leroy)】

まばゆく輝く活動銀河核

画像の中央で、圧倒的な明るさで輝いているのはM77の活動銀河核(AGN)です。活動銀河核は強い電磁波が観測される銀河中心部の狭い領域のことで、その原動力は太陽の数百万倍〜数十億倍の質量がある超大質量ブラックホール(超巨大ブラックホール)だと考えられています。


ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によると、M77の活動銀河核では、太陽の約800万倍の質量を持つ超大質量ブラックホールが原動力となっています。ブラックホールの強大な重力によって引き寄せられたガスが、その周囲を緊密かつ高速で回転しながら衝突・加熱され、莫大なエネルギーが電磁波として放射されています。


また、中心部から放射状に伸びる大小8本のオレンジ色の光の筋は、銀河そのものの構造ではありません。これは「回折スパイク」と呼ばれる現象で、ウェッブ宇宙望遠鏡の六角形の鏡の縁や、副鏡を支える支柱によって光が回折する(わずかに曲がる)ことで生じる光学的な特徴です。


通常、回折スパイクは手前にある非常に明るい恒星などを観測した際に現れますが、M77の活動銀河核が極めて明るくコンパクトであるために、このような美しい模様が描き出されています。


渦巻く星間ダストと活発な星形成

ESAによると、M77は目立つ活動銀河核を持っているだけでなく、星が極めて活発に誕生している銀河としても知られています。


画像全体に広がる煙のように渦巻く青い構造は、Webb宇宙望遠鏡の「MIRI(中間赤外線観測装置)」が捉えた星間ダスト(塵)の分布を示しています。ダストの隙間に点在するオレンジ色に光る泡のような領域は、新しく誕生した星団によって形作られています。


また、銀河の中心の周囲には直径6000光年以上に及ぶ「スターバーストリング」と呼ばれる明るいリング状の構造が存在し、広範囲で激しい星形成が起きています。


ESAによれば、M77は地球から比較的近い位置にあるため、このようなスターバースト(爆発的星形成)現象や、銀河における星の誕生から死までのサイクルを研究する上で非常に貴重な観測対象となっています。


冒頭の画像はESA/Webbから2026年5月7日付で公開されています。


 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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