JR運賃改定で「通勤手当1万円」増えたら、なぜか“社会保険料”が「年3万4000円」増えた! 通勤費にも“課税される”なんて理不尽じゃないですか!? 月収32万円のケースで解説

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2026年3月に東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)が実施した料金改定によって、運賃が値上げされました。この料金改定により、社会保険料が上がる可能性があることをご存じでしょうか。   給与は変わっていないのに手取りだけが減少する理由は、社会保険料の算定基準にあります。本記事では、社会保険料の算定基準や運賃改定による社会保険料への影響などを解説します。

通勤手当は社会保険料の算定基礎に含まれる

社会保険料(健康保険・厚生年金)は、標準報酬月額に基づいて決定されますが、標準報酬月額には、基本給だけでなく各種手当も含まれます。通勤手当(交通費)も報酬に該当し、算定基礎に含まれるため、通勤手当が増額すると総支給額が増え、結果として保険料が上がる仕組みとなっています。
なお、非課税扱い(所得税)であっても、社会保険では課税・非課税に関係なく報酬扱いとなる点に注意しましょう。

運賃改定によって社会保険料が高くなるケースも

2026年3月14日に、JR東日本は運賃改定を実施しました。企業が支給する通勤手当は、一般的に実費に応じて増額されるため、運賃値上げに伴い通勤手当も増えるケースが考えられます。
前記のとおり、標準報酬月額には通勤手当など各種手当が含まれるため、通勤手当の増加は標準報酬月額の上昇要因となり、社会保険料の引き上げにつながる場合があるのです。社会保険の保険料率は報酬が上がるほど負担額も比例して増加することから、結果として給与は変わらないのに手取りが減る現象が起こる可能性があります。

社会保険料は4月・5月・6月の報酬によって決まる(定時決定)

社会保険料は、毎年1回実施される定時決定により見直されます。その基準となるのが4月・5月・6月に支払われる報酬の平均額です。3ヶ月の報酬を基に標準報酬月額が決定され、9月以降の保険料に反映される仕組みです。
年度初めの残業代はもちろん、定期券を購入して通勤手当の支給を受ける場合も、この期間に含まれると年間の保険料に影響します。
例えば、JR線さいたま新都心~東京の6ヶ月定期は、改定前の7万350円に対し、改定後は7万9650円となり、差額は9300円です。これを4月に購入して通勤手当の支給を受けた場合、6ヶ月で割った値が標準報酬月額となるため、1ヶ月あたり1550円のプラスとなります。
ここでは、東京都在住・40歳未満・全国健康保険協会(協会けんぽ)加入だと仮定して社会保険料の負担額をみていきましょう。通勤手当の増加により、標準報酬月額が33万円台(23→24等級)となった場合、「健康保険料・介護保険料」「子ども・子育て支援金」「厚生年金保険料」の自己負担額の合計は以下の通りです。


・23等級の場合
1万5760円+368円+2万9280円=4万5408円
・24等級の場合
1万6745円+391円+3万1110円=4万8246円

1ヶ月あたりの差額は2838円となり、年間では3万4056円ほど社会保険料が上がる可能性があります。
通勤手当が1万円増えただけで社会保険料が年間3万円以上増えてしまうこともあり得るため、納得がいかない人もいるかもしれません。標準報酬月額の等級を上げないためには、年度初めの残業は控えるといった対策は有効でしょう。

まとめ

社会保険料は、基本給と各種手当を含む標準報酬月額に基づいて決定されます。
運賃改定などにより通勤手当が増えると、標準報酬月額の等級が上がり、社会保険料が増加する可能性があります。手取り額にも影響し得るため、社会保険料の仕組みを理解しておくことが重要です。
 

出典

日本年金機構 定時決定(算定基礎届)
全国健康保険協会 令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー