千葉・グランドルチェ、埼玉・白鳥菓子工房…人気店が突然の事業停止 原材料高に苦しむ「街のケーキ屋さん」 6割が業績悪化
2025年度に発生した「洋菓子店」の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は65件に上り、2年続けて最多を更新しました。
株式会社帝国データバンクが2000年4月1日から2025年3月31日まで行った調査・分析によると、倒産件数は物価高を背景に急増した前年度の51件から14件・約3割も増えました。
25年度に入ってさらに物価高が加速し、材料費が高騰する一方で、専門店に匹敵するようなコンビニスイーツなどが台頭。特に400〜600円前後の中価格帯スイーツでの価格・獲得競争が激化しており、値上げが難しい「手頃な街のケーキ屋さん」で、特に厳しい現況が鮮明になっています。
小麦粉のほか、バター・クリームなどの乳製品、カカオなどあらゆる原材料価格が記録的な高止まりを見せているほか、包装資材や人件費、水道光熱費などの上昇も重なり、洋菓子店の収益力は急激に低下しています。
他方で、節約志向の高まりに加え、従前まで街の洋菓子店が得意としていた中高価格帯にコンビニスイーツが進出。さらに、店舗拡大を進める大手洋菓子チェーン店との競争にも晒された結果、街の洋菓子店は客離れを恐れてコスト上昇分を価格に反映できない「板挟み」に。地域で複数店舗を展開する中堅の洋菓子店では、利益を確保できずに淘汰されるケースが多く発生しました。
ショッピングセンターなど7店舗を展開していたグランドルチェ(千葉)は、原材料価格の高騰や人件費の上昇に耐えきれず、事業継続を断念。著名なフランス菓子店として人気だった白鳥菓子工房(埼玉)も、収益性が低かったところに原材料価格の高騰が追い打ちをかけ、事業継続が困難となりました。
2025年度の洋菓子店における損益状況をみると、営業利益率は平均0.7%と前年度から悪化し、食品をはじめ物価が急上昇した22年度以来の低水準に。また、最終損益では約3割超が赤字となったほか、「減益」を含めた「業績悪化」の割合は6割に迫りました。
客離れを恐れて値上げを見送ったことで粗利率の悪化を招いたほか、商品のサイズを小ぶりにする「実質値上げ」で対応した結果、かえって顧客満足度の低下を招くなど悪循環に陥ったケースも見られ、難しい経営判断を迫られた様子が浮き彫りとなっています。
独自のブランド力と品質への支持を獲得した人気店では、原材料費の高騰による値上げを「納得させる」ことで、利益水準を維持・拡大するほか、InstagramなどSNSの活用、ケーキの完全予約制で廃棄ロスをなくす動きも。
ただ、そうした取り組みが可能な洋菓子店は限られ、多くは激しい競争環境の中で余裕のない経営を余儀なくされています。カカオなどの原材料価格は引き続き高騰が見込まれるなど経営環境は厳しく、利益を確保できずに淘汰される洋菓子店は、今後も高水準で推移するとみられます。
【出典】株式会社帝国データバンク
