天王星の一番外側にある2つの環は組成と起源が大きく異なる? 最新の研究で判明
カリフォルニア大学バークレー校のImke de Paterさんを筆頭とする研究チームは、天王星の一番外側にある2つの環について、組成と起源が全く異なることが明らかになったとする研究成果を発表しました。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「Journal of Geophysical Research: Planets」に掲載されています。

青と赤 色が異なる2つの環の謎
天王星では全部で13の環が見つかっています。内側の主要な環は1977年に発見されていましたが、一番外側にある極めて暗く細い「μ(ミュー)環」と「ν(ニュー)環」の2つは、ハッブル宇宙望遠鏡による2003年から2005年にかけての観測によって発見されました。
これまでの観測では、外側のμ環は青みがかった色を、内側のν環は赤みがかった色をしていることがわかっていました。しかし、2つの環を構成する物質の詳しい組成や起源はわかっておらず、同じ天王星の環でありながら色がこれほど異なる理由は謎に包まれていました。

3つの望遠鏡が解き明かした真の姿
研究チームは、ハワイのW. M. ケック天文台のケックII望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡が過去に取得した観測データに、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で取得した赤外線の観測データを組み合わせて、環が反射した太陽光の可視光線から赤外線にかけてのスペクトル(電磁波の波長ごとの強さの分布)を分析しました。その結果、μ環とν環はどちらも波長3マイクロメートル付近の赤外線に強い吸収がみられるものの、組成には大きな違いがあることがわかりました。
研究チームによると、青みがかったμ環のスペクトルは水の氷の特徴とよく一致しており、天王星の衛星マブ(Mab、幅約12キロメートル)に微小隕石が衝突することで飛び散った微細な氷の粒でできていることが明らかになりました。
一方、赤っぽいν環は岩石質の物質でできていて、太陽系の外側領域に広く存在するソリン(メタンなどと紫外線の作用で生成される赤茶色をした化合物)が10〜15%程度混ざっている可能性が示されました。このことからν環を構成する物質は、まだ見つかっていない岩石質の天体から隕石衝突などによって供給されているのではないかと推定されています。

新たな謎と将来の天王星探査への期待
今回の研究は、天王星の隣り合う環が全く異なる起源を持つという興味深い事実を浮き彫りにしました。それと同時に、氷の粒でできたμ環の供給源である衛星マブが、岩石質とみられる内側の他の衛星とは大きく異なる組成を持っているのはなぜなのか、という新たな疑問も提示しています。研究に参加したSETI研究所のMark Showalterさんは、この謎の答えを得るには将来の天王星探査機による近接観測が必要になるだろうと述べています。
全米科学アカデミーが10年ごとに示している惑星探査の指針(ディケイダル・サーベイ)では、次期ミッション候補のひとつとして、天王星を周回して探査機を投下する「Uranus Orbiter and Probe(天王星オービター&プローブ、UOP)」が推奨されています。今回の研究で明らかになった環の違いをはじめ、“横倒しの惑星”である天王星の様々な謎に迫る探査の進展が期待されます。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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