今や5人に1人が挑戦しているといわれる、首都圏を中心に過熱するのが「中学受験ブーム」。首都圏模試センターによると、この春の私立・国立中学校の受験率は推定で18.06%と過去40年間で3番目に高さに。そんな中、注目したいのは、“あえて公立”を選ぶ親たち。

【映像】“あえて公立”を選んだ、都内23区在住の親の理由(詳細)

 理由は所得ではなく、教育方針ともいうその選択のワケとは? 『ABEMA Prime』では、そんな親たちと公立学校の魅力について語った。

■子どもの「幼さ」と「やりたいこと」を優先した決断

 都内23区に在住するハチ子さんは、息子のことを考えた上で、公立中学に通わせることを決めた。その理由について「中学受験に向いていないと判断したのが1番大きい。小学校3、4年生で受験を決めるのは、やはり幼い。勉強に対する姿勢に幼さが残っている子は、受験は難しいと感じている」。

 実際には、「息子は宿題の丸付けで間違いを指摘されると癇癪を起こすなど、学習に向き合う姿勢が整っていない面があった」という。また、「一度1カ月だけ塾に通わせたものの、学校と塾の両方の宿題に追われるストレスが大きく、すぐに辞めさせた」経緯がある。

 一方で、息子には夢中になれるものがあった。それは「生物の観察」だ。「中学受験をせずに公立中学へ行ったことで、小学生の頃から続けてきた生物の観察を研究として蓄積できた。区や東京都の自然科学コンクールで賞を取るなど、その研究は高校生になった今も続いている。私立に入れて勉強ばかりしていたら、これほど時間を費やすことはできなかった」と、公立を選んだメリットを強調した。

■「私立が上、公立が下」という構図への違和感

 公立・私立どちらの小学校でも教師を経験した日本未来教育研究機構代表の熱海康太氏は、「あえて公立」という表現に注目し、「私立の方が教育の質が高いかのように言われているが、日本の教育レベルは非常に高い。北海道から沖縄まで均一のレベルを担保できている国は少ない。私立の方が上という議論ではなく、フラットに考えていくべきだ」と主張する。

 親が主導する中学受験については、「親にやらされている状態がずっと続くと、主体性が育まれるのかという懸念がある。受験に失敗して自己肯定感が落ちてしまうリスクもある」と指摘した。

 これに対し、自身も私立の中高一貫校(女子校)に通っていたタレントでエンジニアの池澤あやか氏は、「私立は同じような世帯年収や考え方の人が集まりやすく、画一的な印象があった」と振り返る。一方で、『午前0時のプリンセス』の大内アイミ氏は、「自分と同じ学力の人たちだけが集まる場では学べないものがある。いろいろな人がいる中で学ぶ価値観は財産になる」と、公立の多様性について語った。

■公立と私立、それぞれの「リスク」と「リテラシー」

 公立中学における多様性がリスクになる側面について、元経産官僚の宇佐美典也氏は「学力の2極化が進む中で、掛け算も怪しい子と微積分をやる子が同じクラスにいる状況がある。めちゃくちゃできる子が公立に行くと、孤立したりいじめられたりするリスクもある」との見方を示した。

 実際に、暴力行為やいじめ、不登校の件数データを見ると、公立の方が私立よりも多いという事実がある。フリーアナウンサーの柴田阿弥氏は「私立はいじめなどの問題を起こすと退学になる場合があり、それが抑止力になっている面もある。子どもが不登校や生死に関わる事態になるのを避けるために私立に入れるという親心は理解できる」とコメント。

 一方で、自治体による格差も無視できない。ハヤカワ五味氏は「自分は千代田区の公立だったが、自治体の教育体制が非常に充実していた。受験の有無というよりも、『自治体ガチャ』による差が大きいのではないか」との見解を示した。

■「親のエゴ」ではなく「子どもの適性」で選ぶ

 ハチ子さんは「公立vs私立という対立ではなく、子どもによって向き不向きがある。親のリベンジやエゴを言い訳にするのではなく、その子にとって1番大切なものは何かを考えて選んでほしい」と訴えた。

 進路のコミュニケーションについては「『みんな中学受験をするけれどあなたはどうする?』と聞いたら、本人が『しない』と言った。それだけだ」と、子ども自身の意思を尊重したことを明かした。

(『ABEMA Prime』より)