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水道メーター“換金目当て”の窃盗か 水ジャーナリストに聞く

 全国で相次ぐ水道メーターの窃盗事件。兵庫県姫路市では先月、集合住宅で水道メーター29個が盗まれ、別の2か所の市営住宅でも計126個の被害が確認されました。

【写真を見る】盗まれた「水道メーター」数十年空室の部屋がターゲットに

 背景にあるのは「銅の高騰」。現在、水道メーターにも使われる銅の価格は5年前の2倍以上となっていて、“換金目当て”の窃盗が相次いでいるとみられています。

 狙われているのは主に団地などの集合住宅。中でも、空室がターゲットにされているのです。

 なぜ水道メーターの窃盗が増えているのか?どこが狙われやすいのか?私たちができる対策は?

 水ジャーナリスト・武蔵野大学客員教授の橋本淳司氏に聞きました。

水道メーター盗難事件 全国の被害状況は?

 全国で多発する水道メーターの盗難。関東・東海・関西・中国地方と広く被害が相次いでいて、神奈川では520個、静岡では640個、山口に至っては1341個が盗まれています(JNN調べ)。

 <水道メーター盗難被害(JNN調べ)>
 ▼東京  31個
 ▼神奈川 520個
 ▼栃木  139個
 ▼静岡  640個
 ▼大阪  33個
 ▼兵庫  155個
 ▼山口  1341個

昔は生活に困って窃盗 今は転売?

 「水道メーターの盗難は約30年前からあったが、昔と今とでは犯罪の傾向が大きく変わってきた」と話すのは、水ジャーナリスト・武蔵野大学客員教授の橋本淳司氏。

 <水道メーター窃盗 犯罪傾向の変化>
 ▼背景
  昔:生活困窮
  今:資源高・空き家増加
 ▼発生頻度
  昔:単発・散発的
  今:各地で多発
 ▼犯人像
  昔:生活費目的の個人
  今:転売目的の組織犯も?

 昔は生活に困窮した個人が手を染める犯罪でしたが、今は銅などの資源価格上昇を背景とした組織的な犯罪も出てきているのではと言います。

 では、どういう場所の水道メーターが盗まれるのか…?

保管中のものをガサっと…効率良く盗まれるのは「倉庫」

 橋本氏によると、犯人にとって一番効率がいいのは「倉庫」だと言います。

 水道メーターを1つ取り外すのに約10~15分かかるそうですが、まとめて置かれている倉庫ではその作業が不要で狙われやすいそうです。

 売却のために保管していた古い水道メーターが大量に盗まれた事件もありました。天井に穴をあけて上から盗むという例もあるようです。

 ▼山形・米沢市(去年4月発覚)
  →2712個 約245万円相当
 ▼山口・下関市(今年3月発覚)
  →1341個 約46万円相当

 一方、橋本氏は「倉庫は情報も限られる」と指摘。一体、どこが狙われるのか…

次に犯人が狙うのは…?

 橋本氏は「次に犯人が狙うのは“空き家の多い集合住宅”」だと言います。

 <空き家の多い集合住宅の特徴>
  ▼窓にカーテンがない
  ▼郵便受けにテープなどが貼られる
  ▼屋外に水道メーターが並んでいる集合住宅も

 水道メーターを取り外す際はバルブをしめて水を止めるそうですが、そうすると断水が起こって住人が気づきます。空き家はそうした心配がないため、狙われやすいのです。

5年で2倍以上!盗難の背景に「銅の高騰」

 盗難事件の背景にあるのが「銅の高騰」。水道メーターに使われるのは青銅・真鍮などの「銅合金」ですが、銅の取引基準価格がここ5年で2倍以上に上がっているのです。

 <銅の取引基準価格>
  ▼2021年 102万2100円
  ▼2026年 208万9500円
  ※JX金属 1tあたり 各年3月の平均

 直近も値上がりは続き、過去最高223万円を記録しています(2026年4月23日時点)。

AI・半導体・電線…世界的に増える銅需要

 銅の値上がり理由としては、短期的な原因・根本的な原因、2つが考えられるようです(経済産業省・鉱物課担当者による)。

 短期的には、円安に加え、去年9月のインドネシア鉱山事故が世界の銅価格に影響していると言います。

 根本的な原因としては、世界的に銅の需要が増えている(AI・半導体・電線・EVなど)一方で、鉱山開発が追いついていないのが現状で、将来的に不足するという予測もあると言います。

■銅の買取価格は比較的高い

 今回取材した「金田商事」の1kgあたり買い取り価格は次のとおり。

 ▼鉄A(炉前サイズ):45.2円~
 ▼アルミサッシA63S(付物無し):445円~
 ▼真鍮(上)AA~AAA(真鍮プレス抜き屑):1343円~
 ▼1号銅線(ピカ線):2026円~2060円
  ※4月24日現在 店頭持ち込み価格

6月全面施行「金属盗対策法」しかし悪徳業者は盗みを止めない?

 増加する銅などの金属盗。2020年から2024年にかけて認知件数は約4倍に増え、2024年の被害額は約140億円(窃盗全体の約2割)にのぼっています。

 6月には「金属盗対策法」が全面施行予定で、銅などの金属くずを買い受けるときに「本人確認義務」が付けられますが、「悪徳な業者は買い取りを続ける可能性も」あるようです(金田商事・金田氏)。

 現在、現場ではどのような対策が取られているのか…

現場での盗品対策「買い取る際に必ず…」

 水道メーターの買い取りを行う金田商事では、盗品かどうか見分けるため、次のような対策を取っていると言います。

 (金田商事 金田大地社長)「水道業者以外が持ち込むと、『おかしいかな』と思いますが、基本的に盗品かは分からないので買い取る際に必ず身分確認をしています。そこで拒まれる方とは取引しない。そこで盗品の買い取りを抑止している」

盗難予防「個人で出来ることは限定的」

 橋本氏によると、盗難予防として「個人で出来ることは限定的」で、防犯カメラ・センサーライトの設置程度だと言います。

 実は、一戸建てや一部の集合住宅では、水道メーターは自治体の所有物で、盗まれた場合、財産的な損害は個人ではなく自治体に帰するそうです。

自治体レベルで対策すれば「水道料金が上がる可能性」

 自治体レベルで考えられる盗難予防策は次のとおり。

 ▼カギ付きのメーターボックス導入
 ▼取り外しに特殊工具が必要な規格にする
 ▼通信機能付きのスマートメーターにして開かない蓋にする

 ただし、どの方法もコストかかるため、水道料金が上がる可能性も考えられると言います。

水道メーターってどこにあるの?

 【水道メーターの場所】
 ▼一戸建ての場合
  →基本的に敷地内の道路に近い位置にあるメーターボックスの中
 ▼マンションなどの場合
  →多くの場合、各戸のパイプスペースなどの中
 ※大阪市・吹田市などへの取材による

 (2026年5月1日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『福島プレゼン』より)