岡野弘彦さん(2022年)

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 古典の素養に根差した格調高い調べの短歌を詠み、宮内庁御用掛も長く務めた歌人、岡野弘彦(おかの・ひろひこ)さんが24日、心不全で死去した。

 101歳だった。葬儀は家族葬で済ませた。喪主は長男、安都佐氏。

 三重県の神主の長男で、国学院大文学部予科に進み、召集を受けた。戦後、民俗学者の折口信夫(歌人の釈迢(ちょう)空(くう))に師事した。

 伝統を重んじた端正な作風で1968年、第1歌集「冬の家族」が現代歌人協会賞となり、73年に「滄浪歌(そうろうか)」で迢()空賞を受賞。79年、宮中歌会始の選者となり、83年からは宮内庁御用掛として昭和天皇をはじめ、皇室の和歌の相談役を24年間、務めた。

 88年に歌集「天の鶴群(たづむら)」で読売文学賞を受け、のち同賞選考委員。日本芸術院会員。2021年に文化勲章。1972年から2019年まで読売歌壇選者。国学院大名誉教授、国学院大栃木短期大学長も務めた。

 俳人・長谷川櫂さんの話 岡野さんには2011年に「歌仙の会」に加えていただいた。その思い出は自分にとって宝物だ。岡野さんの歌は、古代の和歌が持っている調べを現代に伝えている最後の人だった。短歌という分野を超え、日本文化を考える上で重要な人だった。