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まもなく公式確認から70年となる水俣病をめぐる裁判です。男女7人が水俣病の患者認定を求めた裁判の控訴審で、福岡高裁は全員の訴えを退けました。

■内藤有希子記者リポート「不当判決と掲げられました。原告全員、水俣病と認められませんでした」

この裁判は、水俣病が公式確認された1956年前後に生まれた熊本県と鹿児島県の男女7人が両県に水俣病の認定を求めているものです。

水俣病は、原因企業チッソの工場排水に含まれたメチル水銀が引き起こしたもので、7人は母親の胎内にいた頃や子どもの頃に摂取した魚介類によって感覚障害などを発症したと訴えています。

一審の熊本地裁は2022年、「高濃度のメチル水銀にさらされたとしても、ほかの病気の可能性が否定できない限り水俣病と認められない」などとして、全員の訴えを棄却しましたが、原告が控訴しました。

控訴審で弁護団は、手足のしびれなどの感覚障害を発症している人の割合は水俣沿岸部が他の地区の10倍近くに上っていたとする調査結果から、「感覚障害の存在は水俣病を強く推認する事情と見るべき」と主張。

被告の熊本県側は、「感覚障害だけではほかの病気の可能性を否定できない」と反論しました。

23日の判決で、福岡高裁の高瀬順久裁判長は弁護団が主張していた調査結果について、比較対象とする地域の設定が不適切だったと指摘しました。

また、感覚障害だけでは他の病気である可能性を否定できないとする1審判決を支持した上で、「水俣病にり患したとは認められない」として再び7人全員の訴えを退けました。

■佐藤英樹 原告団長「私の5つ下の人が(水俣病に)認定された。なぜ私の家だけ差別されないといけないのか。本当に残念でなりません。」

再び棄却の判断でしたが、控訴審で争点となったポイントのひとつが、手足のしびれなどの感覚障害だけで水俣病と認定できるかどうか、ということです。

福岡高裁は、アルコールの多量摂取などほかの病気による可能性を否定できないと指摘しました。

弁護団は、判決を次のように批判しています。

■原告側弁護団 康由美弁護士「重症例しか見ていない。ものすごい症状のものを想定しているというふうにしか思えない。(他県の判決と)統一的見解が全然出てないことも問題」

3月には新潟地裁が原告8人全員を患者と認めるよう命じていて、司法の判断が分かれました。

水俣病をめぐっては、これまでに2万2000人以上が熊本県や環境省に患者認定を申請していますが、認定されたのはおよそ8パーセントです。
※認定1791人:3月末時点

判決を受けて、木村敬知事は「今後も認定審査を丁寧に進めていきます」とコメントしました。

水俣病の公式確認から5月1日で70年となりますが、未だに認定を求める人たちの裁判が続いています。原告側は最高裁に上告する方針です。