Image: Raymond Wong / Gizmodo US

2025年にKickstarterプロジェクトとして展開されたAnkerのUVプリンター「EufyMake UV Printer E1」。インクを吹きかけてUVライトで硬化する仕組みで、プリントする素材を選びません。

平面的なものはもちろん、マグカップや瓶など立体的なものにも印刷可能、自分だけのオリジナルアイテムをお手軽に作ることができます。吹き付け硬化式で、立体的な3Dテクスチャを印刷できるのもこのプリンターの特徴。

すでにKickstarterから一般販売へと移行しており、日本のAnkerストアでは、35万円ほどで予約販売中。

EufyMake UV Printer E1、米Gizmodoがレビューで使ってみました。

僕がGizmodoに加入するもっともっと前のこと、Gizmodo編集部にプリンターのレビューはしないというルールがありました。

理由は単純で、比較して違いをレビューするほど個性のあるプリンターがないから。プリンターのソフトとインクのしばりも面倒だしね。時は流れ、今、Ankerの「EufyMake UV Printer E1」をレビューします。なぜプリンターレビューにOKがでたか。理由は単純で、大いに特徴あるプリンターだからです。

EufyMake UV Printer E1は、専用のインクを使い、UVライトで硬化する特殊なプリンター。ゆえに、紙にインクをたらす従来のプリンターとは一線を画します。

どんなモノでも、どんな表面にも理論上はプリントが可能。キャンバス地、木材、プラスチック、金属、セラミック、立体的なものでもOK。ただ皮肉なことに、普通の紙に普通にプリントするのは苦手なようですが。

もともと2025年にKickstarterプロジェクトで始まったこのプリンター。Ankerいわく、クラファンで支援してくれた人にはすでに発送済み。アメリカでは今年の5月やっと登場です(日本でも4月現在受付中)。

このプリンターの主なターゲットは、個人店やDIYスタジオ。予算が潤沢なら、もちろん個人で入手して使うのもあり。

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

レビューで作ったアイテムはどれも非常に美しい仕上がりでした。仕上がりに不満なし。不満はないけど…こうしたオリジナルのアイテムを作るために、一体どこまでプリンターに予算をかけられるのか。まずそこから話を始めます。

プリンター本体に加えてかかる費用…

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

2300ドル(日本では35万円ほど)のベーシックセットは、インクカートリッジ含め印刷に必要な基本アイテムが全部入っています。ただし、マグカップなどの曲面プリント、大型シールプリントなど、モノによっては別売りアタッチメントが必要。

印刷資材もAnkerで購入できますが、ぶっちゃけ公式である必要はなく、そこは近所の画材屋さんで買ってきたものでもよし。

今回のレビューでは、いろいろなアタッチメントまで全部乗せ状態で届いたので、本当にありとあらゆるものに印刷できました。それとは別に、画材屋さんで買ったキャンバスや木材も使いました。

ここまでで、すでにプリンターの他に(必要なら)アタッチメント、印刷する素材が必要。当たり前ですが、プリンターなのでさらにUVインクも必要です。

ベーシックセットにはUVインク(CMYKWG各1本ずつ)が付属していますが、今後、このインクもランニングコストになります。ちなみに、UVインクは1つ1色43ドル(日本では4990円)。

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

場所と臭い問題に注意!

UVプリンターとしては小型なものの、それなりに場所をとります。本体サイズは590 x 250 x 407ミリ。重さ20キロほど。DIYスタジオなら、ある程度の広さの専用のスペースを作って固定で設置するべきですね。

気になるのは臭い。印刷工程でどうしても臭いがでます。何点も印刷していると、けっこうキツいかも。このレビューはGizmodoオフィスで印刷しましたが、みんなであわてて窓を開けてまわりました。僕個人的には、かなり苦手な臭い。

時間がかかります

UVプリンターは硬化プロセスがあるので、プリントにはそれなりの時間がかかります。ゆえに、販売用のようなオリジナルアイテムを大量に作るのには向きません。

印刷以前の段階として、届いたプリンターを設置するのにもそこそこ時間がかかりました。真空パックでピチっとパッキングされたインクのカートリッジを開けて装着し、準備が完了する頃には、僕の周りはそれなりのゴミの山ができていました。

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

EufyMake UV Printer E1は、ボディに基本の印刷メニューがないので、パソコンからソフトウェア経由で操作します。これはMacでもWindowsでもクリーンで使いやすかったです。とはいえ、物理ボタンあってもよくね? とは感じましたが。

WiFi接続でスマホのアプリ経由でも操作できますが、パソコン版の方ができることが多いので、おすすめはパソコンからの操作。

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

よし、いよいよ印刷するぞと起動してから、インクやらクリーニングアップからの準備に数分かかります。

さらに、印刷するときは、毎回、ほとんどのアイテムで「スナップショット」というアイテムと画像の印刷位置を確認するステップが必要。これがなかなか面倒で、3分程度でうまくいくこともあれば、10分弱もっていかれることもあります。これは、プリンターが、印刷対象のサイズと奥行きをレーザーとスナップショットカメラでスキャンする時間です。

印刷の準備段階でめっちゃ時間かかるじゃんと思った人、甘い。本当に時間がかかるのはここからです。印刷するアイテムのサイズにもよりますが、例えばコースター数点なら10分から15分ほど。30x40センチサイズのキャンバスなら30分は覚悟しないと。

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

微調整は必要

前述のスナップショットで、印刷物の端っこがどこか、どれほどマージンを取っておけばいいのかを検出しているのですが、この精度がマチマチ。Anker公式資材のコースターを使った場合でも、マージンが大きすぎたのか、プリントされない余白ができてしまいました。

てことで、スナップショットはあくまでもイメージと思うのが良さそう。だいたいこのへんにこんな感じで印刷するね?っていう。自分でサイズや写真の切り抜きなどは微調整した方が仕上がりのクオリティがあがります。

ただ、自分で微調整しても、ちょっと変わったサイズのキャンバスに印刷したときは、変な余白ができてしまったので、なかなか難しいです。イライラするっちゃイライラします。

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

意外にも一番使いやすかったのが、曲面プリント用のロータリーアタッチメント。これで、Gizmodoロゴ入りのウォーターボトルとタンブラーを作りました。マネージャーから「Gizmodoロゴのブルーがちょっと違う」と微クレームがついたので、オリジナルアイテム作りも楽じゃないなーと思いましたけど。

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

大成功とちょい失敗

ランニングコストと時間がかかるとはいえ、そのハードルを超えさせるものがあるとしたら、それは完成品のクオリティです。

写真やアートワークなどは、同僚たちが家族やペットの写真を提供してくれたおかげで、いろんなモノにプリントしまくることができました。が、完成品のクオリティについては判断が難しい。

なぜかというと、絶賛したくなるほどの美品に仕上がることもあれば、え?って首をひねるような失敗作もあって、仕上がりが安定しないのです。

EufyMake E1の最大画質は1440 DPI。このサイズのプリンターにしては高い方でしょう。印刷される画像は、ディティールまでキレイです。使用できるインクはAnker公式のUVインクのみ。何百万色もの再現が可能となっていますが、これもモノによるのかな。

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

同僚が提供してくれたフランスアルプスのスキー旅行の写真は、みんなが驚くほど美しくプリントできました。赤の赤さが素晴らしい! これ、元の画像はスマホで撮影したものです。

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

一方で、僕がリコーGR IIIxで撮影した写真をキャンバスにプリントしたものはイマイチ。

明るいエリアの白飛びが強く、暗いエリアは濁った色味に感じました。画質1920 x 1280で小さな金属シートに印刷した写真は、なんかセピアみたいな色味に仕上がってがっかり。ドットも目に見えてがっかり。

別の同僚の飼い猫のイラスト画像のプリントはめちゃくちゃキレイで、印刷完成品がほぼ元画像のまま。全体の色味が若干暗くなった程度の違いしか感じない成功例でした。

とにかくいろいろプリントしてみるため、クラシック作品もチャレンジ。ディエゴ・ベラスケスの『ラス・メニーナス』をコースターにすると、これも若干暗めの仕上がり。

クオリティは印刷サイズでも影響。印刷できる最大サイズは、ざっくり33x42センチほど。大きな画をプリントしたい時は、なるべく画質の高い画像をアップロードしようと思います。ただし、EufyMake E1は、ファイルサイズが25MB以上あるものを読み込んでくれません。

どんなものにも印刷はできるものの、その素材を適切に認識できるかは仕上がりに影響します。例えば、僕は最近DIY楽器Nerdy Gurdyに凝っているので、これにプリントしようと思ったのですが、なかなか難しい。

素材としては木なんですが、木にラテックスペイントが施されているので、木という認識で印刷すると結果はイマイチ。ぼんやりしたプリントになってしまいました。こういう微妙な材料を使う時は、指定しないで「不明」とする方がいいみたい。

3Dテクスチャのインク使用量!

EufyMake E1の特徴の1つである3Dテクスチャ。インクを重ねることで、エンボス加工のような立体表現ができます。出せる高さは最大5ミリ。ソフトウェから3Dテクスチャを選択すると、AIモデルがいい塩梅に画像に凹凸をつけてくれます。

試しに、編集部のRaymond記者の写真をAnker公式の木製キャンバスに3Dテクスチャプリント。通常プリントの所要時間が30分だったところ、3Dテクスチャだとなんと5.5時間!

まずは白とグレーのペイントで凹凸を作り、最後にカラーを載せる手法ですが、そうなると当然白とグレーのインクをたくさん使うわけで。40%ほど印刷したところで、カートリッジ交換することになりました。

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

ただし、完成品の仕上がりは見事! 背景と前景にうまく凹凸がつき、素晴らしい立体効果ができています。一方で謎だったのが、もとの写真にはない紫の線が入っていたこと。これ、なんなのでしょう…。

3Dテクスチャはたしかに3D。ただし、インク多使用でコストがかさみます! 小さいサイズのプリントならありかも!

総評

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

どんなものにも印刷できるプリンターがこのサイズで手に入るとなると、つい、何かプリントしてオフィスの壁に飾りたくなります。

同時に、そんな飾りたくなる何かをプリンターではなく自分の手で生み出すアーティストって本当にすごいなとも思いました。ネットに公開されているアーティストたちの作品を、このプリンターでキャンバスに印刷しようと思う人もいるかもしれません。それは、倫理的にグレーです。無許可でアーティストの作品を印刷して売ったら、それは完全アウトです。僕個人としては、アーティストを応援するために作品はプリントではなく購入したいと思います。

一方で、自分自身の作品をプリントする場合、EufyMake E1は最高のマシン。販売ももちろん問題なし。EufyMake E1の価格とランニングコストがそれなりにすることを思えば、趣味のDIYというよりは、ある程度熱心なDIYクリエイター向けです。DIYスタジオはまさに購入ターゲット。ものづくりが好きな仲間で、グループ購入するのもありかも。

3Dプリンターが大流行したように、もしかしたらEufyMake E1はUVプリンターブームを引き起こすかもしれません。他にも競合製品が出てきたら、もっと安いモデルも登場するかもしれないし…。

とはいえ、現時点ですでにEufyMake E1がプリンター業界で最もクールなプリンターの1つであることは間違いないのですけれど。

いいところ:高いプリントクオリティ、3Dテクスチャ、平面&立体的なものにも印刷可能、Win/Macどちらでも使いやすいソフトウェア

残念なところ:うまいこと設置するのが難しい、準備と印刷に時間がかかる、特殊プリンターだけに高い

【こちらもおすすめ】
GIZMODO テック秘伝の書
1,650円
Amazonで見る
PR