記者会見に臨むノジマの野島広司社長(21日、東京都中央区で)=大石健登撮影

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 家電量販大手のノジマは21日、日立製作所の冷蔵庫や洗濯機などの家電事業を1100億円で買収すると発表した。

 ノジマは一部の家電でプライベートブランド(PB)を展開しており、買収により商品開発力を高める狙いがある。一方、非中核事業の売却を進めてきた日立は、ITサービスやエネルギー分野に経営資源を集中する。(鈴木瑠偉、中山知香)

ブランドは維持

 日立子会社の「日立グローバルライフソリューションズ(GLS)」が家電事業を分社化し、新会社を設立する。ノジマは、2026年度にも新会社の株式80・1%を1100億円で取得する。残りの19・9%は日立GLSが持つ。トルコの家電大手に売却した海外での家電販売事業を買い戻し、新会社で国内外での販売を手がける方針だ。

 「日立」ブランドは残し、ノジマ以外の家電量販店でも販売する。日立の家電事業で働く国内外7000人の従業員は新会社に移る。

 日立GLSは家電のほか、業務用空調を手がける。2025年3月期の売上高は3676億円で、家電事業が6割程度を占める。家電事業売却後も業務用空調事業を担う会社として日立グループの傘下に残る。

PBに注力

 ノジマは関東を中心に家電量販店を約230店舗展開しており、販売網を生かすために事業の多角化を進めている。25年1月にはソニーが売却したパソコンメーカーの「VAIO」を買収した。

 近年は比較的価格の安いPBの家電販売に力を入れている。日立の技術を取り込むことで、付加価値の高い商品を展開し、収益の拡大につなげる考えだ。

 21日の記者会見でノジマの野島広司社長は「日立が培った技術を、家電量販店で接している顧客のニーズに合わせることで、素晴らしい商品を生み出せる」と意気込んだ。

選択と集中

 日立製作所は、リーマン・ショック後の09年3月期に7873億円の巨額赤字を計上し、事業構造改革に着手した。鉄道や電力、ITサービスに注力する一方、「御三家」と呼ばれた日立金属(現プロテリアル)、日立電線(同)、日立化成(現レゾナック)を売却し、「選択と集中」を進めてきた。

 かつては主力だった家電事業も、中国など海外メーカーとの価格競争で収益力が低下。最後に残った非中核事業として、売却を検討してきた。

 野島氏とともに記者会見した日立の網谷憲晴専務は「マーケットに近い家電量販店との協業が、家電事業にとって最も良いと判断した」と述べた。

 日立はデジタル技術を活用したサービス事業「ルマーダ」を軸にしたビジネスモデルへの転換を進めており、27年度の売上高に占める比率を5割にまで高める計画を掲げている。