象徴的存在のマハレズ。優れたゲームメイク能力で攻撃をリードする。(C)Getty Images

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「フェネック(砂漠のキツネ)」の愛称で知られるアフリカ屈指の実力国、アルジェリア。北中米ワールドカップで3大会ぶり4度目の本大会出場となる。

 その歴史において最も印象的な成果の一つが、2014年ブラジル大会でのベスト16進出だ。当時チームを率いていたのは、後に日本代表監督を務めたヴァヒド・ハリルホジッチであり、組織的な守備と鋭いカウンターで世界にインパクトを残し、帰国後は優勝したかのような凱旋パレードが行なわれた。

 現在の指揮官は、2018年ロシア大会でスイス代表を率いた実績を持つヴラディミル・ペトコビッチ監督。柔軟な戦術設計と試合中の修正力に定評があり、アルジェリア代表にも攻守のバランスをもたらしている。基本布陣は3−4−2−1で、個の能力と組織力を両立させたスタイルが特長だ。

 チームの象徴的な存在は、ブラジル大会のメンバーでもあるリャド・マハレズ(アル・アハリ)だ。35歳となった現在も卓越した左足のテクニックとゲームメイク能力は健在で、右シャドーやウイングの位置から攻撃を司る。

 一方で世代交代も着実に進んでおり、20歳のイブラヒム・マザ(レバークーゼン)や気鋭のFWアミンヌ・グイリ(マルセイユ)といった若手が台頭。マザは狭い局面での打開力と得点感覚を兼ね備え、グイリは前線での動き出しとフィニッシュ精度で攻撃の幅を広げる存在となっている。

 最終ラインでは、キャプテンのアイサ・マンディ(リール)が守備の軸を担う。対人守備とカバーリングに優れ、3バックの中央で統率力を発揮する。彼の安定感があるからこそ、両脇のセンターバックやウイングバックが積極的に前へ出ることができる。
 
 左利きのラミー・ベンセバイニ(ドルトムント)はドイツの強豪で主力を担うだけあり、良質なフィードや幅広いカバーなど、攻守両面で頼りになる。

 中盤ではファレス・シャイビ(フランクフルト)がビルドアップとゲームコントロールの中心を担う。23歳ながら状況判断に優れ、ボールの循環と前進を両立させるプレーで、チームのリズムを作る。

 コンビを組むヒシャム・ブダウィ(ニース)は豊富な運動量で攻守に顔を出し、セカンドボールの回収やプレスバックでチームを支えるダイナミックな選手だ。この2人の機能性が、アルジェリアの中盤の安定性を大きく左右する。

 そうしたセンターラインの選手たちに勝るとも劣らない存在感を見せるのが、左ウイングバックのラヤン・アイ=ヌーリ(マンチェスター・C)。驚異的な推進力でタッチライン際を駆け上がるだけでなく、ペップ・グアルディオラのもとで培ったポジショニングで、内側に絞って中盤の数的優位を作るなど、戦術的な柔軟性も備えている。
 
 アフリカ予選ではウガンダ、ギニア、モザンビークなどと同組のG組で圧倒的な強さを見せ、10試合で24得点を記録。コートジボワールに次ぐアフリカ予選2位の得点数で、攻撃力の高さを証明している。前線の個の質に加え、サイドと中盤が絡んだ多彩な崩しが機能している点が特長的だ。

 本大会ではJ組に入り、前回王者アルゼンチンが首位通過の本命と見られ、オーストリア、ヨルダンとの争いが焦点になる。アルジェリアが持つ個々の能力と戦術的な理解度を考えれば、ラウンド32進出は十分に射程圏内だ。
 
 特に攻撃陣がコンディションを維持し、試合ごとに安定したパフォーマンスを発揮できれば、グループ突破の可能性は高まる。もちろんアルゼンチンを相手に、初戦から世界を驚かせるパフォーマンスを見せれば、一気に波に乗るはず。

 マザと並ぶ注目の若手は、長身ストライカーのアミン・シアカ(ローゼンボリ)だ。サイズを活かしたポストプレーやセットプレーでの得点源として期待されており、試合の状況に応じて重要な切り札となるだろう。

 経験豊富なマハレズや戦術的キーマンのアイ=ヌーリ、シャイビが噛み合う現在のアルジェリアは、本大会の参加国の中でもバランスの取れた陣容だ。攻守の完成度と選手層の厚みを武器に、ブラジル大会を超える躍進はあるか。

文●河治良幸

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