『殺人の門』©2027「殺人の門」製作委員会

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 あの親友コンビが、また異なる関係性で帰ってくるらしい。それも、テレビではなくスクリーンに──。

参考:『アトムの童』山粼賢人×松下洸平が散らす演技の火花 これまでにない空気感の日曜劇場に

 “あの親友コンビ”とは、ドラマ『アトムの童』(2022年/TBS系)で山粼賢人と松下洸平が演じたふたりのことだ。ゲーム開発をめぐる熱き物語を体現した彼らが、今度は映画『殺人の門』で再び親友関係を演じるのだという。この再タッグに私たちが期待できることは何だろうか。

 山粼と松下がダブル主演を務める『殺人の門』とは、作家・東野圭吾による同名ミステリー小説を映画化するもの。親友同士の約30年に及ぶ歪んだ友情を描く作品だ。東野が描いてきた物語の世界は多彩で、一口に「ミステリー」といっても、作品のテイストはさまざま。バリエーションが豊かで、ミステリー要素の濃度やテンション感は作品ごとに大きく異なる。

 映画化されたものでいえば、木村拓哉主演の『マスカレード・ホテル』(2019年)のような比較的ポップな手触りの作品もあれば、堀北真希と高良健吾がダブル主演を務めた『白夜行』(2011年)のように、シリアスなムードに満ちたものもある。今回の『殺人の門』は“超特報映像”を観るかぎり、おそらく後者なのだろう。

 さて、本作ではどんな物語が展開し、主演のふたりはどのような関係を演じるのか。

■『アトムの童』で証明された山粼賢人&松下洸平の抜群の相性 山粼が演じるのは、人たらしで完璧な倉持という男で、人々を惹きつけてやまない人物だ。松下が演じる田島にとって彼は幼なじみで、困ったときに必ず手を差し伸べてくれる存在。田島の人生が狂う瞬間にはいつも、倉持がいる。なぜか必ず、倉持がいる。これは偶然なのか、それとも必然なのか。どれだけ田島が距離を置こうとも、倉持は“親友”として舞い戻ってくる。この親友は、自分のことを助けては裏切る。30年にも及ぶ長い時間の中で、やがて田島は殺意を抱くようになっていく──。これはやはり、『白夜行』のようなシリアスなトーンの作品になりそうである。

 冒頭で述べているように、山粼と松下が親友関係を演じるのはこれが2度目のこと。『アトムの童』では「ジョン・ドゥ(=名無しの権兵衛)」の名義でインディーズゲームのシーンを席巻し、ゲーム開発の世界で奮闘するコンビを演じていた。

 度重なる困難によって対立することもあれば、目の前の大きな障壁を超えようとすることで、さらに絆が深まることもある。愛憎入り混じる感情を互いに抱き合う関係を、ときにダイナミックに、ときにデリケートに、ふたりは表現し続けていた。熱のこもった山粼の声も、厳しさを帯びた松下の表情も、いまだに鮮明に思い出すことができる。私もそうだと頷いてくださる方は、けっこう多いのではないだろうか。

 あれから3年以上の時間の流れの中で、彼らはさらに経験値を積み上げてきた。山粼は主演を務める『キングダム』シリーズの最新作が7月に公開されるし、現在は『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』も公開中。2028年に放送の大河ドラマ『ジョン万』(NHK総合)での主演も内定している彼は、日本のエンターテインメント界の不動のセンターだといえる存在だろう。

 いっぽうの松下は、放送中の大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合)であの徳川家康を演じているところ。さらに4月20日から放送される『銀河の一票』(カンテレ・フジテレビ系)では、主人公・星野茉莉(黒木華)の幼なじみであり若手議員の日山流星として政治家役に挑戦する。『アトムの童』以降の飛躍でいえば、2023年放送の『いちばんすきな花』(フジテレビ系)にてGP帯の連続ドラマ初主演を果たした。多部未華子、今田美桜、神尾楓珠らとのクワトロ主演作であり、どこで魅せてどこで引くかといったバランス感覚の優れた演技者であることを示していたと思う。2024年には『放課後カルテ』(日本テレビ系)で連続ドラマ単独主演も務め、彼もまた作品の看板を背負うことのできる器の持ち主だと証明し続けている。

 そんなふたりのキャリアが、『殺人の門』で再びクロスする。

 山粼が本作について、「本質的には“愛の物語”なのではないか」と述べているのが印象的だ。対する松下は、「ある意味究極のラブストーリーかもしれません」という言葉を提示している。彼らが体現する幼なじみの友情に、私たちは“愛”を見出すことになるのか。『アトムの童』で演じた親友関係の再演でないことは明らかだ。

参照https://realsound.jp/movie/2026/04/post-2372265.html(文=折田侑駿)