一風堂で20年超働いた店主が作る1杯…《とんこつ一強》の福岡で大人気の味噌ラーメン専門店

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ご当地ラーメンといえば、札幌ラーメンや喜多方ラーメンなど各地に存在する。中でも、地域と味の結びつきが強いもののひとつが、福岡のとんこつラーメンだろう。

事実、福岡のラーメン店や中華店の多くでは、メニューに「醤油ラーメン」や「味噌ラーメン」ではなく「ラーメン」とだけ書かれており、それを注文すればとんこつラーメンが出てくる。

それほどまでに、とんこつのほぼ一強である福岡の地に、味噌ラーメンでチャレンジを続ける店がある。

福岡で生まれ育ち、とんこつラーメンに慣れ親しんだ筆者が実食レポートする。

ベッドタウンの人気店が博多エリアに進出

福岡で、味噌ラーメンを看板に人気を得ている「博多 文福」。

2021年に福岡市に隣接する春日市で開業。そして、2026年3月に博多駅南に2号店をオープンさせた。

今回訪れたのは、そんなオープンほやほやの2号店だ。

注文したのは、「特製味噌らーめん」(1300円)で、基本メニューである「淡麗生味噌らーめん」(900円)に、ワンタン・たまご・のりが加わりチャーシューが増量された1杯だ。

スタッフの方が「混ぜながら召し上がってください」と言いながら配膳されたラーメンは、提供されたそばから、香ばしい味噌の香りがふわっと立ち上る。少し混ぜてみると、和だしの風味もふわりと鼻をくすぐった。

混ぜることで、スープの熱によって味噌の風味が変化するのだという。最初はフレッシュな味噌の香りが立ち、混ぜながら後半になると味わいが丸くなり変化してくる。

そのため、食べ終わりまで飽きのこないラーメンに仕上がっているのだ。

味噌ソムリエが手がける「生味噌」を使ったスープ

スープを一口すすると、すっきりとしながらも芯の通った塩気のある味噌の味わい。現在は、九州の麦味噌や信州味噌、仙台や北海道の味噌など5種類を独自にブレンドしたものを使っている。

これができるのは、かつて「一風堂」で働いていた同店代表・島津智明氏が味噌ソムリエの資格をもつ専門家で、味噌を研究し尽くしてきたからこそ。

バランスが崩れれば、味が重たくなったり甘さに寄ったりしてしまうところを、絶妙なバランスでキレのあるスープに仕上げている。

また、味噌ラーメン店の中でも珍しい「生味噌」を使っているポイントも特徴的だ。

一般的な味噌ラーメンは、味噌とラードを中華鍋で熱する。一方で、同店ではブレンドした味噌を丼に入れ、そこにスープを注いでいるのだ。

スープは、豚骨や鶏ガラのほか、鰹節や煮干しなどの魚介系を調合している。あくまで主役は味噌でありながら、しっかりと土台を支えるような深い味わいを生んでいる。

とんこつラーメンだらけの福岡において、味噌ラーメンであることも個性だが、スープだけでなく麺も個性的である。自家製の細麺と太麺、2種類がミックスされているのだ。それによって、すする際に独特の口当たりと他では味わえないリズム感が生まれる。

麺の太さが違うことで茹で時間が違うため、別々に茹でた麺を丼に入れる際にミックスするという手間が、この唯一無二の感覚をもたらしてくれる。

どちらの麺も、表面はツルツルと滑らかで口に抵抗なく入ってくるのも印象的だ。ツルツルであると、スープが絡みにくいイメージもあるが、太さを分けているためかしっかりとこだわりの味噌味のスープも口に運ばれてくる。

味噌ラーメンながら福岡という土地柄、とんこつラーメンの文化である「替玉」も注文することができ、替玉は細麺のみで提供される。

細麺ながら、縮れさせることで存在感のある麺でスープもきちんと絡む。その縮れもゆるめにしてあるため、ストレートの細麺のすすり心地に親しんでいる福岡市民にも、違和感のないスムーズさで口に入ってきて心地がいい。

しつこくないチャーシューとツルツルのワンタン

具材の中で目立っていたのは、まずチャーシュー。脂身が少なめの部位を使っており、重たくなり過ぎず淡麗なスープにマッチ。しかも、箸でホロリと簡単に切れるほど柔らかく煮込んであるので、口の中で解けて旨味が広がる。

もう一つの主役は、ワンタン。麺と同様にツルツルの皮の口当たりがいい。中の具材も噛むことでジュワッと旨味をほとばしらせる。

とんこつラーメンが当たり前の地にあって、味噌ラーメンで勝負を仕掛け人気を得た「博多 文福」。これまで、町の中心部から離れた住宅街で営業していたが、新しくできた2号店は都市部に進出したことで、今後さらにその存在感を増すだろう。

後編記事『「開店して2年間は赤字」…一風堂で20年超働いた職人が《とんこつ一強》の福岡で「味噌ラーメン専門店」を始めたワケ』では、店主の島津智明氏の話から、とんこつラーメンの人気店「一風堂」で20年以上働いたのち、味噌ラーメン店に転身した理由に迫る。

【つづきを読む】「開店して2年間は赤字」…一風堂で20年超働いた職人が《とんこつ一強》の福岡で「味噌ラーメン専門店」を始めたワケ