「独裁者VS独裁者ですよ」大阪都構想を巡って『維新の会』と市議団が「自分ファーストの権力闘争」
反吉村派が動き始めた
「『大阪維新の会』だけではなく、実は大阪市議団でもトップダウン型の独裁がまかり通っている。大阪都構想を巡る今の対立構図は、独裁者VS独裁者と言っても過言ではない。カオスですよ。執行部が声高らかに否定する“古い政治”が、今なお大阪で続いているということです」
大阪市議団の一人は、3度目の「大阪都構想」を巡る維新の会の現状についてこう嘆くのだった。大阪市議団と吉村洋文大阪維新の会代表(50)との対立が在阪メディアを中心に盛んに報じられているが、内部では何が起きているのか。
今年2月に行われた大阪府知事・大阪市長のダブル選挙。党内では「出直し選挙」とも言われたが、「大阪都構想」の是非を問う目的での選挙はこれで3度目。しかしこの選挙には「大義がない」などとして、維新の会以外の主要政党は目ぼしい候補者を擁立しなかった。
大阪市議団の中でも、「さすがに今回のダブル選挙は支援者に説明できない」という意見が出たという。吉村代表と横山英幸市長(44)の独断とも言えるプロセスも非難された。ある大阪市議は、「ダブル選挙の頃から、吉村代表を追い出したいという勢力の動きが活発化した」と明かす。
「反対派の目的は、今期中の法定協議会(重要な政策課題について、関係者間で協議・合意形成を行う機関)設置の議案を潰すことです。最終的に吉村さんを引責辞任させたいのでしょうが、反対派のやり方は露骨。
その最たるものが4月5日から始まった大阪市民へのタウンミーティングです。反対の声が出ることを見越して、内容も定まっていない段階から『とにかく会場を抑えろ』という号令が発せられた。ほとんどの市議は、大きな権力闘争に巻き込まれていることすら気づいていません」
肝心の都構想の制度設計についても、こんな意見が聞こえてくる。
「大阪市が廃止されると特別区に再編されます。そうなると、水道局など一部の事業局について各区が共同で実施するための『事務組合』が新たに設置されることになる。ここが政治家の天下り先になる可能性が否定できないのです。事務組合を二重行政だと指摘されることを懸念し、制度設計に自信を持てないという議員もいる。これが都構想の賛成派が声を上げにくい一因になっている」(同前)
国政進出阻止の企み
別の市議も、「市議団全員が反対というわけではない」としたうえで、こう説明した。
「私の肌感覚では市議団の6割が賛成派、反対派が4割です。しかし、党として都構想を掲げた出直し選挙を手伝ったので、賛成の立場を取らざるを得ないという議員も少なくない。今の市議会は維新会派で過半数ギリギリ。少しでも反対意見が出ると、法定協議会の設置議案は進めにくいというのが現状なのです」
問題は単なる市議団の反発に留まらない。吉村氏は2月15日の党役員会で住民投票が可決した際の国政進出に意欲を示したというが、その動きを良しとしない勢力がいるというのだ。全国紙府政担当記者が解説する。
「維新の国会議員団には吉村代表を嫌う勢力が確かに存在していて、『国会に来てほしくない』と眉をひそめる議員もいます。そうは言っても、全国的な知名度がある吉村代表がいないと日本維新の会は壊滅的な打撃を受ける。それを理解しているから、態度には出さず、水面下で都構想の反対に動いて国政進出の阻止を企てているのです」
ただ、宙ぶらりんな状況が続くことが維新の会や大阪府民のプラスにはならない。だからこそ、松井一郎元代表(62)らOBがメディアの取材などを通して執行部に“助言”するようになったのだ。大阪維新の会に所属する議員はこう嘆いた。
「結局は都構想という“器”を利用した内部の権力争いなんです。タウンミーティングの内容の薄さで市民が都構想の無意味さに気付いて紛糾。今期中の法定協議会の設置議案の提出が見送りになる……というのが反対派の筋書きではないか」
大阪都構想は住民ファーストが大前提の政策だが、党の内部から聞こえてくる声に耳を傾けると、残念ながら本来の目的とはかけ離れたものに成り下がったと言わざるを得ない。
