「部下に不機嫌な態度を取り職場環境を悪化させた」との理由で、警視庁の警視正(60)が処分されたことが3月10日、明らかになった。近年、新たに社会問題化している、言葉や態度で相手に精神的ダメージを与える「不機嫌ハラスメント(フキハラ)」に該当すると認定されたのだ。

【画像】X警視正は生活安全部の課長を務めていた


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 具体的には、2021年9月〜25年9月の間、複数の部下に度々不機嫌な態度で接し、萎縮させるなどしたという。

数十人の部下たちがヒアリングを受けた

 警視庁担当記者の解説。

「公表されていませんが、処分を受けたのは生活安全部の課長を務めていたX警視正。オンラインカジノ問題やスカウトグループの摘発などに精力的に取り組み、様々な事件で成果もあげていましたが、昔から部下への当たりはキツいとの評判が絶えなかった」

 捜査関係者によると、複数の内部通報を受けて監察部門が昨年から内部調査を進めていたという。

 警視正が都内の警察署長を務めていた時代も含めて5年前まで遡り、数十人からヒアリングを行った結果、「こちらが意見を言うとすぐに機嫌が悪くなる」「好き嫌いが非常に激しく周りが気を遣っていた」などの証言が多数確認され、フキハラと認定された。

 一方で、「率先して仕事に取り組んでいた」「的確な指示で勉強になった」という声も少なからずあったという。最終的には、パワハラにはあたらないものの幹部として不適切だとして、昨年12月に警務部長注意という軽微な処分を受けることとなった。

「結果も出していただけに残念だ」

 立場上、メディア取材を受ける機会も多かったX警視正だが、担当記者の間でも「とにかく自分で報道をコントロールしたがり、お気に入りの放送局にだけ単独インタビューを許可し、言うことを聞かない社には露骨に嫌がらせをする」など、「クセツヨ幹部」として有名だったという。

 たたき上げでは一握りの警察官しかなれない警視正の役職にあり、100人以上の部下を抱えていたX氏。警視庁幹部が嘆息する。

「これまで何度も上司や周りが態度を注意していたのに一向に改善されなかった。元々は刑事部で燻っていたのを生安部で引き上げて要職を任せ、結果も出していただけに残念だ」

 一般企業などでも相次いで問題化し、生産性の低下や人材流出にもつながると指摘されるフキハラ。

「パワハラやセクハラは研修も実施されているが、フキハラについては昔の感覚のままの人も多い。周囲から自分がどう見られているか、客観視できなければ幹部は務まらない時代だ」(企業法務に詳しい弁護士)

 事実上の定年で、今月で警視庁を去ったX警視正。専門的な知見と幅広い人脈から、既に再就職のオファーが届いているという。

 新天地では上機嫌な活躍を願うばかりだ。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年3月26日号)