「何この写真」りくりゅう“奇跡の1枚”の舞台裏 撮影者「本当に一瞬の判断」金メダル決定後「初めて日本の反響を知ったのです」
ミラノ五輪で“りくりゅう”ペアの写真が話題に
ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケートで、日本史上初のペア金メダルを獲得した三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)。大逆転となったフリーの演技中に撮影された、1枚の写真が大きな反響を集めた。「THE ANSWER」は撮影した世界最大級のデジタルコンテンツカンパニー「Getty Images(ゲッティイメージズ)」のジェイミー・スクワイア氏に、撮影の狙いや“りくりゅう”ペアへの印象を聞いた。
フリーで魂の「グラディエーター」を演じた2人。前日のSPで失敗したリフトも問題なくこなし、りくりゅうらしい流れるような美しい演技を全うすると、フリー歴代最高得点を記録した。ペアでは日本初となる金メダル獲得に、2人の目にはうれし涙が溢れた。
話題になったのは、五輪公式Xが「フィギュアスケートのスピードを体感して」として投稿した1枚の写真。流し撮りで、高々と舞い上がった三浦とそれを右手一本で持ち上げる木原の姿を見事に捉えた一方で、2人の周囲は残像のように流れている。アーティスティックな1枚だった。
日本ファン、海外ファンから「何この写真すご」「まるで現実じゃないみたい」などと称賛が集まり、投稿は1600万表示を超える大反響に。この1枚を撮影したのはGetty Imagesのスポーツ部門 チーフフォトグラファーであるスクワイア氏だ。
「オリンピックでは、アスリートたちが自分の最高のパフォーマンスを発揮するために挑みますが、私も同じように、自分の最高の仕事をしなければならないと感じています」
撮影は「うまくいった」 反響の大きさは想像もつかず…
こう語るスクワイア氏。話題になったりくりゅうペアの1枚は、難しい撮影技法だった。それでも撮影を試みたのは「成功したときの成果が大きいからです。リスクを取る価値は十分にあります」。他に2人の同僚が現場におり、いわば“安全網”があったからこそチャレンジできたという。世界最高のスケーターたちをどうすればユニークな形で撮れるかを考えていた。
撮影の成功は偶然ではないが「少しの運も必要でした」「本当に一瞬の判断でした」と振り返る。ファンからの反応については「本当に素晴らしいものでした。自分の写真が人々を喜ばせたり、何かしらの形で心に届いたと知るのは、とても満足感があります」と喜んだ。Getty Imagesには「Moving the World」というモットーがあるという。
「もしかしたら、この写真はほんの少しだけ世界を動かすことができたのかもしれません」
りくりゅうペアについては「他のどのペアよりも優れています。ジャンプはより高く、動きはより滑らかで、リフトはより力強い。まさに自分たちの技を極めた達人を見ているような感覚があります」と絶賛。「彼らは世界最高のペアであり、その滑りを見るのはほとんど魔法のようです。自信と目的を持って滑っていて、その姿からは芸術的な偉大さを目の当たりにしているような感覚を受けます」と、フォトグラファーとして感じる魅力を表現した。
次から次へと撮影の機会が訪れ、エディターに送信する写真を選ぶのにも僅かな作業時間しかない。そんな中、りくりゅうペアの写真を初めてカメラの背面にある小さな画面で見た時「うまくいった」とすぐ分かった。
「この技法を使った写真は成功することが非常に少なく、ほとんどの場合は失敗します。うまくいくのは本当にまれなケースです」。エディターに写真を送った後、すぐに撮影に戻ったため、これほどまでに反響が大きくなるとは想像もつかなかったようだ。
「三浦選手と木原選手が金メダルを獲得した後になって、初めて日本の視聴者の反響の大きさを知ったのです」(スクワイア氏)
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)
