新キャプテン・筒香嘉智外野手

写真拡大

 2月1日から始まったプロ野球春季キャンプは、折り返し地点を過ぎていよいよ後半戦に入った。一昨年は下克上での日本一を果たし、昨季まで4年連続Aクラス入り、今季は新監督を迎え28年ぶりのリーグ制覇を目指す横浜DeNAベイスターズで話題となっているのが、筒香嘉智外野手のキャプテン就任である。前任の牧秀悟内野手より7歳も年長で、メジャー挑戦を経て2年前に古巣に復帰したベテランが、なぜ異例の主将返り咲きとなったのか。そこには、チームの抱える深刻な問題点が隠されていた。

 ***

【写真を見る】「中学生でこの体格はやばい!」打席に立つ、中学生当時の筒香嘉智 現在と比べてみた

強い口調で注意できるタイプではない

 相川亮二新監督が就任したDeNAで話題になったのが、主将の交代だ。球界を代表する強打者に上り詰めた牧秀悟が昨年まで主将を務めていたが、絶対的なレギュラーとは言えない34歳の筒香が今年から7年ぶりに主将に復帰した。キーワードはチーム体質の変革だった。

新キャプテン・筒香嘉智外野手

 春季キャンプを見ると、筒香が牧とキャッチボールではペアを組み、打撃練習の合間などにコミュニケーションを取る姿が目立つ。DeNAを取材する記者は「牧は主将を剥奪された形となったので、筒香が寄り添っている部分があると思います。責任感の強い性格なので、チームのことを色々考えて悩んだ時期があったと思います。主将という肩書を外すことで精神的に楽になる部分があるでしょう。今年は伸び伸びプレーしてほしいですね」と指摘した上で続けた。

「今回の主将交代は球団と首脳陣が話し合って決まったと聞いています。正直、近年はチームの雰囲気が緩んでいると感じることが少なくなかった。全員ではないですが、一部の若手たちのプロ意識が低いように感じました。牧は強い口調で注意できるタイプではない。嫌われ役を覚悟して、チームを引き締められる筒香を主将に戻した方が良いと判断したのでしょう」

「スタンドにかわいい子がいた」

 若手のプロ意識が低い――。昨オフの契約更改の席でベテラン、中堅の選手たちが苦言を呈した光景が思い浮かぶ。

 エースの東克樹は球団施設で練習を行った際に携帯をいじりながらストレッチを行う選手がいたことを明かし、「気づいたら野球人生が終わっている。いかにそれを早く自覚するか。準備、やれよと僕は言わない。わざわざそんな選手に頑張ってほしくない」と語気を強めた。

 通算232セーブをマークしている山崎康晃も「大事な試合前に関係ない話をしている選手もいた。ずっと過ごすブルペンの中で、いい雰囲気というか、戦える雰囲気ではない、戦える環境設定ではなかったところは、僕も同じブルペンにいて痛感した」と投手陣に緊張感が欠けていたことを明かした。

 また、守備固めの柴田竜拓も風呂場にテーピングテープが放置したままになっていたり、ゴミの分別ができていないなどベンチ裏の風紀が乱れていることを指摘した。

「彼らは若手を批判したかったわけではなく、チームがこのままではダメになるという危機感から口にしたのだと思います。発言がメディアで取り上げられましたが、まだまだオブラードに包んでいるなと感じました。他の選手に話を聞くと、『遠征先でどこの店で食事するかを試合直前に大声で話していて緊張感がない』、『ファームの試合でスタンドにかわいい子がいた時に選手同士で盛り上がっていた』など低レベルの内容で情けないなと。DeNAは明るい雰囲気で伸び伸びしたチームカラーが魅力ですが、一部の選手たちがその意味をはき違えている。相川監督はコーチとして4年間指導してきたので、緩い雰囲気を変えたいという思いがあったのでは」(民放テレビ関係者)

 昨オフには、プライベートでハメを外している動画を堂々Instagramに投稿した選手もいた。ちょうど上記の苦言が相次いで報じられていた時期だけに、中堅、ベテランからも、「古い考え方かもしれないけど、優勝逃して本人も大した成績を残していない。若手の姿勢が甘いと指摘されているのに、こんな姿を投稿する神経が分からない」と厳しい声が飛んだ。

佐藤輝明とタイトル争いを

 筒香は昨オフの契約更改の席で、「優勝という強い思いがない者はグラウンドに入る資格はない」、「ノリの野球と勢いの野球は違う」と現状への危機感を露わにしていた。主将に復帰したが、「以前と変わった」という声が周囲から聞かれる。

 かつてチームメートで共にプレーした球団OBはこう語る。

「雰囲気が柔らかくなりましたね。メジャー挑戦を経て色々な苦労をしたことで、人間的に一回り成長したと思います。前回は24歳だった15年から主将を務めましたが、ピリピリした空気を漂わせていました。自分が結果を出さなければいけないという使命感が強すぎたのかもしれません。数少ないチームメートにしか心を開かず、筒香のことを良く思わない選手が少なからずいました。でも、今は違います。メディアの報道だと筒香が厳しさを前面に出すことを報じられていますが、キャンプでの姿を見ると若手と積極的にコミュニケーションを取り、笑顔が良く見られる。チームの雰囲気が非常にいいなと感じましたね」

 別の球団OBも「DeNAに復帰してからの言動、立ち振る舞いを見て、主将としてもう一度チームを引っ張ってほしいと評価されたのでしょう。リーダーシップを発揮できる選手ですが、最も求められるのはグラウンド上の活躍です。今年は30本塁打をクリアして佐藤輝明(阪神)とタイトル争いをしてほしい」と期待を込める。

投打でツメの甘さが

 DeNAは三浦大輔前監督の下で22年から4年連続Aクラス入りし、24年はレギュラーシーズン3位から短期決戦を勝ち抜いて日本一に輝いたが、リーグ優勝は1998年以来27年間遠ざかっている。

「近年は優勝しても不思議ではない戦力でしたが、投打でツメの甘さを露呈して勝ちきれなかった。今年はアンドレ・ジャクソン、アンソニー・ケイと先発陣の左右の軸が退団し、攻守の要である桑原将志も西武にFA移籍しました。戦力ダウンが危惧される中で、若手の台頭がなければリーグ連覇を狙う阪神の牙城を崩せません」(スポーツ紙デスク)

 筒香主将の下でチームがどう変わるか。選手個々の意識改革が問われる。

 関連記事「『フロントに足を引っ張られて…』 DeNA『三浦監督』が4年連続Aクラスなのに辞任した裏事情 『藤浪の起用法でもいろいろ言われた』」では、昨年の三浦大輔前監督辞任の裏側と、DeNAフロントの問題点について詳述している。

デイリー新潮編集部