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日本の通勤ラッシュも、こういう技術で少しずつ変わっていくかも。

列車といえば、車両同士をガチャン!と「連結器」でつなぐもの……そんな常識が、中国で更新されました。

2025年12月8日、内モンゴル自治区と陝西省(せんせいしょう)を結ぶ石炭輸送専用線の「包神鉄道」で、3.5万トン級の重荷重列車が「バーチャル連結」で協調走行するテストに世界初成功と発表されました。

従来の機械式連結器を使わずに、無線通信を通じて、7編成の列車が「空気の連結器」でつながっているかのように同時加速・同時ブレーキを実現したのです。 まさに鉄道版の「隊列走行」。

トラックの自動運転技術で聞いたことがある人も多いかもしれませんが、貨物列車でこれをやるとどうなるか。新しい線路を敷かずに、輸送能力が大幅にアップするかもしれないのです。

「3分間隔で発車、追跡距離1キロ以下」の密度

従来の貨物列車は、車両同士を連結器で物理的につないできました。ただ、連結器は列車の長さや重量を増やす上での制約でもあります。重い貨物を積んだ車両を何両もつなぐと、連結部分にかかる引っ張り力や圧縮力が大きくなって、最悪の場合は連結器がぶっ壊れてしまいます……。

そこで、無線通信でつなげる「バーチャル連結(仮想連結)」技術を用いて、物理的な「車両連結器のハード接続」を「バーチャル連結のソフト接続」へ置き換えようと試みたのです。

このシステムは、総合エネルギー企業の中国神華能源(中国神華エネルギー)が複数の機関と共同開発した独自のものだといいます。

今回のテストでは、7本の編成の列車を、4つの駅で動的に連結させて、一つの「グループ列車」として走らせました。各列車が自分の位置や速度を無線で共有し、システムが全体を統制。物理的につながっていないのに、まるで1本の列車のように動きます。

発表によれば、時速60kmで走行中、5000トンの重荷重車両同士の追跡距離はわずか1091メートル、空車では943メートルまで詰められたとのこと。さらに、1万トン級の重荷重列車の発車間隔は3分43秒を実現しました。

従来なら安全のために数キロ離す必要があった列車同士を、わずか1キロ程度まで接近させて走らせられる。今回の試験の成功で、中国は鉄道を新規に建設することなく、「貨物輸送能力を50%以上向上させることができる」と意気込んでいます。

3万5000トンの団体列車の第1列車
Image: 中国国務院国有資産監督管理委員会

日本でも進む「無線式列車制御」だけど、狙いが違う

日本でも無線を使った列車制御技術は実用化が進んでいます。

JR東日本が仙石線や埼京線で導入した「ATACS」や、地下鉄などで採用が進む「CBTC」というシステムがそうです。 これらのシステムは、従来の「閉そく」という固定区間の概念をなくし、列車間隔を柔軟に詰められるのが特徴。通勤ラッシュの緩和や、遅延回復のスピードアップが期待されている技術です。

一方、中国の技術は「重い貨物を運ぶ」と「もっと密度を上げる」を両立させる方向性。同じ無線通信技術でも、使い道が違うんですね。ただ、中国としては今後この技術を「高速鉄道、都市交通、在来線鉄道に応用していく」とも発表しています。もっとも、中国の技術も安全性は十分かどうか、そういった議論はこれから始まるでしょう。

連結器は100年以上前からある枯れた技術です。壊れにくく、メンテナンスも簡単。でも「もっと運びたい」「もっと密度を上げたい」という要望には応えきれなくなっていました。それならば!と、こういう「従来の限界をテクノロジーで突破する」という発想が必要なんでしょうね。

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Source: 中国国務院国有資産監督管理委員会, AFPBB News, JR東日本 , 三菱電機ソフトウエア