AI企業はAI向けのインフラストラクチャーとして欠かせないデータセンターに数千億円もの投資を行っています。しかし、記事作成時点のコストではデータセンターへの投資から利益を上げることは「不可能である」とIBMのアービンド・クリシュナCEOが警告しました。

Why IBM’s CEO doesn’t think current AI tech can get to AGI | The Verge

https://www.theverge.com/podcast/829868/ibm-arvind-krishna-watson-llms-ai-bubble-quantum-computing

IBM CEO warns there’s ‘no way’ tech companies turn a profit on their billions in AI investment | Fortune

https://fortune.com/2025/12/03/ibm-ceo-no-way-hyperscalers-google-amazon-turn-profit-data-center-spending/

IBM CEO says there is 'no way' spending trillions on AI data centers will pay off at today's infrastructure costs

https://finance.yahoo.com/news/ibm-ceo-says-no-way-103010877.html

AIインフラストラクチャーの要であるデータセンターへの支出は増加傾向にあります。Metaの決算説明会では、「キャパシティ」や「インフラ」といった単語が頻繁に飛び交っており、Googleは将来的に宇宙にデータセンターを建設予定であることを発表しました。問題はデータセンターから得られる収益が、全ての設備投資を正当化できるかどうかです。

Googleが人工衛星にAIチップを搭載して宇宙に打ち上げる「Project Suncatcher」を提唱 - GIGAZINE



The VergeのポッドキャストであるDecoderに出演したクリシュナCEOは、企業がデータセンターへの設備投資を回収できる可能性は「ゼロ」と発言しました。

クリシュナCEOは電力使用量が1ギガワットのデータセンターを建設するには約800億ドル(約12兆円)のコストがかかると概算し、「これが今日の数字です。つまり、20〜30ギガワット相当の計算処理を1社で行おうとすると、1兆5000億ドル(約230兆円)の設備投資が必要になるということです」と語っています。

なお、ゴールドマン・サックスは2025年初頭に世界のデータセンター市場の総電力使用量が約55ギガワットであると推定しました。このうちAIに使用されている電力は14%です。ゴールドマン・サックスは、AI需要が高まるにつれ、データセンター市場に必要な電力は2027年までに84ギガワットにまで急増するだろうと予測しています。



加えて、クリシュナCEOは「この分野で汎用人工知能(AGI)を追い求める企業の電力使用量をまとめると、100ギガワット程度になるようです」と言及。1ギガワット当たりのコストが800億ドルなら、100ギガワットのコストは8兆ドル(約1200兆円)と単純計算できるため、「8兆ドルの設備投資には、利息を支払うだけで約8000億ドル(約12兆円)の利益が必要となります。それでは利益を得ることは不可能だと私は考えます」と語り、既存のAIデータセンターへの投資は採算が合わないと主張しました。

この他、「5年以内に全てのAIチップを棄て、新しいものを補充しなければいけません」と述べ、データセンター内のAIチップの減価償却も別の要因として存在するとクリシュナCEOは指摘しています。

また、クリシュナCEOは既存の技術だけではAGIに到達できるとは確信していないと明言し、さらなる技術革新なしにAGIを実現できる可能性は0〜1%と見積もりました。実際、AI業界の著名なリーダーからも懐疑的な見方が出ており、セールスフォースのマーク・ベニオフ氏はAGI推進について「極めて懐疑的」と言及。Google Brainの創設者であるアンドリュー・ン氏はAGIについて「誇大宣伝されている」と主張、Mistral AIのアーサー・メンシュCEOはAGIを「マーケティング戦略」と嘲笑しました。



なお、大手AI企業はAIインフラストラクチャーへの投資を推し進めており、その額は2025年だけで3800億ドル(約59兆円)に達すると予想されています。