タピオカティーは甘みの強いミルクティーなどに大粒のタピオカパール(タピオカ)を入れた台湾発祥の飲み物で、日本を含むアジア圏だけでなくイギリスやアメリカでも人気を博しています。そんなタピオカティーに隠されたリスクについて、イギリスのランカスター大学で解剖学教授を務めるアダム・テイラー氏が解説しました。

Bubble tea’s dark side: from lead contamination to kidney stones

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日本で最盛期と比べると見かけなくなったタピオカティーですが、テイラー氏によるとイギリスの繁華街ではコーヒーショップと同じくらいタピオカティーの店があるとのこと。しかし、最近の調査結果から、タピオカティーには注意するべき点があることもわかっています。

アメリカで行われた調査では、一部のタピオカティーに高濃度の鉛が含まれていることが判明しました。タピオカの原料はキャッサバという植物の根茎から製造されたでんぷんですが、キャッサバは土壌から鉛などの重金属を吸収しやすいため、それを原料とするタピオカにも重金属が含まれている場合があるとのこと。

また、タピオカはでんぷん質であるため、大量に食べ過ぎると胃から食物を排出するのが遅れる胃不全麻痺(まひ)という状態になってしまうリスクもあります。2025年には、タピオカティーを飲んだ10歳の子どもの胃が閉塞(へいそく)してしまったという症例も報告されています。

胃不全麻痺も胃の閉塞も、吐き気や腹痛を引き起こす可能性があるほか、消化がもともと遅い人ではさらに症状が重くなってしまう危険性もあります。また、タピオカに加えられる場合がある増粘剤のグアーガムも、摂取しすぎると便秘を引き起こす場合があるとテイラー氏は指摘しています。



タピオカティーは胃腸だけでなく、腎臓の健康にも影響を与えることが知られています。2023年には水の代わりにタピオカティーを飲んでいた20歳の台湾人女性が背中の痛みを訴え、医師が300個以上の腎結石を除去するという症例が報告されました。

上の事例はかなり極端なものですが、子どもではたとえ少量のタピオカであっても、喉に詰まらせて窒息する危険性があることが指摘されています。成人でも同様で、シンガポールでは19歳の女性がストローに詰まったタピオカを勢いよく吸い込んだ際、3個のタピオカを喉に詰まらせて亡くなった事故が報じられました。

また、一般的なタピオカティーには1杯あたり20〜50gの砂糖が含まれており、これはコカ・コーラ1缶の砂糖含有量(35g)と同等かそれ以上です。台湾の研究では、9歳までに定期的にタピオカティーを飲んでいた子どもは永久歯の虫歯になるリスクが1.7倍高くなることがわかっており、アメリカのカリフォルニア州ではタピオカティーの流行が若者の肥満の一因になっているといわれています。タピオカティーは糖分と脂肪分の含有量が多いため、飲み過ぎると2型糖尿病や肥満、代謝性疾患、脂肪肝などのリスクが高まるとテイラー氏は指摘しています。

驚くべき点として、タピオカティーとメンタルヘルスの潜在的な関連性が示唆されていることが挙げられます。頻繁にタピオカティーを飲む中国人の子どもを対象にした研究では、タピオカティーの摂取と不安やうつ病との関連性が示されたほか、中国の看護師を対象とした研究でもタピオカティーの定期的な摂取が不安やうつ病、疲労、仕事の燃え尽き症候群、幸福感の低下などと関連していることがわかりました。この研究では、タピオカティーの消費量減少と自殺念慮の減少との関連もみられましたが、その因果関係は不明です。

タピオカティーがもたらす奇妙な影響には、「交通事故や(PDFファイル)虫垂炎の診断時に、内蔵のスキャン画像にタピオカが写り込んでしまう」というものもあります。タピオカは周囲の組織よりも密度が高く、腎臓結石や胆石といった石と似た性質を示すため、医師が診断を誤る可能性があるとのこと。以下のスキャン画像を見ると、矢印で示された部分にタピオカの粒が写り込んでいるのがわかります。



テイラー氏は、問題があるからといってタピオカティーを禁止するべきではないものの、毎日のように飲むのではなく、たまに飲んで楽しむ程度にするべきだと主張しています。また、タピオカティーを飲む場合はストローで勢いよく吸い込むのではなく、カップから直接飲むとタピオカを口の中でコントロールしやすくなり、窒息などのリスクを避けられるとアドバイスしました。