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軽自動車にスライドドアは欠かせない?

6月5日、ダイハツ工業(以下、ダイハツ)は軽乗用車の『ムーヴ(MOVE)』をフルモデルチェンジして発売した。その概要を紹介しておこう。

【画像】カスタムなしのワンコンセプト展開!7代目となった新型ダイハツ・ムーブ 全53枚

ムーヴは、いわゆる『ハイトワゴン』と呼ばれる軽乗用車だ。ちなみに、車高が1700mm以上あり、両側のリアサイドドアにスライド式を採用しているワゴンタイプの軽自動車を『スーパーハイト』、1550〜1700mmくらいでボンネットは短めで室内スペースを広くとったモデルを『ハイトワゴン』と呼ぶのが一般的になっている。


7代目となる新型ダイハツ・ムーブが登場。    ダイハツ

ムーヴは初代が1995年に誕生し、今回の新型は7代目にあたる。ただし2014年に登場した先代の6代目は2023年に生産を終了し、7代目に世代交代する予定だったが、ダイハツの一部車種で認証手続きの不正が発覚し、再発防止策の実施が済むまでフルモデルチェンジの発表が無期限延期された。

一連の認証不正問題への対応に関しては、2025年1月に国土交通省へ提出した書類において、再発防止に関するすべての項目が『実施済み』または『継続して実施中』となり、ようやく新型ムーヴが発表されることになった。

ワンコンセプト、ワンシルエット

ムーヴは初代登場から2025年3月までに累計で340万台以上を販売(ダイハツ調べ)してきたが、軽自動車の主流はムーヴのようなハイトワゴンからタントのようなスーパーハイトに移り、いまやスーパーハイトが全体の5割を占めている。

また、利便性も高く、子どもやお年寄りが乗り降りしやすいスライドドアも定番化し、軽乗用車のスライドドア比率は約6割に達している。


新型ムーヴでは、ハイトワゴンながらスライドドアを採用。カスタムは設定されない。    ダイハツ

そこで新型ムーヴでは、ハイトワゴンながらスライドドアを採用。ムーヴらしいスタイリッシュなデザインにスライドドアも採用し、全方位で軽ハイトワゴンとしての魅力を進化させた。

なお、今までは標準系の『ムーヴ』とカスタム系の『ムーヴカスタム』を設定していたが、新型ではカスタム系は設定されていない。これは、ユーザー層の変化に合わせてムーヴらしさを追求した結果、『ワンコンセプト、ワンシルエット』のムーヴということになったようだ。

『動く姿が美しい、端正で凜々しいデザイン』

新型ムーヴの外寸は、全長3395mm、全幅1475mm、全高1655mm、ホイールベース2460mm。この数値は、先に登場しているスライドドアを備えたハイトワゴン、ムーヴ・キャンバスと同じだ。新型ムーヴはムーヴ・キャンバスと同じDNGA(ダイハツ・ニュー・アーキテクチャー)により開発され、プラットフォームを共有している。

もちろん、スタイリングはまったくの別もの。コンセプトを『ムーヴらしい“動く姿が美しい”端正で凜々しいデザイン』とし、フロントフェイスからテールランプへと吹き抜けるキャラクターラインやウインドウグラフィック、動きのある表情を持たせたフェンダーやリアピラーが軽快に走りそうな躍動感を表現している。


コンセプトは『ムーヴらしい“動く姿が美しい”端正で凜々しいデザイン』。    ダイハツ

フロントまわりではグリルとヘッドランプをシームレスにコンビネーションさせて、大胆かつ先進的に表現した。スッキリとした面と線との構成で、凜々しく端正な印象を演出している。またムーヴらしさのポイントとして、初代から受け継がれてきた縦型テールランプを継承している。

インターフェイスをシンプルに

インテリアでは、軽自動車らしくインターフェイスをシンプルにまとめ、オーディオの位置を低く設定して、安心して運転できるスッキリとした『見晴らしの良さ』を追求した。シートは、上品で落ち着いた色合いや素材で仕立ての良さを表現し、『居心地の良さ』と『落ち着いた質感の中に光る華やかさ』を追求している。

シートまわりの物入れやラゲッジアンダーボックスなど、収納スペースは豊富。リアシートの分割スライドやリクライニングを活用してシートアレンジも多彩だ。


軽自動車らしくインターフェイスをシンプルにまとめたインテリア。    ダイハツ

ボディカラーは、生活になじみ永く使える定番色に、またムーヴらしい動く姿が美しく見える色を充実させ、2トーンを含む全13色を設定。端正で瑞々しい形状が際立つ上質な色として、グレースブラウンクリスタルマイカを新開発した。

また、さらに個性を引き立てるふたつのスタイルとして、ダークメッキを基調として大人のスポーティさを演出した『ダンディスポーツスタイル』と、カッパー色の加飾を基調として大人の上品、上質さを強化した『ノーブルシックスタイル』を、メーカーオプションとディーラーオプションを組み合わせて設定している。

最新DNGAの採用で基本性能が大幅進化

前述のように、新型ムーヴはムーヴカスタムと同様、最新のDNGAを採用してプラットフォームからパワートレインまで刷新し、基本性能を大幅に進化させた。

パワーユニットはノンターボが中心だがターボも設定。ノンターボでもアクセルのスロットル特性を最適化し、ストレスのない軽快な走りを実現している。ターボ車ではD-CVTも採用し、高速道路や山間路でも余裕のある力強い加速性能を実現。さらにステップシフトを採用して、よりリズミカルなエンジン音の変化がリニアな加速感を演出する。


最新のDNGAを採用してプラットフォームからパワートレインまで刷新した。    ダイハツ

サスペンション(バネとショックアブソーバー)やステアリング特性はムーヴ専用に設定され、動き出しから振動感が少ないスッキリした乗り心地や、キビキビと思いどおりに曲がれる操縦安定性により、ムーヴの真骨頂である走る楽しさを演出している。ターボ車には15インチタイヤと高性能ショックアブソーバーも採用して、さらに上質な乗り心地と高い操縦安定性を確保している。

しかも、WLTCモード燃費はノンターボ車が22.6km/L(従来型は20.7km/L)、ターボ車が21.5km/L(同19.7km/L)と、約10%向上している。

全体の4割ほどが旧型ムーヴから乗り換え

安全装備はグレードによるが、全17種類の最新のスマートアシストを搭載。急アクセル時加速制御システムやブラインドストップモニターもディーラーオプションで設定されている。

エンターテインメントでは、メーカーオプションで2種類のディスプレイオーディオにワイヤレス充電機能やHDMI接続、ディーラーオプションで10インチのカーナビなど、多彩に用意されている。


新型ムーブはスタイリッシュなデザインとキビキビした走りをセリングポイントとした。    ダイハツ

車両価格は、L(2WD=FF)の135万8500円からRS(4WD)の202万4000円となっている。

ダイハツの推測では、初めてクルマを買う人と軽以外からの乗り替えで3割、軽からの乗り替えが7割、その過半数(4割くらいか)が旧型ムーヴからの乗り換えになりそう。また、旧型からの傾向を鑑みて、ターボ車は2〜3割くらいになるのではとしている。

スライドドアを採用したハイトワゴンながら、スタイリッシュなデザインとキビキビした走りをセリングポイントとした新型ムーヴ。満を持しての登場は、ハイトワゴンのライバルたちに影響を与えることは間違いなさそうだ。

ダイハツ・ムーブのスペック

ダイハツ・ムーブG <>内はRS
全長×全幅×全高:3395×1475×1655mm
ホイールベース:2460mm
車両重量:860kg<890kg>
エンジン:直4DOHC<同+ターボ>
総排気量:659cc
最高出力:38kW(52ps)/6900rpm<47kW(64ps)/6400rpm>
最大トルク:60Nm(6.1kgm)/3600rpm<100Nm(10.2kgm)/3600rpm>
トランスミッション:CVT
駆動方式:横置きFF
燃料・タンク容量:レギュラー・30L
WLTCモード燃費:25.3km/L<24.3km/L>
タイヤサイズ:155/65R14<165/55R15>
車両価格:171万6000円<189万7500円>


新型ダイハツ・ムーブの諸元図。いわゆる『ハイトワゴン』となる。    ダイハツ