田中圭、40代に突入した今思うこと 年齢を重ねて掴んだ芝居の“手応え”とこれから
松本若菜が主演を務める木曜劇場『わたしの宝物』(フジテレビ系)が放送中だ。本作は、“大切な宝物”を守るために悪女になることを決意した1人の美羽(松本若菜)とその夫(田中圭)、そして彼女が愛した彼(深澤辰哉)、3人のもつれあう感情を完全オリジナル脚本で描いた恋愛ドラマ。
参考:俳優・田中圭が放つ“ズルい”魅力 『おっさんずラブ』から『わたしの宝物』まで
リアルサウンド映画部では、本作で主人公・美羽の夫・宏樹役を演じる田中圭にインタビュー。2024年で40代に突入し、「年齢を重ねたことによってようやく掴める感覚がある」と明かす田中に、本作への思いや40代への意気込みを語ってもらった。
●大事なのは「観ている人に気づきを与えたり、考えさせること」
ーー第1話の反響はどのように届いていましたか?
田中圭(以下、田中):共演の北村(一輝)さんには「普段から宏樹みたいな感じだから、演じられるんでしょ?」といじられました(笑)。僕自身としては共感もできないですし、自分で観ても笑ってしまうくらいひどい夫だなと思っていました。役に対する反響もいろいろ届いていましたが、作品の話題に繋がったのはどんな形であれいいことだと思っています。今後、「第1話の宏樹は結局なんだったの?」というくらい良い父親になっていくので、その振り幅も楽しんでいただけたらと思っています。
ーー宏樹の“振り幅”を出すために意識していたことは?
田中:第1話で気をつけていたのは、「僕が一番嫌な夫に見えるように」ということです。美羽と冬月の関係を上回るくらい悪役にならないといけない。ただ、根っからの悪ではないというのもポイント。第3話や第4話では、ものすごくいい父親の顔も見せているので、何か抱えているような感じが出せるように、と意識していました。
ーー「托卵」のテーマを扱うと聞いた際は率直にどう感じましたか?
田中:最初は大変そうだなと思いました。ドラマの魅力はフィクションの中で、非日常的でありながらも、リアルに感じる日常がたくさん詰まっているところにあると考えています。観ている人に気づきを与えたり、考えさせることが大事なんだと思っています。なので、作品に感情移入をして気分が下がることもいいことだと思います。僕自身、観ている人にチクッと心に刺さったり、自分自身も「難しかったな」と感じられる作品が好きです。この作品は何を伝えているのだろうとか、この作品を観て何を感じ取ればいいのだろうとか、そういう感想を持つことがエンタメの楽しさなんです。なので、『わたしの宝物』は俳優としてとてもやりがいがある作品だなと感じています。
ーー三竿玲子プロデューサーが「5話の台本を渡したとき、役者さんが驚いていました」とおっしゃっていましたが(※)、第5話以降の展開について、宏樹としての見解を教えてください。
田中:第5話で宏樹にとって大きな出来事が起きます。三竿さんは子どもがかわいそうに見える形にはしたくないと話していましたが、最終的な着地点は僕も知らなくて。もちろんプロデューサーをはじめ、制作側は伝えたいものが明確にあるところからスタートしていると思いますが、役者が全部分かった上でお芝居していくのも少し違うかなと思ったので、僕はあえて先のことは考えないようにしています。
ーー映画『哀愁シンデレラ』や『月の満ち欠け』でもいわゆる“モラハラ夫”を演じられていますが、今作で演じる宏樹との違いは何だと考えていますか?
田中:宏樹は美羽を心から愛しているんです。宏樹は宏樹で好きすぎるが故の甘えというのは根底にあると思っています。なので、「家族が増える」という出来事を通して、今まで甘えていた部分がどう変化していくのかに注目してほしいです。
ーー主演を務めている松本若菜さんの印象について教えてください。
田中:若菜さんとは『死神さん2』(2022年/Hulu)でも共演しているのですが、これだけ長い時間を共有するのは初めてでした。今のところ撮影中はどちらも笑っているシーンというのがほぼありません(笑)。第3話以降は宏樹も娘にデレデレな父親になっていて、美羽に話しかけるシーンもありますが、「絶対何かある!」と思わせるぐらい暗い顔もするんです。普段の若菜さんは明るいので、カメラが回っていないところでは、お互い沈まないでいられるというのはすごく救われているなと思います。2人が心から笑い合える回は来るのか……。
ーー戦友みたいな関係だと聞きました。
田中:戦友確定です。決して簡単ではない脚本ですし、大変な思いを2人で共有しながら、一話一話朝から晩まで撮影しています。このスケジュールを共にこなしていけるだけの絆はあります。
ーー共演の深澤辰哉さんは?
田中:辰哉くんは一緒のシーンがあんまりなくて。ご本人のことはすごく好きではありますが、まだお芝居でご一緒できていないんです。でも今後、冬月と宏樹が会う時は……と思うと、めちゃくちゃにやってやろうと思っています(笑)。
●次に挑戦したいのは「ダークな雰囲気の役」
ーー2024年で40代に入られ、ご自身も父親としての経験をお持ちですが、夫役や父親役を演じる際に感じる変化はありますか?
田中:やっぱり年齢を重ねて、夫役や父親役でオファーされることが増えたなとは感じます。今作のような赤子の父親となると、だいぶ昔の記憶。ですが、幼い子どもを持つ父親の気持ちは、自分が当時経験した時よりも解像度が上がっていると感じています。夫役や父親役は、時間が経って、年齢を重ねたことによってようやく掴める感覚があるなと思っています。
ーー興味深いです。田中さんの俳優としてのキャリアを振り返ってみて、「成長したな」と感じる部分は?
田中:台本の読み方は20年前とでは絶対に違います(笑)。 台本にないセリフや台本に描ききれない隙間を埋めることへの恐怖心がなくなった感じはあります。自分が映っている時よりも、自分の相手をメインに撮っている時の方を一生懸命演じて伝えたいという感覚です。昔は「役柄的にこのセリフ通りだと少し違和感があるな……」と思うこともありました。少しずつ変化はありましたが、僕のその考えを完全に壊した存在として、やはり『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)の影響は大きいです。台本はありますが、『おっさんずラブ』はその場で生まれるものの力が大きくて。台本だけでは絶対に描ききれない部分があると思うんです。
ーー今後挑戦してみたい役や、 ロールモデルがいれば教えてください。
田中:綾野剛くんが『地面師たち』(Netflix)で演じていたようなダークな雰囲気の役は挑戦してみたいです。性格が悪い役は演じたことがありますが、職業的にはあんまり経験がなくて(笑)。皆さんもダークなイメージの田中圭はまだあんまりないと思うので、40代、50代と、これからもいろいろな姿を見せていきたいなと思っています。
参照https://realsound.jp/movie/2024/10/post-1814097.html(文=佐藤アーシャマリア)

