夫婦ふたりでキッチンに立つと、動線が交錯してストレスに感じることがあります。2年前に平屋の注文住宅を建てた日刊住まいライターは、「洗う」「煮炊き」「それ以外の作業」と3つゾーンに分けてキッチンのレイアウトをプラン。収納もセットにして配置することで、お互いがぶつかったり重なったりする問題を解消しました。その快適さをリアルにレポートします。

念願の新居は中庭を配した回遊動線のある平屋

筆者は、2年前に高層マンションの街を離れ、海と山に囲まれた町に平屋を新築しました。この家で夫婦ふたりと大型犬1頭の暮らしを楽しんでいます。

建物は、中央に大きな中庭を配した回遊動線の平屋。建築面積は40.66坪です。回遊廊下をグルグルと走ったり、中庭にあるミニドッグランでボール遊びをしたりと、犬にとっても楽しい家ができ上がりました。

 

前の家はI型キッチン。ふたりの動線が交錯しストレス

わが家は夫婦共働き。お互い帰宅時間が遅いこともあり、夕食を手早くすませる毎日。そのような理由から、キッチンにはふたりで立って作業を分担しています。

新築前に住んでいた賃貸のキッチンは壁づけのI型キッチン。壁につけて配置されていたので、限られたスペースをムダなく使えるレイアウトでした。

しかし、壁に沿ってコンロ・作業スペース・シンクが横一列に並ぶため、ふたりでキッチンに立つと、少しの横移動でもぶつかってしまいます。とくに遅い時間の夕食は手早く調理したいのに、スムーズに作業ができずイライラ。使いにくいと感じることが多々ありました。

新居では動線が前後に分かれる?型キッチンを選択

こちらは新居で実現したキッチンです。賃貸マンションでの不満点を踏まえ、シンク(対面側)とコンロ(壁側)が分かれるII型キッチンを選択。キッチンメーカー推奨の通路幅1m以上を確保しています。

1人が対面側、もう1人が壁側に立って作業することが可能。また、それぞれ前後に独立した動線になっているので、交錯することなく作業できています。

ただ、このプランにたどり着くまでは、いろいろ苦労がありました。ショールームを訪ね、ふたりでの作業の様子をシミュレーションをしてみると、意外な弱点が見つかったからです。

2本の動線が独立し自由に横移動ができるII型キッチンは、ふたり作業に最適です。しかし、問題はふたりが背中合わせでキッチンに立ったとき。

1mの通路幅でも、ふたりが立つと1人あたり50cm。引き出しをあけるために一歩下がったりすると、ぶつかってしまうことも。これがII型キッチンに見つかった弱点です。

この弱点を解消するために、わが家では2つの工夫をしました。詳しく紹介します。

 

キッチンでの作業を3つのゾーンに分けてずらす

1つ目の工夫は、キッチン全体を縦に「洗う」「煮炊き」「それ以外の作業」と3つのゾーンに分割することです。

煮炊きゾーンをずらして3つのゾーンが重ならないレイアウトすることで、背後に人がいる状況を減らすことができるようになりました。

 

たとえば、1人がコンロの前に立ち調理し、もう1人が背面のスペースで作業していたとしましょう。

調理している人がコンロ下の引き出しをあけようとすると、通常は、引き出しに手をかけて、後ろに一歩下がってあけます。そうすると背後に人がいるときはぶつかってしまうことに。もし、背後にいる人が包丁を使っていたら…。ぶつかったらとても危険です。

コンロ下の引き出しをあける以外にも、食洗機から食器を取り出す、調味料や食器を引き出しから取り出すなど、キッチンではこうした前後の移動が思った以上にあります。

そこで、キッチンを3つのゾーンに分割しずらすことにしました。こうすることで、ふたりが背中合わせで作業することはなくなり、重なることはありません。

それぞれのゾーン内で通路の幅いっぱいに前後移動でき、自然な動作で引き出しをあけたり、食器や調味料を取り出したりできるように。II型で前後左右動線がぶつからない安全・快適なレイアウトになりました。

収納も3つのゾーンごとで完結するようにプラン

3つのゾーンに分割しずらすことで、背中合わせの作業は回避できますが、もう1点気になったのは収納。せっかく作業ゾーンを分割ずらしても、収納のためにほかのゾーンに入ることになると、ぶつかる可能性があります。

そこで、各ゾーンで使うキッチンツール、鍋や皿は、それぞれのゾーン内で完結できるように、収納スペースを配置しました。

 

シンク対面の引き出しにはザルやボウルといったツール、シンク下にはゴミ箱スペースをつくりました。作業スペースには包丁ブロックやキッチンペーパーを置き、対面の引き出しにはまな板や皿類を収納。

 

コンロ下の引き出しには鍋類、左の引き出しにはフライ返しのほか、下段には調味料を収納しています。

収納もゾーン分けすることで、それぞれのゾーンでの作業が完全に独立しました。ふたりでキッチンに立っていても、妻に作業の手を止めてもらって、なにかを取り出すといったことがなく効率的。

筆者は役割分担でコンロに立つことも多いですが、時間との戦いの「炒め物」も、妻と交錯することなくスムーズにできています。