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ランボルギーニ史上初のBEV

毎年恒例、アメリカ北カリフォルニア州モントレー市で開催される「モントレー・カー・ウィーク」

【画像】ランボルギーニから立て続けに2台デビュー 「ランザドール」と「レヴエルト」 全102枚

今年の目玉はズバリ、ランボルギーニ「ランザドール」である。


ランボルギーニ史上初のBEV「ランザドール」のスケッチ。    ランボルギーニ

ランボルギーニ史上初のBEV(電気自動車)であることは言うまでもないが、ランザドールは超高級車市場のみならず、グローバルBEV市場全体に与える影響が極めて大きい。

「ランボルギーニの歴史を変える」というより、「BEVの歴史を変える」という表現が、ランザドールにマッチするのではないだろうか。

ランザドールがこのタイミングでワールドプレミアされることに対して、自動車メーカー各社は十分に承知していたと言えよう。

なぜならば、ランボルギーニが掲げる次世代事業戦略「コル・タウリ」の中で、2028年のBEV量産を明記しており、コンセプトモデルとしては早々に登場することが予測されていたからだ。

そうなると、今から量産まで5年近くも間があくことになるが、電動パワートレインなどBEVのベースとなる技術はフォルクスワーゲングループの中で今後、成熟されていくことが確実だ。

デザインについては、そもそもランボルギーニデザインが大胆さを主張することから、
今回のコンセプトモデルの段階で十分、量産型をイメージでき得るものになることが予想されていた。

ランボルギーニBEVに対する疑念

筆者自身も、これまでのランボルギーニに対する各種取材を通じて、ランザドールという名称が知らなかったにせよ、ランボルギーニ初のBEVの青写真は十分に理解していたつもりだ。

例えば、2022年11月に「ウルス・peルフォルマンテ」日本初公開の際、ランボルギーニ本社のステファン・ヴィンケルマンCEOにBEVについて聞いている。

その際、あえて「ランボルギーニBEVとポルシェ・タイカン、またアウディeトロンGTとの共通性」について触れた。

3モデルは兄弟車になる可能性が高く、どこまで「ランボルギーニらしさ」を出せるのかという観点で質問した。

これに対して、ヴィンケルマンCEOは「グループとしてのメリットを十分に使う」とした上で、同じくフォルクスワーゲン・グループとしての効果が高いウルスの成功を引き合いに出した。

要するに、VWグループ内での構成部品の共通化がさらに進む中で、ランボルギーニユーザーに対して「ランボルギーニらしさ」をどのように創造するべきかを、ランボルギーニ側が十分理解していると断言したのだ。

そうは言っても、ヴィンケルマンCEOと直接会話しながら、筆者は心の中で「本当にランボルギーニらしいBEVとして、やりきれるのか?」という疑念があった。

まさかの「2+2」

今回の公開されたランザドールを見て、筆者の疑念は吹き飛んだ。なんと、最低地上高が少し高めの「2+2」ではないか。

大方の予想では、ランボルギーニBEVは、タイカンとeトロンGTとの共通プラットフォームなので4ドアスポーツと見られていた。

それが「2+2」として登場したことに自動車業界関係者の多くが驚いたと思う。

さらに、新開発の12気筒エンジンと、3台の高密度電気モーターを組み合わせるスーパーカー「レヴエルト」が目指す商品性とは明らかに違う。

こうしたBEVの領域を、ランボルギーニは「ウルトラGT」と呼んでみせた。

あくまでも筆者の私見だが、ウルトラGTはランボルギーニ個社によるマーケティング用語にとどまらないだろう。

ランザドールが登場予定の2020年代後半には、グローバルのおいて自動車の各セグメントで本格的なBEV化が進んでいることは、メーカー各社の中長期事業計画から見て確実な情勢だ。

そうした時代の大きな変化期を先取りして、ランボルギーニはウルトラGTという新セグメントを創造したと言える。

現時点では、ウルトラGTの定義はない。

だが、ランザドールに見られるように、単なるオンロードスポーツカーではなく、様々な走行環境において1000ps超えの超大なパワー/トルク/アクセルレスポンスを堅持し、そして電動四駆による際立つ運動特性によって、多様なライフスタイルにマッチするのが、ウルトラGTのイメージであろう。

日本メーカー苦手 「らしさ」の表現

今回、ウルトラGTというセグメント誕生を見て、改めて感じたのは「BEV時代のキモは、『らしさの追求』」ということだ。

こうした「らしさの追求」について、自動車メーカー各社は極めて厳しい状況に直面している。なかでも、日系メーカー各社は「らしさ」の創造が苦手だ。

今後、クルマがBEV化することで、中規模以下のメーカーはクルマの基本構造であるプラットフォーム、モーター、電池などで大手メーカーの助けが必須となる。

そうなれば、クルマの差はデザインのみになり兼ねない。

だからこそ、メーカーとしてユーザーに、または販売店に対して、そのメーカーらしさをどう伝えるかが、自動車産業にとって最重要課題となる。

その上で、ウルトラGTのような「究極のオールマイティ」といった観点では、各メーカーのらしさが際立つことになるだろう。

一方で、大量生産されるセグメントでは、大手メーカーが市場を「総どり」するのか?

または、ステランティスのように、投資家目線で「ブランドのデパート」を仕立てるようなビジネスモデルが、日本でも定着するのか?

今回ランザドールが具現化したことで、とくに日系メーカー各社の近未来事業に対する
「焦り」が強まったのではないだろうか。