シリーズ読者投稿〜忘れられない「あの人」と〜 投稿者:Kさん(岩手県・50代男性)

2011年3月11日――津波で会社が流されてしまったKさんは、山中の避難所で一晩を過ごした。

翌朝、彼が向かったのは自宅のある隣町。瓦礫の中を歩いていく中で、1人の男性に出会った。

<Kさんの体験談>

東日本大震災の日のことです。津波で会社が流されてしまい、私は山中の避難所で一夜を過ごすことになりました。

朝になってから、私は歩いて隣町へ。自宅がそちらにあり、家族が心配でした。

私を見るなりニコニコして...

自宅は津波で流されたと思うけど、家族だけは生きていて欲しい。

私はそう思いながら、どこが道路かもわからない瓦礫の中をとにかく夢中で歩きました。

その途中、反対側から誰かがこちらに向かってくるのが見えました。リュックサックを背負った、50代の男性でした。

その人は私を見るなりニコニコと笑顔を浮かべて声をかけてきました。

「何か食べた? おにぎりあるよ」

彼はそう言うと、リュックから手作りのおにぎりを2つ取り出し、その内1つを私に差し出しました。さらに「半分飲んでしまったけど良かったら」とペットボトルの水までくれたのです。

そして、ニコニコしながら「頑張りましょう」とだけ言って瓦礫の中を歩いて行きました。

貰ったおにぎりを食べたら涙が出ました。「頑張ろう」と思い、再び歩き始めました。

11年経った今でも鮮明に覚えています。あの時は本当にありがとうございました。

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