なぜ「アイドリングストップ」の表記は「A」? 「IDLING」なら「I」にするべきでは?
そもそも「IDLING STOP」の頭文字ではない!
停車中にエンジンを停止することで燃費の改善を図るアイドリングストップ機能。
そのON/OFFを操作するボタンをよく見ると、そこには「A」の文字が見られますが、「IDLING STOP」の略なら「I」になるのではないでしょうか。

アイドリングストップ機能は、いまでは多くのクルマに装備されるようになりました。
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アイドリングストップ機能を装備したクルマの前身は、1971年に登場した4代目トヨタ「クラウン」や、1981年に発売された2代目トヨタ「スターレット」といわれています。
この機能が搭載されている場合には、シフトレバー付近やハンドル周辺にアイドリングストップ機能のON/OFFスイッチが配置されており、そのマークをよく見ると「A」を矢印で丸く囲んだマークであることがわかります。
しかし、「アイドリングストップ」をアルファベット表記すると、「IDLING STOP」となるため、その頭文字をとると「I」を用いたマークのほうが正しいように思われますが、なぜ「I」ではなく「A」なのでしょうか。
自動車業界に詳しいある関係者は、このアイドリングストップの“AI問題”について、以下のように解説します。
「結論からいえば、この『A』とは『アイドリングストップ』を指しているのではなく、アイドリングストップを自動でおこなっているということを指しています。
つまり、『AUTOMATIC』の頭文字をとって『A』となっています。
そもそも『アイドリングストップ』とは、信号待ちなどの停車中や、駐車場などで駐車をしているときに、エンジンを切る行為を指す和製英語です。
不必要なアイドリングは、エンジンを傷め、環境にも悪影響であるとして、一部のユーザーのなかで、以前から自主的にアイドリングストップをすることがおこなわれていました。
2000年代なかばころより、アイドリングストップを全自動でおこなうクルマが登場しはじめました。
それまで一部のユーザーが手動でおこなっていたアイドリングストップを、自動でおこなうという意味で、『AUTOMATIC』の『A』が採用されることとなったのです」
※ ※ ※
現在では、多くのクルマに全自動式のアイドリングストップ機能が搭載されるようになり、Aを矢印で丸く囲むマークが世界共通で使用されることになりました。
このマークは、国際規格によって定められたものであるため、国産車か輸入車かを問わず、基本的にはすべてのクルマで同じマークが使用されています。
アイドリングストップ機能は燃費改善に効果あるも、すでにお役御免?
アイドリングストップ機能の役割は、いうまでもなく、駐停車時にエンジンを停止させることによる、燃費の改善です。
加えて、エンジンの保護や騒音防止にも一定の役割があるとされています。
例えば、2003年にトヨタ「ヴィッツ」が全自動式のアイドリングストップ機構を搭載したことで、非搭載車に比べて約9%の燃費改善が見られたといいます。
総合的な燃費性能が向上した現在では、アイドリングストップ機能による燃費改善の比率は相対的に小さくなってきていますが、それでも停車の多い都市部などでは一定の効果があるようです。
一方、頻繁にエンジンが停止し再始動することを嫌うユーザーも少なくないのが現状です。
エンジンが停止することに不安を覚えたり、再始動の際のセルモーターの音を不快に思ったりするユーザーのなかには、アイドリングストップ機能をOFFにしたままにするという場合もあるようです。
また、近年では自動車メーカーのなかでも、アイドリングストップ機能をあえて搭載しないという例もあるようです。

例えば、トヨタ「ヤリス」のガソリン車にはアイドリングストップ機能は搭載されていません。
しかし、ヤリスの燃費性能はクラストップレベルであり、アイドリングストップ機能によってさらなる省燃費化を図るメリットよりも、コストの増加や整備性などを考えて、あえて搭載しないほうがユーザーメリットがあると判断されたものと考えられます。
ここ20年で急速に普及してきた全自動式のアイドリングストップ機能ですが、エンジンそのものの燃費性能が向上している現在では、すでにお役御免となりつつあるのかもしれません。
※ ※ ※
東京都では、駐車時のアイドリングストップが条例で義務付けられているように、「アイドリングストップ」という言葉には、駐車時のエンジン停止という意味も含まれています。
一方、信号待ちなどでの一時的な停車時には、必ずしもアイドリングストップをしなければならないわけではありません。
むしろ、アイドリングストップ機能非搭載車で、エンジンの停止と再始動を繰り返すと、エンジンやバッテリー、セルモーターに過度な負担をかけてしまうことになります。
アイドリングストップ機能搭載車には、専用のバッテリーやセルモーターが搭載されているため問題ありませんが、非搭載車での過度なアイドリングストップには注意が必要です。
