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地方公務員は、全国一律の年収だと勘違いいる人はいないだろうか。自治体によって年収は異なっており、平均年収が高い自治体と低い自治体では300万円以上の差がある。この記事では、平均年収が低い自治体をランキング形式で紹介する。

■平均年収が低い自治体ランキング

今回紹介するランキングは、東洋経済オンライン編集部が作成したものだ。総務省が発表した「地方公務員給与実態調査」の2020年版を基に各自治体の平均年収が算出されている。算出された平均年収には諸手当やボーナスも含まれるが、寒冷地手当は含まれない。

早速ランキングを紹介していこう。

地方公務員の平均年収が最も低い自治体TOP3は東京都青ヶ島村の392万円、それに続くのが山梨県小菅村で433万円、3番目は大分県姫島村で443万円だった。

続いては、なぜこのような自治体では地方公務員の平均年収が低いのか考察するために、地方公務員の平均年収の決め方について説明しておく。

■地方公務員の給与はどのように決まる?

地方公務員の給与には「均衡の原則」がある。均衡の原則とは、地方公務員法24条2項で「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに⺠間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない」と規定されている内容を指す。

ここでいう生計費とは、地方公務員の生活を維持するための費用のことを指し、生計費を考慮した上で、その地域の民間企業の給与水準を重視して決定される。そうしなければ、その自治体に税金を支払っている住民などから理解を得られにくいからだ。

■1〜3位の自治体の人口や産業は?

地方公務員の給与の決まり方について知識を持った上で、平均年収が低かった3つの自治体について、どのような自治体なのかサマリー的に説明しよう。

● ●1位:東京都青ヶ島村(平均年収392万円)

東京都青ヶ島村の地方公務員の平均年齢は42.8歳だ。平均月給は約27万3,000円で、これに手当や賞与を加えた平均年収額が約392万円となっている。10年前の2010年時点では約444万円だったのだが、この10年間で平均年収は約52万円もダウンした。

そもそも青ヶ島村は、伊豆諸島南部の青ヶ島を村域とする自治体で、「日本一人口が少ない村」として知られてきた経緯がある。2021年9月1日時点の人口は178人しかいない。主な産業は農業だが、村民の大半は村役場の職員や建設作業員となっている。

● ●2位:山梨県小菅村(平均年収433万円)

山梨県小菅村は村域に山々が広がる自治体だ。地方公務員の平均年齢は33.3歳で、平均月給が約27万4,000円、平均年収が約433万円となっている。10年前は約547万円だったことから、10年間で平均年収が約114万円ダウンした形だ。

小菅村は豊かな自然環境に恵まれた自治体といえ、小菅村自体が秩父多摩国立公園内に位置している。また、東京都内を流れる多摩川の源流部に位置していることでも知られる。2021年9月1日時点の人口は662人で、産業としては、観光業のほかわさびの生産などが盛んだ。

● ●3位:大分県姫島村(平均年収443万円)

大分県姫島村の公務員の平均年齢は40.8歳で、平均月給は約27万3,000円、平均年収は約443万円となっている。10年前の平均年収は約450万円で、この10年で平均年収が7万円ダウンしたことになる。東京都青ヶ島村や山梨県小菅村と比べると、減少幅は小さい。

姫島村は大分県の姫島全域を村域としており、2021年9月1日時点の人口は1,680人となっている。漁業や観光業が基幹産業だ。

■「都市部から離れている」「人口が少ない」といった共通点

地方公務員の平均年収が低い自治体の多くが都市部とは離れた場所にあり、人口が少ないことなどの特徴が一致している。これらの自治体では平均年収が高い仕事が生まれにくく、それによって地方公務員の平均年収も低く推移しているということだろう。

さらに、さまざまな自治体の地方公務員の平均年収を知りたい人は、総務省が毎年発表している地方公務員給与実態調査を閲覧してみてはいかがだろうか。総務省の公式サイトからダウンロードが可能だ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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