糞尿貯留ピット内に転落し死亡した3兄弟(画像は『People.com 2021年8月12日付「Three Ohio Brothers Die from Fumes after Falling in a Manure Pit」(CREDIT: FACEBOOK)』のスクリーンショット)

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米オハイオ州にある畜産農場の糞尿貯留ピットで今月10日、30代の3兄弟が意識不明の状態で発見された。3人は有毒ガスを吸って意識を失い、ピット内に転落した可能性が高いという。『People.com』『New York Post』などが伝えている。

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米オハイオ州マーサー郡セント・ヘンリーにある家族経営の畜産農場で今月10日、ブラッドさん(Brad、35)、トッドさん(Todd、31)、ゲイリー・ウェブカーさん(Gary Wuebker、37)の3兄弟が糞尿貯留ピット内に転落し、搬送先の病院で亡くなった。

ウェブカーさん一家の大規模な畜産農場の敷地内には、家畜の糞尿を肥料として利用するために貯留しておくコンクリート製の糞尿貯留ピットがあり、3人は朝からポンプのメンテナンスを行っていた。

異常に気付き、最初に緊急通報をしたのは3兄弟の母親で「息子1人が糞尿貯留ピット内で意識を失っている。中で何かをしていたようだ」と伝えたという。そしてその直後、救急隊員らは「3兄弟全員がピット内に転落している」と他の家族から通報を受け、現場には消防隊のダイブチームらも駆けつけた。

3兄弟の救出にはロープやはしごが使われ、通報から20分後には全員がピットから引き揚げられた。しかしながら3人は搬送先の病院でその日のうちに息を引き取っており、トッドさんとゲイリーさんの死因は事故による窒息死であることが判明している。

オハイオ州立大学によると、糞尿貯留ピット内では時に硫化水素やメタンガス、一酸化炭素やアンモニアなどの有毒ガスが作り出されるという。そしてガスのレベルが低ければ吐き気、頭痛、めまい、高ければ呼吸困難を引き起こし、最悪の場合は死に至る。ピット内を空にする夏に死亡事故が多く報告されており、風の状態や腐熟度などによってもガスの発生状況が変わるため注意が必要だという。

なおこのニュースには、「一度に3兄弟を亡くした家族のことを思うとつらい」「これまでにも同じ事故は起きている。安全対策を取らなかったことが悔やまれる」「糞尿の中で溺れて窒息死したってことだよね。悲しすぎる結末」「畜産農家は大変な仕事だと思う」「働き盛りの3人を失って経営が成り立っていくのか。事故防止の徹底を」「悪臭も問題。ピットの在り方を考え直す時」といったコメントがあがっている。

ちなみに昨年6月には米ノースダコタ州のある農場で、サイロの上部にある詰込口から内部に転落してしまった女性が、貯蔵されていたヒマワリの種に埋もれて亡くなるという痛ましい事故が起きていた。

画像は『People.com 2021年8月12日付「Three Ohio Brothers Die from Fumes after Falling in a Manure Pit」(CREDIT: FACEBOOK)』『New York Post 2021年8月12日付「3 Ohio brothers die after getting trapped in manure pit: officials」(WDTN)』『Live Science 2021年8月13日付「3 men die in manure pit: Here’s why it’s a ‘death trap.’」(Image credit: Shutterstock)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)