【私の雑記帳】『財界』主幹・村田博文
健康への強いこだわりが、結局、人々を不安と恐怖に誘ってしまうということ。
渡辺さんは、これを「人生の背理」とし、〝不安と恐怖〟を異物視し、これを排除しようとすることで、ますます強く不安と恐怖に囚われてしまい、人々が神経症になると説明。
事実、コロナ禍でも、不安障害、強迫観念に苦しむ人が再生産されている。
「健康の中に不安があり、不安の中に健康がある。そう構えることが成熟した人間の生死観だということを、森田に今なお深く傾倒しているわたしは考え、このコロナ時代を生きていく覚悟です」という渡辺さんである。
『不安常住』──。コロナ危機を生き抜くキーワードである。
ニトリの挑戦者魂
コロナ危機で、34期連続で増収増益決算を2021年2月期で達成したニトリホールディングス。創業者で現会長の似鳥昭雄さん(1944年=昭和19年生まれ)は、「来年2月期決算で35期連続をやりたい」と前向きの姿勢。
上場したのは1989年(平成元年)9月でバブル経済崩壊のとき。時代の変わり目に登場したのが『ニトリ』で、環境変化を含む危機時に強い会社と言っていい。
「変化はチャンス」というのが、似鳥さんの口ぐせ。マイナス環境の中で成長を遂げるには、それ相応の努力と忍耐が要求される。
お値打ちの商品で消費者にアピールし、それを長年続けられるというのは、なまさかなことでは達成できない。
以前の円高還元セールもそうだ。円高なら、製造業はじめ、ふつうの企業は打撃を受けて苦境に入るとき、ニトリは円高時に差益が発生する仕組みを考えた。
海外に生産拠点を作り、輸入で為替差益を生む仕組み、物流も自らこなし、円高の続く日本で収益をあげるインフラ整備を進めた。
似鳥さんの挑戦は続く。
「日本は10年か15年位アメリカから遅れていると思うんです。日本は本当のディスカウントストアがない」として、消費者に喜ばれる店づくり、販売手法の開拓に注力する日々。
米中対立の中での選択
国際的にも、『米中2極』の体制が当分続きそうだ。
経済と安全保障が結び付き、『経済安全保障』というコンセプトで経済活動を担う時を迎えている。
日本は安全保障面で日米同盟を結んでおり、基本軸はこちらに重心を置いて今後の進路を選択しなければならない。
一方、日本にとって中国は貿易面で最大相手国。経済面での関りは強いし、日本企業の投資も多い。歴史的なつながりも深い。
価値観の選択とも相まって、国の進路と企業活動がこれほど深く関わることも、戦後76年の中でなかったのではないか。
日本の自立、日本らしさを取り戻すうえで、ここは知恵の出しどころだと思う。
