装備面ではグレードの差があらわれている

 近年はそれなりにいい軽自動車とコンパクトカーの価格は似たようなものになっていることも多く、迷う人も多いかもしれない。という背景もあり、ここではホンダ車で価格が非常に近いフィットBASIC(155万7600円、1.3リッターガソリンNA)と、N-BOX L(155万9800円、660ccのNAエンジン)を新車で買い5年、5万km乗るという想定で総合的な出費などから「どちらがお得か?」を考えてみた。

■乗って、使ってどうなのか?

装備内容

 フィットはベーシックグレードということもあり全体的にシンプルで、ホンダセンシングをはじめサイドカーテンエアバッグなどが標準装備される。近い価格のN-BOXは左側の自動ドア、シートヒーターなども標準装備というアドバンテージがあり、N-BOX優勢だ。

使い勝手は?

 キャビンとラゲッジスペースが広いフィットと軽スーパーハイトワゴンのN-BOXはジャンルというか得意なところが異なることもあり、引き分けとする。

乗ってどうか?

 街乗りだけというならそれほど変わらないとも言えるが、高速道路を使った長距離ドライブなどになると、やはり車体やエンジンが大きいフィットの余裕というアドバンテージは非常に大きい。

 また、それぞれに装着される自動ブレーキや先行車追従型のアダプティブクルーズコントロールといった運転支援機能から構成されるホンダセンシングも、フィットはアダプティブクルーズコントロールが停止まで対応するタイプになるという点も高速道路の渋滞などでは有難い。

■費用関係

購入時の費用

 フロアマット、カーナビ、ETCという最低限に近いディーラーオプションを付けて、フィット:約186万円、N-BOX:約183万円と、自動車税と軽自動車税の違いなどにより、やはりN-BOXは約3万円安い。

自動車税、軽自動車税(1年目は購入時に支払うため、4年分)

 フィットの自動車税は1年3万500円なので4年で12万2000円、N-BOXの軽自動車税は1年1万800円なので4年で4万3200円と、軽自動車税の安さは絶大だ。

ガソリン代

 実用燃費はそれほど変わらないため、ガソリン代もさほど変わらないだろう。

タイヤ代

 5年5万kmのスパンだとタイヤ交換1回が必要になると考えると、それなりにいいものに交換すると185/60R15を履くフィットが6万円程度、155/65R14を履くN-BOXは4万5000円程度かかる。

車検代

 5年乗る場合、新車から3年後に初回車検の継続が必要だ。あるホンダディーラーを例にすると点検料などは約4万5000円と変わらないが、法定費用となる24ヶ月分の自賠責と重量税の合計はフィット:約4万5000円、N-BOX:約2万5000円と、車検でも約2万円の差が付く。

 ここまでの新車から5年5万km乗るためにかかる費用の小計はフィット:約213万円、N-BOX:198万円と、やはりフィットはN-BOXより約15万円高い。

リセールバリュー

 5年後のリセールバリューをホンダの残価設定ローンの最終回の支払額を参考にすると、フィット:約47万円、N-BOX:約55万円と、N-BOXは軽スーパーハイトワゴンというジャンルとN-BOX自体による人気の二乗や維持費の安さにより、リセールバリューも高い。

■収支決算

 5年5万kmのスパンでリセールバリューまで含めると、同じ車両価格ならN-BOXのほうがフィットより約23万円安く済む計算になり、よく言われる「軽自動車はコンパクトカーより、年間4万円から5万円安く済む」という範囲に落ち着いた。

■まとめ

 出費だけで見れば、車両価格が同じ軽自動車とコンパクトカーは軽自動車のほうが安く済むのは事実だ。しかし、使い方によっては前述したようにコンパクトカーのアドバンテージは大きく、ザックリとした考え方として「1台で済ませるというならコンパクトカー、セカンドカー的に使うなら軽自動車」というのがいいと思う。また、軽自動車のリセールバリューの高さを逆手に見ると、中古車で買うならリセールバリューにより中古車価格が安いコンパクトカーにするという手もある。

 いずれにしても軽自動車とコンパクトカーで迷った際には出費だけでなく、使い方も含めて自分に合ったほうを選んで欲しい。