文在寅、トランプの両大統領と話すヒュンダイの次期会長

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韓国で目にする自動車の半分がヒュンダイ、系列を合わせると70%超

 ヒュンダイ(現代)自動車は韓国を代表する自動車メーカーであり、韓国人が常に関心を持つ企業である。生産量がアジアの自動車メーカーの中でトヨタと並んで「グローバルトップ5」に入るほど世界的な規模だが、その一方で生産量を除く企業理念や経営などについて、さまざまな議論が飛び交っている。「日本のみなさん、こんにちは!」とツイッターで日本再上陸をほのめかしている中で、日本人にとってもそれは無縁ではない。

【写真】あるはずの「エアバッグ」が装備されていなかった「起亜のカーニバル」

 現代自動車が属する現代自動車グループは20に及ぶ企業を傘下に持ち、自動車のほか、鉄鋼、金融、部品製造、建設など多様な分野で構成されている。正規職だけで13万人余りの労働者数を擁する韓国最大の企業である。

文在寅、トランプの両大統領と話すヒュンダイの次期会長

 現代自動車の韓国における市場シェアは2019年に一時落ち込んだものの依然として40%台を維持している。

 今年はまだ正確な集計が出ていないが、韓国自動車産業協会の統計によると、20年1月までの現代自動車の韓国市場シェアは49%に上っている。

 韓国で目にする自動車の半分が現代自動車ということだ。さらに、現代自動車とグループに属する系列会社の起亜自動車を合わせたシェアは実に70%を超えている。

 韓国内を走行する自動車10台のうち7台が現代自動車か起亜自動車なのである。自由な競争が保障される韓国で、現代自動車グループの寡占は、常に問題点として指摘されている。

エンジンの炎上事故

 現代自動車が韓国市場で勢いを持った理由は簡単だ。

 1950年代以降に生まれた韓国の戦後世代にとって、現代自動車は迷わず購入する品目の一つだった。

 韓国の自動車メーカー初となったオリジナルモデルのポニーを販売し、韓国のモータリゼーションとマイカー時代の幕開けを主導。当時、輸入車は一般人には手が届かない領域で、現代自動車は大宇や起亜などといったライバルの一歩以上先を進んでいた。

米国10年10万マイル(約16万km)、韓国3年6万kmという保証期間

 現代自動車が韓国内で高い人気を持つもう一つの理由は、韓国人の好みに合う多様なオプションが提供され、どこへ行ってもメンテナンスや整備を受けられる利便性だ。

クルマにまつわる大小の問題がウェブを賑わせる

 現代自動車グループの鄭夢九(チョン・モング)会長は、現代自動車サービスとかつて三菱シャリオをベースにしたサンタモや三菱パジェロをベースにしたギャロッパーを生産した現代精工(現・現代モービス)を経て、現代自動車グループの会長になったが、それらの経験が韓国市場1位の維持に大いに役立ったと話している。

 2005年あたりから韓国では輸入車のシェアが毎年1%以上の成長を記録し、シェアを高めはじめた。

 韓国輸入自動車協会(KAIDA)の統計によると、12年に10%を突破し、18年は16%で、19年と20年は15%台になると見込まれている。

「貴族労組」の集会風景

 業界関係者の多くが現代自動車の危機を予測した。

 父親世代と違って、若い世代はあえて現代自動車にこだわらない。また、海外留学を経験した人が増え、多様な金融プログラムが登場したことも輸入車のシェア拡大に一役買った。

 さらに、インターネットが普及し、さまざまな情報が溢れ出て「迷わず購入する現代自動車」のイメージが徐々に崩れ始めた。

 もちろん、依然として現代自動車のシェアは非常に高い。

 個性や自分が求める車、あるいは高くても高級というイメージがある輸入車を購入する人が増えたのは事実だが、自動車を購入する大多数はあれこれ面倒なことを考えず、安易に便利な現代自動車を選んでいる。

文大統領による工場視察

 一方、消費者の不満は次第に高まっている。

 消費に関わるほとんどすべての情報が公開されると、現代自動車の米国販売価格と韓国販売価格の差に対する不満が論じられ(米国販売価格の方が安価)、また米国10年間10万マイル(約16万km)、韓国3年間6万kmという保証期間の違いも知られるようになった。

漏水やエンジンオイルへの冷却水の浸透、排ガスの室内への流入…

 とはいえ、韓国国内で輸入車を買うという選択ができるのはひと握りの金持ちだけだ。だから、積極的というより仕方なく現代自動車を購入する消費者が多くなった。

 現代自動車は、米国と韓国は自動車の販売量が異なるため、異なる価格戦略を展開せざるを得ないと説明するが、その理屈で国内消費者を説得することは難しい。

 過去の日本進出の失敗も当然だ。自動車業界の関係者は「日本で車を売ることはない」と話した。韓国市場は仕方なく購入する消費者が大部分だから存在できているが、車種が多様な日本で現代自動車は競争力をあれこれいう資格すら得られない。

 2015年、韓国自動車業界では物珍しいイベントが開かれた。現代自動車と関係なく開かれたもので、韓国の消費者の不満がどれほどなのかを大方知ることができる内容だった。

 具体的にその場では、現代自動車の韓国内販売車と米国内販売車は異なるという議論がたびたび繰り返された。国内販売車と輸出販売車は該当国の法律によって仕様が異なるのが原則だというのだ。

 大学教授と専門家らで構成されたイベント主催側は、米国で販売されている車を求め、人々を集めて韓国モデルと米国モデルを正面衝突させたが、結果に違いはなかった。

 最近は良くなったとはいえ、少し前まで車体の腐食が問題となり、今も新車が出るたびに漏水やエンジンオイルへの冷却水の浸透、排ガスの室内への流入などといった大小の問題点がインターネットを賑わしている。

自分たちの利益だけを主張する急進的で悪名高い「貴族労組」

 最近はジェネシスのSUV「GV80」ディーゼルエンジンの騒音と振動が問題になった。

 6月に発売されたGV80は生産中断となり、数日前に販売が再開されたところだ。

 このような問題に対する現代自動車の対応は消極的で、消費者を憤慨させる要因にもなっている。

 一方の米国市場では、現代自動車はとても素早く対応する。問題が見つかると、直ちに原因を分析して解決に乗り出すか、あるいは交換やリコールで対応する。同じ企業とは思えないほど積極的だ。

 現代自動車の労働組合も常に議論の的になっている。金属労働組合に属する現代自動車の労働組合は経営には関与せず、「貴族労組」と異名を取るほど悪名が高い。

 最近、会社が生産ライン内で勤務時間にスマホを見ることができないようにとWi-Fiを遮断すると、労組が反発してストを辞さない構えを見せたと報じられたが、品質不良に対する消費者の不満は高い。

 工業製品の特性上、完成品の品質差はある程度理解できるが、やるべきことをやらず自分たちの利益だけを主張する急進的で悪名高い労働組合の行動が知られるようになり、現代自動車の信頼はますます落ちている。

 欧州や米国の自動車関連従事者は、韓国人がなぜ現代自動車に不満を持ちながら購入するのか理解できない。

 欧米では価格が安く保証期間も長い無難な車だが、韓国人は現代自動車を買う一方で、本当に好きで購入する人は多くはない。欧米の人たちは容易には理解できないようだ。

ソウルトンボ
ソウル在住の韓国人ライター

週刊新潮WEB取材班編集

2020年9月11日 掲載