※写真はイメージです/PIXTA

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賃貸アパートの施工不良発覚から2年。昨年度の補修完了を目指すとしていたが、レオパレス21の改修工事は終わらない。業績も悪化の一途をたどっており、不動産オーナーからは心痛極まった声が上がっている。本件の構造的問題は何だったのか。ウィステリア・グループ株式会社の代表である藤本好二氏が書籍『不動産投資業者のリアル』(幻冬舎MC)で指摘しているのは…。

「30年一括借り上げ保証」レオパレスの罪

■「レオパレス21」訴訟で明らかになった、管理会社の闇

投資家が購入した不動産の管理を請け負う、管理会社。入居者募集や建物のメンテナンスなどの管理業務を、他に仕事を抱えている投資家自らが行うというのは現実的ではありません。ほとんどの場合、管理会社に業務委託することになります。

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管理会社の系譜を辿ると、大きく二つに分かれます。一つは、もともと建築を手掛けていた会社が管理部門をつくったケース。もう一つは、内装など装飾を行っていた会社が管理事業を始めたというものです。近年は、管理だけに絞って事業を展開する会社も増えてきましたが、源流としてはこの二つになります。

いわゆる「サブリース」にまつわる問題の中心にいるのも、管理会社です。「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズも、もともとはその創業者が荒稼ぎをして引退するためにつくったスキームにおける管理会社部門でした。

管理会社のトラブルとして記憶に新しいのが、レオパレス21に対する訴訟です。

同社は「30年一括借り上げ保証」というサブリース契約を謳い、オーナーは入居者の有無にかかわらず安定した家賃収入が得られるというメリットを全面に押し出して管理を請け負っていました。

兵庫県、埼玉県…続々と判明したレオパレス21の不備

しかし実際には、早いもので10年も満たないうちに、家賃を減額したり、借り上げ契約を解除したりするようオーナーに強制的に迫った疑いがもたれています。

家賃減額や借り上げ契約解除は、オーナーを直接的に追い詰める非常に重要な事案です。もともとの立地がよく、物件としても魅力的であれば、たとえ契約解除がなされても賃貸経営を続けられるでしょう。しかし「30年保証」の甘い言葉により、そもそも賃貸需要が薄いような地域に物件を建ててしまったような場合には、ローン返済どころか負債ばかり増えていくことになります。

賃貸経営においては、まずはマーケティングを行ってその地域の賃貸需要をリサーチし、単身者向けやファミリー向けなど需要に合わせた建物を採算の取れる範囲内の金額で建設して運営するというのが基本です。建物の劣化により家賃の下落もあらかじめ考慮し、それも込みで経営が成り立つかを、投資する前に判断する必要があります。

ところが、「入居者の有無にかかわらず、30年間は安定した収入がある」というセールストークをそのまま受け入れ、マーケティングなど一切せずに投資を行ってしまったことが、レオパレス21に対する訴訟の前段であると思います。

■「手抜き工事」「手抜き管理」も存在する

もちろん、レオパレス21側にも大きな問題があります。

レオパレス21はもともと仲介会社であり、1973年創業の古参です。その後、1985年から、都市型アパートとして「レオパレス21」を本格展開。バブルの勢いに乗って成長を続け、2018年4月現在では、約57万戸を管理しています。

現在のレオパレス21は、建設から完成後の借り上げ、管理までを一括して行う事業者です。そのビジネスモデルにも、「30年一括借り上げ」へとつながる伏線があります。個人的には、マンションやアパートを建設する時点で、かなりの利益を上げていたと推測します。

2018年5月、レオパレス21が1996年から2009年の間に建てたアパート38棟に関して、欠陥が指摘され、建築基準法の疑いが浮上しました。もともと、「レオパレスのアパートは壁が薄い」という噂が囁かれてきましたが、それが事実であると示されたわけです。具体的には、兵庫県や埼玉県など12都道府県で、天井裏に音漏れや延焼を防ぐための界壁がなかったり、施工が不十分だったりというのを、レオパレス21側が確認しました。

不良物件については、2019年10月までに補修工事を行うとしています※。

※編集部注・・・補修工事は延期され「2020年6月末を目処」に完了するとの発表があったが、2020年8月末時点で終了していない。

「30年一括借り上げ」でも利益を上げていたカラクリは

なお、発覚の経緯については、2018年3月29日と4月17日に、オーナー2人から、「行政が発行した確認通知書の内容と実際の建物に相違がある」と指摘を受け、調査を開始したと説明しています。184棟を確認した結果、168棟に違いが見つかったといいます。

そうした手抜き工事が示すのは、利益の水増しです。建設費を少しでも安く抑えれば、それは事業者の利益となります。

レオパレス21ブランドのアパートはどれもほぼ同じ仕様であり、同じ規格で大量に発注することで建設コストを安く抑えることができたはずです。それに加えて手抜き工事を行った上、相場より割高で販売するとしたら、通常で同様のアパートを建設するのに比べ2倍の利益が出てもおかしくありません。

建設時にそれだけ稼げれば、その一部を「30年一括借り上げ」の初期費用に回しても、十分に利益が出るわけです。逆から見れば、オーナーは自分が払ったお金の一部の返金を受けているだけともいえます。そしてそこから断続的に家賃を下げたり、契約解除を行ったりすれば、利益を確定できます。

また、レオパレス21は自らのアパートの仲介も行っていたわけですから、建設地における賃貸需要も当然、分かっているはずです。それにもかかわらず近隣に何棟もの自社アパートを建設し、それらが競合するのを承知の上で数年で家賃の減額や借り上げ解除を迫るというのは、あらかじめスキームとして計画されたと疑われても仕方ありません。

その他に、管理面のトラブルもあります。2017年8月、静岡、岐阜、愛知などにアパートを所有するオーナー29人が、「レオパレス21が契約通りに修繕を行っていない」として、修繕契約の無効および支払った修繕費計1億4700万円の返却を求める訴訟を起こしています。

このオーナーたちは、レオパレス21と一括借り上げの契約を結んだ上、別途締結した修繕契約に基づいて、月々10万円ほどの修繕費を賃料から差し引くかたちで支払っていました。

訴えによれば、屋根の塗り替えなど一定期間で行うべき修繕がほとんど行われていなかったといいます。

投資家には管理会社の見極めが求められる

建物の修繕も、その実際の頻度や実施内容を見れば割高と思えるような設定をしている管理会社はいくつもありますが、訴訟にまで発展しているということは、おそらくオーナーからの度重なる修繕要求にもレオパレス21側が応じなかったのでしょう。

もし、これらすべてが真実であるとするなら、レオパレス21は投資家が関わってはいけない悪徳業者の一つであると言わざるを得ません。

そして管理面での訴訟は、他の管理会社でも同様に起こり得ることです。

■管理業務は「PM」と「BM」に分かれる

では、そもそも管理会社とは、どのような会社なのか。

一口に管理会社といっても、不動産賃貸管理を専門に行う会社から賃貸仲介業(客付け)と管理をセットにしている会社、売買仲介から管理までをトータルで手掛ける会社、建設会社の賃貸部門まで、立ち位置はさまざまです。その規模感も幅広く、全国CMを流して名が知られている大手から、町の不動産屋さんが個人で営むようなものまであります。

管理業務は、大きく分けるとPM(プロパティマネジメント)とBM(ビルディングマネジメント)に分かれます。

PMの業務は、主にソフト面から物件の維持管理を行うことであり、具体的には、空室の募集、案内活動といった仲介業務のほか、契約締結業務、賃料の回収、滞納督促、トラブル時の対応、工事発注や管理、オーナーへの報告などがあります。さらに、オーナーの資産全体を対象として、不動産資産活用のコンサルティング、法務サポート、税務アドバイスなど不動産に付随したサービスを提供しているケースもあります。

一方のBMは、ハード面からの維持管理を指し、物件の清掃や設備の管理・点検、巡回見回り、保守管理、警備業務、防災消防管理、植栽管理、美観管理などの業務が主体です。PMとBMの最も大きな違いは、収益の最大化に対する姿勢にあります。PMを業務とするほとんどの会社は、管理物件が生み出す収益と連動して報酬を受け取る契約になっており、必然的に収益を最大化すべく努力します。

BMを業務とする会社は、清掃や巡回など、契約書に定められた業務を固定費で請け負うことが基本であり、例えば賃貸物件が満室であろうがなかろうが、報酬には関与しません。一般的には、PMを行う会社が管理において主導的な立場となり、下請け会社としてBMに発注することが多いです。

※本記事は書籍『不動産投資業者のリアル』を抜粋したものです。

藤本 好二

ウィステリア・グループ株式会社

会長兼代表取締役社長