■部下の人生を助け背中を押すリーダーに

社員の6割が女性、女性管理職が身近でロールモデルには恵まれていた。實松恭子さんも転職後8年で管理職に抜擢、現在は役員兼本部長として、関西の営業部門を率いている。

パソナ 常務執行役員 實松恭子さん

「学生時代はゴルフに熱中し、一時はプロゴルファーをめざしたことも。その頃から性格のベースが体育会系なんです(笑)」

最初の管理職は所属していたチームのチーム長。元々セカンドポジションを担っていたため、責任は重くなったものの、業務内容は昇進前と変わらず、困ることはなかった。

「前任のチーム長は男性で言葉を尽くして方針を語るタイプではなかったので、次席として私が上司の意向をくんで全員に伝える役割でした。目標を明確に共有できたことで、メンバーの目線が上がりチームが強くなりました。管理職を志すなら、組織での自分の役割を考えて動くことが大切。チームのみんなが昇進を喜んでくれたのもうれしかったですね」

實松さんは、仕事上の関係でも血が通ったていねいな対応を心掛けてきた。それには20代で女性上司に言われた言葉が大きかったそう。

「先輩に言われた『人は誰もがダイヤモンドの原石』という言葉が私のマネジメント法の根幹にあります。人生で何を選び、経験し、誰と出会うかで人は磨かれていくもの。それなら私も先輩のように部下の人生に影響を与える『誰か』でありたいと願い、仕事をしてきました」

部下との間では自らのプライベートもオープンにし、気持ちに寄り添うことを大切にしている。女性が多い職場ということもあり、仕事以外のことで悩みやタスクを抱えているケースも多く、それぞれの個人的な事情を考慮していないと、フェアな評価ができないのだという。

「男性上司にはなかなか個人的な事情を打ち明けにくいでしょう。そこは女性上司の強みです。仕事でも結局人間くさい部分は無視できない。リーダーとしては部下の人生を支え、背中を押すような存在でありたいと思っています」

■役員からは経営マインドに。現場とは意識が変わる

その後数年で部長、役員とスピード昇進したが、1年目は管理する組織が大きすぎて戸惑ったこともあった。そんなとき前述の先輩からもらった「迷ったら企業理念に立ち返れ」という助言が役立った。

「パソナの『社会の問題点を解決する』という企業理念をすべての判断の軸にしようと決めました。そのおかげで小さなことで迷わずに筋を通せたのだと思います」

女性役員が約3割のパソナだが、会社の外に出れば男性が圧倒的多数となる。

「役員になると、社外の方とも頻繁にお会いします。企業の上層部は男性が多いですから、女性は目立ち、話す機会が多いはず。営業時代に実感したのですが、男性は同性より女性のほうに早く心を開くよう。女性であることは強みでしかない。営業ツールの1つとしてスマートに使えばいいんです」

役員になって特に意識してガラリと変えたのが外見だそうだ。

「女性役員は目立ちますから、私の見た目で会社の品格が判断される。着たい服よりも、似合う服を選び、イメージが高まる外見を意識しはじめました」

社内では、實松さんの背中を追う、志のある女性たちが続く。

「何事も『できるかできないか』より『やるかやらないか』で決めたほうがチャンスが増えます。やりたいと思ったことは覚悟を決め、全うすること。若い人には、恐れずに思い切ってチャレンジしてほしい。経験を重ねて人間として成長すれば、それがそのまま仕事力になっていくものですからね」

▼イメージ戦略は必須、趣味はオンでも役立つ
エレガンススイッチをオンにする
女性役員の印象は会社のイメージを左右する。實松さんは幹部候補のための社内研修「ワンダーウーマン研修」で専門家からコーチを受け、エグゼクティブにふさわしいマインドセットや服装やメイク、所作などを学び、個人的にもプロをつけ印象の知識を身につけた。女性リーダーに美容やファッションの知識は必須だ。
心ある趣味は本業を助ける
人と向き合う仕事なので、オフは自然に触れたいと、ゴルフやキャンプが趣味という實松さん。愛犬も心の支えだ。好きなことを追求しているのだが、どんな会社の役員も仕事とは別の顔があるもの。アウトドアに限らず、趣味の話題で盛り上がると縁が強くなる。自分が好きなものは熱く語れるように極めておくといい。

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實松 恭子(さねまつ・きょうこ)
パソナ 常務執行役員
2004年、パソナへ転職入社。12年、営業部チーム長に昇格。14年、関西営業本部営業部長に。17年、執行役員に就任。18年に常務執行役員・関西営業本部長に就任。
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(パソナ 常務執行役員 實松 恭子 構成=モトカワマリコ 撮影=大槻純一)