5月16日、「文春オンライン」はエイベックス松浦勝人氏の自伝本にまつわる出版トラブルを報じた。(#1《CEO退任》エイベックス松浦氏が「偽装離婚で税金逃れ」を告白した“幻の自伝本”インタビュー音声を公開、#2「《絶対変なことしない》《でもキスしたい》幻冬舎・箕輪氏が不倫関係を迫った『エイベックス松浦自伝』出版中止の真相」参照)

【動画入手】ライブ配信をする箕輪厚介氏「何がセクハラだよボケ」

 2016年12月頃、幻冬舎の編集者・箕輪厚介氏(34)がライターのA子さんに松浦氏自伝本の取材・執筆を依頼。A子さんは約2カ月で約10万字の原稿を書き上げたが結局は出版されず、原稿料が支払われることはなかった。そして制作過程では箕輪氏がA子さんに対して「絶対変なことしない」「でもキスしたい」などのメッセージを送り、A子さんの自宅へ押しかけるなどのセクハラ行為に及んでいたことも明らかになっている。


オンラインサロン会員への生配信を行った箕輪氏

沈黙から一転、数百件のリツイートと“トラップ”投稿

 報道後、箕輪氏はそれまで毎日複数回行っていたSNSへの投稿を止め、報道に対して沈黙を守っていた。しかし5月19日、自身が編集したという堀江貴文氏の新著「東京改造計画」(NewsPicks Book、幻冬舎刊)のプロモーションを突如開始。「東京改造計画」に関するツイートを300件近くリツイートした。

 しかしそんななか、“謎めいた呟き”が投稿された。

「箕輪さんはプロモーションリツイートに紛れこませるように、突如《トラップ。よろしくお願いします。》という呟きを投稿しました。おそらく自分のファンが集うオンラインサロン『箕輪編集室』の会員に向けたメッセージだったのでしょう。リプライでは《やはりハニートラップだったんですね!》《文春砲不発に終わる》などと沸き立ちました。しかしその後、“トラップツイート”について説明することはなく、翌朝にはツイート自体が削除されていました」(オンラインサロン「箕輪編集室」関係者)

「箕輪編集室」は箕輪氏が「こっちの世界に来て、革命を起こそう」と謳い、運営している有料オンラインサロンだ。月額5940円の有料会員制で、現在の会員は約1500名。毎月数名ずつ新規会員募集を行い、中学生以上であれば入会資格があるという。会員は非公開のFacebookグループに参加でき、箕輪氏をはじめとしたサロンメンバーと交流することができる。箕輪氏は2018年5月、「週刊SPA!」(扶桑社)のインタビューで「オンラインサロンでの収入は月600万円」であると語っている。

報道から4日後、箕輪氏がライブ動画を配信

「箕輪さんのサロンでは、編集だけでなく動画制作やイベント運営など様々な活動が行われています。サロン内では箕輪さんの著書『死ぬこと以外かすり傷』(マガジンハウス)を“経典”と呼ぶなど、会員の多くは箕輪さんに憧れを抱くいわゆる“信者”が多い。箕輪さんは“トラップツイート”をした翌20日、彼らに向けてライブ動画を配信しました。そのなかで文春オンラインの報道に対して《何がセクハラだよボケ。あいつが一番キチガイじゃねえか》《俺は反省してないです。ふざけんなバーカ》などと発言していました。一部信者は盛り上がっていましたが、ショックを受けた会員も多かったようです」(同前)

 箕輪氏の配信は約36分間続いたという。取材班はそのライブ配信の録画動画を入手した。

「相手の女性の異常性」「この件に関しては、僕はいいです」

 動画は《どうも〜、傷心箕輪です。いや本当に心が痛いんですけれど。今キャンピングカーでステイホームしてます。ステイキャンピングカーしてます》という発言から始まった。どうやら移動中のキャンピングカーの車内で撮影されているようだ。箕輪氏は配信の中でハイボールを飲んでいると語っているが、けっこう酔っているのか、ところどころ呂律が回っていない。

 箕輪氏はまず、被害女性A子さんを「異常」だ人格を否定するような発言をした上で、自身の一連のセクハラ行為について饒舌に語りだした。

《内輪の中でいうと、徐々に相手の女性の異常性っていうのが知れ渡ってきて「さすがに箕輪さんこれでやられるのはおかしいんじゃない?」っていう話がやっとこさ出てきたんで、それはちっちゃいながらの前進かなと思うんですけれど》

《この件に関しては、僕はいいです。僕は元々ああいうメッセージを送る人間で、そういう人なんで。その人はちょっと異常な人なんですけど、僕はそういう人間なのでそれはもうしょうがないかなと。今から気をつけます。でも今から気をつけてもしょうがない。3年半前のが出るんで今から気をつけてもしょうがないんですけど、一応まあそういう人です。

 だから俺もああいうメッセージを送る人間です。以上。セクハラとかは絶対しないですよ。けど、ああいう「どうなの?」みたいなジャブみたいなメッセージは送る人間ですよ》

人気女子アナウンサーもラジオで苦言

 箕輪氏が言う「ジャブみたいなメッセージ」とは、A子さんへ送った《明日Aちゃんち行きたい》《絶対変なことしないから!》などを指しているのだろう。しかし、編集者とライターという関係性のなかでのやり取りであり、この発言自体がセクシャルハラスメントに他ならない。

 この箕輪氏のセクハラについては、メディア関係者を中心に多くの論客がSNSなどで非難している。5月19日、フリーアナウンサーの宇垣美里氏も自身のラジオ番組「アフター6ジャンクション」(TBSラジオ)で、「立場の弱い女性ライターの方がどれほど気を遣って、笑いに持っていこうとして、セクハラを流そうとしているのかを見たら、もう泣いてしまいそうになりました。(中略)立場が違う人と恋愛するのを、本当にちゃんと考えてほしい」と指摘した。

「あとは出版人の嫉妬だよね」

 ましてや箕輪氏は2010年に結婚し、2人の子どももいる妻帯者だ。そもそも「ジャブ」を打っていい立場ではない。そのうえ箕輪氏はA子さんの自宅へ押しかけた後、「キスしませんか」などと言って迫ったとA子さん自身が明かしている。箕輪氏が帰宅した後にかわしたA子さんとのメッセージからも、箕輪氏がA子さんに積極的に迫っただろうことは想像に難くない。箕輪氏はA子さんに《いつでも話に行くから!》《でもキスしたい》《ふれあいたい》などと送っている。

 A子さんへの人格否定発言、そして自身のセクハラ観を披瀝した箕輪氏は、配信の中で、さらに持論を展開していく。今回のセクハラ問題は、出版関係者を中心に非難の声が上がり大炎上したが、箕輪氏はそれを《出版人の嫉妬だよね》と断じているのだ。

「どうしようもないよ、実力が違いすぎるんだもん」

《表舞台っていう処刑台なんだよ。あとは出版人の嫉妬だよね。箕輪むかつくっていう。でもこれ箕輪むかつくっていうのは、今回箕輪のセクハラ騒動で、文春砲で箕輪が黙って、3日間ぐらい何もツイートしなくていきなり「東京改造計画」ドーンってやってこんだけニュースになってめちゃめちゃ売れて、また嫉妬してるだろうね。「ふざけんなこいつ」って》

「東京改造計画」は堀江貴文氏が東京都に対して37の“緊急提言”を行うという内容だ。発売は5月30日だが、現在までにすでに5万部の重版がかかっているという。5月19日、堀江氏が東京都知事選出馬に意欲を示していると報じられたこともあり、同書は大きな注目を集めた。

《もうどうしようもないよ。実力が違いすぎるんだもん、正直。嫉妬されても申し訳ないっつーか、実力が違いすぎるんだよ》

「反省していない」「ふざけんなバーカ」

 A子さんが意を決して行った告発も、メディア関係者をはじめとする批判も、箕輪氏の心には響かなかったのだろうか。箕輪氏はこう続けるのだ。

《俺のやった罪ってそんな重くないだろ。はっきり言って。まぁしょうがないよね。でもさ、俺のやった罪って重くないって思うけど、山田孝之が沖縄行っただけであんな叩かれるんだから世の中ってクズだなって思う》

 動画の最後は「箕輪編集室」のメンバーに向けての感謝で締められた。しかしそこで箕輪氏は強調するように、「反省していない」と断言するのだ。

《あの、反省してないです。気を付けます。以上。反省はしないです。忌野清志郎のことばに、「自分の手で食っていく奴が簡単に反省しちゃいけない」っていうことばがあって。俺は反省してないです。ふざけんなバーカ》

 そして箕輪氏は二本の指を額に当てて、会員に《グッバイ!》と告げてライブ配信を終えた。

動画配信後に投稿されたのは長文の“反省文”

「この動画を配信した約1週間後、箕輪さんは『箕輪編集室』のFacebook非公開グループに“反省文”を投稿しました。箕輪さんが動画を配信した数日後に女性メンバーが『箕輪編集室』をセクハラ報道がきっかけで辞めるという内容の文章をネットで公開したんです。彼女に続いて辞めるメンバーが続出するのを止めたかったのか、前半は報道された内容に対する反省や謝罪の言葉が並んでいました」(前出・「箕輪編集室」関係者)

《報道について

 みなさん、心配や不快な思いをさせてごめんなさい。

(中略)

 妻帯者でありながら、あのような行動をして、軽率であったと反省してます。編集者とライターという力の差を利用しているという認識が当時はありませんでしたが、そのように受け取られる立場にいるという自覚を持たなければいけませんでした。

 この案件は、ライターさんの人脈によって成立してるものであり、僕はライターさんを決める強い立場にはありませんでしたが、自分の今までの甘い認識を改めなくてはいけないと、強く強く反省しています。

 僕の生き方自体を改めます。全く理解が足りませんでした。

 僕は一貫して女性に対しだらしないのは事実で、今までの人生で、距離感などを間違えていたと思います。あのスクショのようなメッセはよくしてました。お恥ずかしいかぎりです》

事実と相違のある釈明

 反省の意を述べた後、箕輪氏はA子さんとのトラブルの経緯についても説明を始めた。

 動画内では語られなかった原稿料の未払いについても言及している。そもそも制作過程で、A子さんとは出版できるかどうかは最終的には会社判断であることを共有しながら進めていたとしつつ、「業界の相場である50万程度を僕はお支払いしたいと考えておりました」と主張。

 しかしA子さんについては、破格の原稿料を要求してきたことや、箕輪氏の妻に何度もメッセージを送ってきたこと、「各所で金銭を巡り裁判をされている」ことなどを理由にあげ、現在は幻冬舎の弁護士が対応する“会社案件”になっていると説明した。また半年前、Facebookに箕輪氏がレイプ犯などと投稿したことについて触れ「弁護士に名誉棄損で相談をしていた」とも明かしている。

 だが、前回報じた通り、A子さんは「取材執筆は出版前提で進んでいた話です」と証言している。松浦氏や箕輪氏とA子さんの当時のメッセージのやりとりは、出版を前提にしたものだった。

 そして出版の中止が決まってより約3年が経ってなお、A子さんのもとには箕輪氏はもとより幻冬舎の弁護士からも原稿料についての連絡は一切届いていない。また、金銭を巡り裁判をしているという事実もない上に、A子さんにまずメッセージを送ってきたのは箕輪氏の妻なのだ。

A子さんが取材班に明かしていた胸の内

 箕輪氏の動画配信を受け、A子さんに連絡したが「すみません、お話ししたことがすべてです」と取材は断られた。しかし2019年12月にA子さんへ取材した際、彼女はこんな苦しい胸の内を語っている。

「当時、私はそれまであった仕事や新規の仕事を断り、ほとんど無収入の状態で取材と執筆に約2カ月をつぎ込みました。『ライターとして力尽きた』『今度バイトの面接に行くんです』と箕輪さんに弱音を吐いたときには『大丈夫! 俺も見城さんの本(箕輪氏が双葉社在籍時代に担当した見城氏の書籍「たった一人の熱狂」)の時、他の全ての仕事捨てたから!』と励まされたので、貯金を切り崩しながら生活しました。それなのに見城さんからは罵倒され、箕輪さんには最後の最後で切り捨てられ、原稿料すら支払われなかった」

「そんな時、箕輪さんの奥様が連絡をくださった」

 その後、A子さんは精神的に追い詰められていった。

「悲しくて、悔しくて、頭がおかしくなりそうでした。実際、当時は怒りに任せて松浦さんや箕輪さんに怒りのメッセージを何度も送ってしまいました。内容は、自分よがりで酷いものですよ。でも私がどれほどの犠牲を払って、この本に自分を費やしてきたのかをわかってほしかった。もちろん正当な報酬は支払ってほしかったけれど、それよりも誠意のある対応をしてほしかった。でも、箕輪さんから《(原稿料については)会社で話してみるね!》というメッセージが届いたあと、無視され続けました。

 そんな時、箕輪さんの奥様が連絡をくださったのです。2017年2月19日だったと思います。奥様は当初、私と箕輪さんの関係に疑念を持たれていたようです。とはいえその後とても丁寧にやりとりしてくださって、私の身の上に起きたことについて親身になって聞いてくださいました。本当にありがたく、慰められました」

 A子さんは何度もこのトラブルを忘れようとした。しかし度々フラッシュバックに悩まされ、昨年末にFacebookに松浦氏や箕輪氏への批判を投稿し始めたのだ。それを取材班が見かけて取材を申し込んだことで、A子さんはすべてを告発するに至った。

「いままでどれだけ声を上げても、誰にも聞き入れてもらえませんでした。相手は大手芸能事務所の社長と有名編集者ですから、一介のライターが批判したところで“狂っている”と一蹴されて終わりです。だから(記者に)声をかけていただけて本当によかった。セクハラも罵倒も原稿料未払いも、怒っていいことなんですよね? それが分かって、やっと少し救われた思いです」

箕輪氏も幻冬舎も「不適切な発言」と回答

 箕輪氏ならびに幻冬舎に対して、事実確認および箕輪氏が配信した動画への見解について文書で質問したところ、両者は次のように回答した。

「会員に向けた限定配信の場であったこともございますが、不適切な発言であると反省しております」(箕輪氏)

「会員に向けた限定配信の場であったこともございますが、不適切な発言であると考えております」(幻冬舎)

 また、A子さんが「各所で金銭を巡り裁判をされている」という発言について、箕輪氏は「A子さん自身のSNSでの発言を根拠にしております」とした。

 A子さんはSNSで以前のパートナーと子供の養育費を巡り話し合いが続いており、法的手段をとると明かしているが、これをもって「各所で金銭を巡り裁判をされている」とするのは誇張がすぎるのではないだろうか。

 5月30日(土)21時から放送の「文春オンラインTVスペシャル」では、本件について取材担当記者が詳しく解説し、箕輪氏が《何がセクハラだよボケ。あいつが一番キチガイじゃねえか》《俺は反省してないです。ふざけんなバーカ》などと発言したライブ配信動画の一部を公開する。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))