履き替え時は注意が必要! 自動ブレーキ付きのクルマはタイヤのグリップが重要

タイヤを替えると性能に差が出てしまうことも
高齢ドライバーの事故防止の観点から、一般メディアなどでは「自動ブレーキ」と呼ばれる機能に注目が集まっています。自動車業界的には「衝突被害軽減ブレーキ」、英語ではAutonomous Emergency Brake(AEB)といいます。
自動ブレーキというと常にクルマにブレーキングを任せておけるイメージですが、実際にはブレーキを踏むべき状況でドライバーが正しくブレーキを踏んでいないときにクルマが自動的にブレーキをかけるという緊急時だけに作動する機能です。ですから、AEB付きのクルマに乗っていても、一度もそのお世話にならないドライバーも少なからずいるはずです。

AEBの性能はさまざまで、歩行者検知能力の有無などもありますし、また作動する速度域にも違いがあります。センサーによっては車高を変えるカスタマイズによってAEBの性能に影響が出るといわれています。
では、タイヤを替えた場合、衝突被害軽減性能に変化はあるのでしょうか。その答えはイエスです。タイヤは銘柄によって路面をつかむグリップ力が異なります。車両側でブレーキをかけたとしてもタイヤと路面の間にある摩擦力以上の制動性能を生み出すことはできません。

ですから、経年劣化などでタイヤが傷んでくると新車時よりも制動距離(停止までに必要な距離)は伸びていきますし、またグリップ力の低いタイヤに替えたりするとAEBが作動しても止まり切れないということが起きてしまいます。
スタッドレスタイヤ装着時やウエット路面なども注意が必要
もっともタイヤのグリップが落ちた状態では、ドライバーによるブレーキングでも制動距離は伸びてしまいますから、AEBだけの問題ではなく当たり前の話です。ただし、ドライバーは路面や天候などのコンディションから制動距離が伸びてしまう状況を把握し、はやめにブレーキを踏むといった調整ができますが、ほとんどのAEBは天候などの条件をファクターとして考慮していません。
そのため、ドライの舗装路であれば止まれる距離でブレーキを始める傾向にあります。つまり、雪が積もっているような状況では衝突被害を軽減することはできても、対象物に当たらないよう止まることはできないのです。余談ですが、雪道で真価を発揮するスタッドレスタイヤはドライの舗装路ではサマータイヤに比べるとグリップ力が低くなりがち。これも気を付けたいポイントです。

また、雨の日などはタイヤと路面の摩擦力が落ちているだけでなく、雨粒の影響でセンサーの検知能力も落ちてしまうことがあります。そうなると、やはり減速はできても止まり切れないというケースは出てきてしまうでしょう。

AEBというのは、あくまでも速度を落として衝突被害を軽減するための機能であって、絶対に事故を防げるわけではありません。基本的にはドライバーの安全意識が事故を防ぐというのが大前提です。悪コンディション下では、速度を控えめにするなど止まれる速度を維持することを念頭に置いてハンドルを握りたいものです。


